岩内岳 (1086m)A雷電山(1212m)A [岩内スキー場コース] 97、8、31(日)

岩内平野を背に登り、だだっ広い稜線を往復する。
2:00 自宅発(函館)
5:00 岩内スキー場
登山地点下山
5:10
6:00
6:45
7:00
7:15
 ↓
8:05
8:30
8:45
登山口
6合目
岩内岳
 〃 発
目国内分岐
ンケメクンナイ湿原
幌別岳
五つ沼
雷電山
13:15
12:35
12:10
11:40
11:20
11:00
 9:55
 9:40
 9:30
[3:35]総所要時間[2:45]
13:30 国民保養センター(入浴)
18:10  帰 宅

 日帰り可能で、まだ歩いていないコースが残って いる山を探したら、岩内スキー場から登る岩内岳と雷電山までの縦走のコースが残っていた。岩内岳は 5年前に新見峠登山口から目国内岳経由で、雷電山 は4年前に朝日温泉登山口から頂上に立って以来の 再訪である。 真夜中に目が覚め、予定より早く出発。細い新月 と満天の星空を見ながら3時間車を走らせ、夜明けの登山口に到着。
 朝日に輝くススキと岩内岳
 出発の用意をしていると、60歳位の男性が到着。 同じく「雷電山まで行く。」と言う。おにぎりを1 個口にし、「お先に出ています。上であったら宜しくお願い致します。」と、今は使われていないスキー場の斜面跡に続く登山道に取り付く。 まもなく顔を出した太陽に、周りのすすきの穂が眩しく光る中をのんびり進む(1)

 第2リフトの乗り場跡から第3リフト終点跡までは、リフトの右側に続く作業道を利用した登山道である。時折振り返っては、早朝の岩内湾の海岸線、薄い朝靄が漂う岩内の町並みと岩内平野を見ながら高度を上げる。

 50分程で、6合目となる第3リフト終点跡に到着。使われなくなってどのくらい経つのであろうか、舞台のようなリフト降り場の上に立ち、眼下に広がる景観を眺めながら休憩。その後は、一合づつ標識が立っている本格的な登山道へと続く。「見返り坂」の標識では、つい、振り返って、眼下に広がる景観を楽しむ。「松の回廊」の標識の地点は、なるほどハイマツと盆栽風の矮小なエゾマツがその雰囲気を醸し出している。7合目からは露出する岩の上を、9合目付近は急な裸地のザレ場をジグを切り
ながら進む。右手にはこれから向かうのっぺりした感じの雷電山方面の山々の緩やかな大斜面が広がっている。
岩内岳頂上の眼下に広がる岩内湾
 1時間35分で誰もいない5年ぶりの岩内岳頂上に到着。5年前は素晴らしい快晴でニセコ連峰の山並みがくっきりと見えたが、今回は、岩内岳の上空は晴れているが、風も強く、連峰の反対側からの濃いガスがちょうど連峰の連なりの上を覆うように伸びていて、隣の目国内岳をはじめ、それぞれの頂上がはっきりと見えない。しかし、眼下の広がる岩内湾は朝日に眩しく輝いている(2)。これから目指す雷電山方面も、これから辿るだだ広い稜線に続く道がくっきりと認められも、濃いガスが頂上ぎりぎりのところまで押し寄せていて、なんとなく登行意欲を削がれる。

 15分程岩陰で休憩し、おにぎりを1個とミニトマト数個口にする。なんとか雷電山に着くまでガスに覆われないことだけを祈りながら、急な斜面を下る。 目国内岳への分岐からの道は、5年前、雨上がりのぬかるみとその道を覆う丈の高い笹に負けて断念した道である。今回は覚悟を決め、分岐で、朝露対策に上下雨具を着けて、広い笹藪の中に続く道に取り付く。しかし、丈の高い笹藪の道は、幅広く刈り払われていて、足元も乾き、5年前の面影はない。ただ、朝露がすごく、下の方からどんどん濡れて行く。それほど暑くもなく、雨具は帰りの幌別岳まで着たままであった。

