三九郎岳(802m)C〜二股岳(825.6m)E〜弥五兵衛岳(649.9m)B<森町/北斗市>
<赤井川林道ルート> 単独 かんじき 12、4,12
それぞれの山の過去の記録は、このページの最下段に列挙
5:40 自宅発
6:10 グリンピア大沼奥
(赤井川林道ゲート)
登山 | 地 点 |
6:15
6:50
8:20
9:30
9:45
10:50
12:15 |
ゲート
西尾根取付き
三九郎岳
二股岳
(休憩)
弥五兵衛岳
ゲート |
[6:00] | 所要時間 |
12:30 グリンピア大沼
(入浴)
13:20 駒ヶ岳神社
(クレソン摘み)
14:30 帰宅
|
グ
リンピア大沼の奥に宿野辺川右股沢の源流部を取り囲むように連なる三九郎岳〜二股岳〜弥五兵衛岳の3山(1)・・・三九郎岳から弥五兵衛岳までの稜線は、森町と北斗市の境界稜線でもある。
これまでにそれぞれ何度かは登ってはいるが、この3山を繋ぐのは初めてだ。グリンピア大沼奥の赤井川林道ゲートを起点とした循環縦走だが、予てから温めていたラッセルのないこの時期ならではの計画である。
ルート上の核心部・最大斜度の二股岳東尾根は登るより下る方が楽だろうと考え、反時計回りの計画とした。
全道的な好天予報に誘われての決行となった。雪が緩まない内に登ろうと思い、グリンピア大沼奥の赤井川林道ゲートを6:15にスタート。
○まずは、三九郎岳へ
宿野辺川右股沢沿いの赤井川林道を進む。取り付く尾根は1.7kmほど先の東尾根である。
ゲートの先も除雪されていたので、アルミかんじきを背負い、スパイク長靴で快調に進む。除雪は三九郎作業道分岐までだった。ツボ足では埋まるので、かんじきを着ける。
35分ほどで、東尾根の末端に到着(2)。尾根に上がると、殆ど埋まることはなく、サクサクと歩くことができるのがうれしい。この尾根は、四九郎岳から縦走したときに一度下りている。
ブナの尾根を快調に登っていくと、今年の初物に出会う・・・春山では必ずと言っていいほど目にする熊さんの足跡だ。爪の形がはっきりしているところを見ると、昨日のもののようだ。左の斜面から登ってきて、20mほど尾根を登り、右の斜面へと下りていた。例年なら、3月中旬でも目にすることがあるので、今年の目覚めは遅いようだ(3)。
右手に四九郎岳、左手に弥五兵衛岳を見ながら高度を稼ぐ。
700mを越えると、尾根が広くなり、ブナからダケカンバの疎林帯へと変わる。青空をバックにした白い幹が映える。やがて、この後進む二股岳とそこまでの稜線が見えるようになる。下らなければならない二股岳の左尾根の斜度が気になる(4)。しかも、下から眺めたときには、弥五兵衛岳へ繋がる尾根の途中で全層雪崩の口が開いていたのも気に掛かる。一本北隣の尾根を利用し、途中でトラバースするしかないだろうと腹を括る。
やがて、広い斜面の先に三九郎岳の頂上が見えてくる。この斜面は、以前スキーできたときに快適な滑りを楽しんだところだ(5)。
殆ど埋まらないお陰でほぼ2時間で三九郎岳南峰に到着(6)。この山は登山道がないので、積雪期に結構登られている山である。自分も積雪期に2回、秋に沢から一度登っている。
いつもはここより数m高い北峰へも行くのだが、今回はパスし、10分ほど休む。
2日前の不二山は黄砂の影響で遠望は利かなかったが、今日は、昨日の雨で黄砂もなくなったのか、見える範囲のものが全て見えるような感じだ。普通は霞みがちな春にしては珍しいくらいだ。南は下北半島。西側は大千軒、その右側には乙部岳、北は噴火湾沿いの胆振の山々・・・・。南側手前には、源頭部を挟んで、弥五兵衛岳とその奥に牧場が広がる木地挽山と函館山(7)。
