大岩壁の基部を目指して急な涸れ沢を登る いよいよ垂直に切り立つ大岩壁の基部までの急な涸れ沢登りである。ここまで以上に両手もちろん全身を使っての登りが続く(1)。しかし、8月に来たときには、草で覆われて見えなかくて源頭まで詰めた上の方は、草が枯れた上に刈り払いまでされているので、正規のルートを辿ることができて助かる。
大岩壁の下に立つHYMLのアイドルYAMAちゃん
 ようやく大岩壁の下に登り付き(2)、大岩壁の基部に沿ってしばらくトラバースして、ルンゼの下に到着。ここで休憩の予定であったが、「固定ロープのところでどうせ溜まってしまうので、休まないで行きます。」と元気組がそのままルンゼの登りに取り付く(3)。途中の登りに手こずるところと海見平に出る最後の固定ロープのところで間が開き、刈り払われたばかりの海見平から頂上への笹原にくっきりと続く道をまばらに登って行く姿が見える(4)。頂上へはトップとラストでは30分近くも開いてしまう。

 日本海も太平洋も見える頂上に、先客の 5名を含めて、我々30名が陣取っても結構余裕があるのがうれしい(5)。ビールで乾杯し、それぞれ思い思いの昼食をとる(ラーメン等が圧倒的に多い)。この時期にしてはぽかぽかと暖かい陽光を浴びながら、緊張感で歩きながらできない分を取り戻そうとする賑やかなお喋りの花が咲く。「本峰より高いか低いか」と論議したくなる鋭い西峰とその下の今にも崩れ落ちそうな割れ岩、その向こうに連なる遊楽部岳や冷水岳(6)、昨日、5名が登ってきたヤンカ山などの山座同定も楽しいひとときである。
ルンゼを登る
 1時間近く寛ぎ、Yさん手製の記念写真用横断幕を前に記念写真を撮り(7)、下山を開始する。ルンゼの降り口の固定ロープのところで時間を喰い、先頭グループと間が開いてしまう。後続部隊は骨折の回復途中のため下りが辛いIさんを先頭にのんびり下る。自分もリーダーであることを忘れ、その後ろの方に付いている。
海見平から頂上を望む
 荒れた沢に入り、登りは川の底を歩いた筈なのに、いつの間にか上の方を歩いている。後ろから付いていった私は「多分、川に下りるところで苦労するだろうな?」と思いながらついて行くと、案の定崖状のところに出て苦労する羽目になる。みんなで手を貸しながらなんとか突破する。登りは先頭にいて案内したが、下りは後ろの方にいたので、「登りではこんなところ歩かなかったな?」と思うようなところが結構あって、それも楽しいものである。

 下りの二つ目の難所は第2ロープ場手前の沢に下りるのに苦労した地点である。下りたところはすっかり削れてしまい、手を貸し合いながらそこに取り付くグループとロープ場の下に直接つながる階段状の岩場に取り付くグループに別れてそこを突破しようとする。私は後者の方を狙い、渡渉するときに滑る岩に足を乗せてしまい、見事に水の中に転倒してしまう。下半身は愚か上半身も水びたしになるが、寒くないのが幸いである。
頂上でくつろぐHYML会員
 ようやく緊張の歩きから解放され、10分程の登山道歩きでみんなの待つ登山口に到着。その後、おぼこ荘の温泉で汗を流し、全員が上がってくるまで休憩室で寛ぎ、4時に解散をする。札幌方面へ帰る人達を見送ったのち函館方面グループは帰路に就く。
西峰と下の割れ岩、そして、遊楽部山塊
 日高の山も含めて 161山登ってきた自分であるが、これほどのワイルドなルートはない(実際参加したメンバーも同感のようである)と思うルートで、しかも、初体験の30人もの大所帯のグループ登山である。何かハプニングかアクシデントがあって当たり前を覚悟のリーダー拝受であったが、時間の経過とともにだんだんその意識も薄くなり、一緒に楽しみながら歩いている自分であった。一人歩きでは味わえないグループ登山の楽しさを思う存分味わわせてくれた素晴らしい仲間に感謝したい。

 その夜から次の日に掛けて、参加した仲間からのMLへのメールが次々と入り、それを読むたびに、計画段階でいろいろ心配したことが嘘のように洗い流されていくのがうれしい。                                      

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