○次の二股岳へ
ここから二股岳までの稜線は、過去、積雪期に2回この頂上から眺めては、「次はこの稜線歩きだ」と温めて来たコースだ。途中に700m台のピークをいくつも越えてt行かなくてはならない。それらを繋ぐように幅広い雪庇廊下が続いている。まずは、下から見ると頂上より存在感のある尖った南隣のピークへと下って登り返す。
南隣のピークに登ると、これから進む二股岳までの稜線がよく見える。意外と近い気がする。東側に向かって雪庇が発達し、その下は雪崩れ斜面となっている。ところどころでは崩れ落ちているところもある(8)。
このピークからの下りは、二股岳までの間では最も急な下りだった。おまけに、まだ陽光の恵みを受けていないので、ガリガリ状態で転倒したら滑落間違いない。かんじきの爪を利かせて一歩一歩慎重に下る。下り切ってホッとすると、左手に噴火湾をバックに駒ヶ岳がくっきりと見えていた(9)。
稜線の東側が雪崩れ斜面で、雪庇が口を開けて落ちかけている(10)。西側が樹林帯で、細いところはないので、雪庇の根元を気を付けて進む。
いくつかのピークを越えるたびに、反射板を乗せた二股岳の頂上がどんどん近くなってくる。最後のピークを越えたら、間の前に頂上が現れた。
三九郎岳からちょうど1時間だった。これが厳冬期のラッセルが必要なときはもっと時間が掛かるだろう。
この山は西尾根に登山道があるので、夏に3回、冬にも『雪山ガイド』の取材旁々、冬尾根とも言うべき南尾根から2回登っているので、これで6回目だ。しかも、今日は北側の稜線からやってきて、東側の稜線へと下るので、これで、東西南北の尾根を歩くことになる・・・これも珍しい山だ。
もうすっかり馴染みとなった頂上標識を入れて記念撮影(11)。
二股岳からの一番好きな展望・・・弥五兵衛岳への稜線の向こうにまだ凍ったままの大沼を挟んだ駒ヶ岳と横津岳(12)
南側には島のように浮かぶ函館山(13)
○核心部の下りを越え、最後の弥五兵衛岳、そして、ゴール
素晴らしい展望も良いが、それより、これから下る尾根の様子が気になって仕方がない。そちらへ近づいて下を覗く。弥五兵衛岳へ直接繋がる尾根の上は、崖のようになっていて、とても
下ることはできないし、途中で雪崩が口を開けていたのを思い出す。
一本北側の尾根の様子を見に行く。堅ければ、アイゼン、ピッケルでも尻込みしそうな斜度だ。しかし、幸いなことに、朝から陽光を浴びていて、グサグサになっているので、気を付ければなんとか下れそうな感じである(14)。
地形図を見ると、源頭部の上のやや緩くなっているc700mの等高線をトラバースすれば、本来の尾根に移れそうである。それを目で確かめて下り始める。緩んでいる雪面に一歩一歩踵をめり込ませて下る。下の方で尻から転んでヒヤッとしたが、ストックをブレーキ代わりに使ったら、なんとか停まった。 その後、それを利用して急なところは尻滑りで下りた。
トラバースし終えた地点は、雪崩れて口を開けていたところのちょうど下だった。ちょっと痩せ尾根の上でもあったので、少し乗っ越して登り返して、コルへ下った。コル付近から後ろを振り返ったら、下りてきた右の尾根とそこからトラバースして移った尾根の上の方が見えていた。我ながら良いコースを採ったと満足して歩を進める(15)。かつて、この弥五兵衛岳と二股岳の間には登山道か苅分道があったらしく、今でもこの急斜面にはロープが設置されたままになっているとのこと。