 幌別岳頂上付近までは、一部ハイマツや矮小のエゾマツも姿を見せるが、ほとんどは、変化のない丈の高い笹藪の中の道が長く続く。途中小さな丘のようなピークを越えるが、幌別岳に近付くに連れ、笹の丈も低くなり、足元にはエゾオヤマノリンドウの花が次々と姿を現す。雪田跡にはお花畑の面影を残していて、今はリンドウの花の群生だけが目立っている。
五ツ沼と雷電山
 やがて、ハイマツ帯に入り、秋の装いを漂わせる丈の低い高山植物に覆われた幌別岳に到着。これまで陰になっていて見えなかった五つ沼湿原は、すっかり秋で、緑一色の中にあちこち薄茶色を呈している。岩内岳から見て心配していたガスも切れ間を見せ、上空に青空を見せている。

 再び丈の低い笹藪に続く道を進む。手前の沼は干上がり気味であるが、雷電山に近いところで二つの沼が満々と水を湛えて、「五つ沼」の標識が立っている(3)。この沼と幌別岳頂上付近だけが、この変化のない2時間近い笹藪の行程の中での、数少ないチャームポイントであり、ことのほか嬉しい感じさえする。

  そこから南側にすっぱり切れ落ちた急崖を見せる雷電山への稜線の道を進む。稜線の南側は尻別川に注ぐ川の源頭部分で、一面お花畑状態が広がっている。その稜線から再び笹藪とハイマツ帯に入ってまもなく、立派な頂上標識に再会する。一等三角点が設置された、まったく頂上感のない展望も利かない地点に到着。4年前に朝日温泉の方から登ったときも、そう感じたが、そのときは、ガスに覆われていたからと思っていたが、やはり思いは同じであった。せめて、南側の急崖の上の展望の利くところにしてほしいと思う。
雷電山手前から戻る幌別岳と岩内岳を望む
 今回もニセコ側の方の展望はガスで遮られ、見えるのは越えてきた幌別岳の頂上部分だけである。朝日温泉側からの登山者もいなく、そこで休む気にもなれず、ちょっと戻り、南側の展望が広がる崖の上で休憩する。 そこは、もっと早ければいろいろな花が咲いていたのであろう。リンドウとウメバチソウのほかに、終わりかけたコガネギク、ハイオドギリ、ハハコグサ、シラタマノキなどがその面影を残している。眼下にはガスの下に尻別川のゆったりした流れが覗く。そこへ流れ込むオサンナイ川の源頭部地形を見下ろし、ときおりそこから舞い上がるガスを楽しみ、9時15分、もとき来た道を戻る。そのころからちょうどガスも晴れ、これから戻る幌別岳とそのはるか向こうに岩内岳が見える。かなり遠い気がするが、来た道である(4)。

 五つ沼の手前で、登山口で一緒になった男性と擦れ違う。ちょっとの間、会話を交わして別れる。ちょっと藪を漕いで、別の沼を覗いたり、高山の雰囲気を漂わせる幌別岳の頂上に寄ってみた後は、黙々と笹藪の中の道を戻る。
岩内岳頂上をバックに咲くエゾカンゾウ
 時間的余裕もあるので、目国内岳への分岐にリュックを置き、パンケメクンナイ湿原を覗ける地点まで行ってみることにする。途中、二つ沼と呼ばれる小地塘帯付近に広がる雪田跡のお花畑状態のところには岩内岳頂上をバックにエゾカンゾウやヒオウギアヤメのほかに、ハイオトギリや遅いシナノキンバイなどが咲いていて(5)、これまでのコースにはリンドウ以外、目立った花が無かっただけにことのほか嬉しい。また初めて目にするヒメタケシマランの赤い実がかわいい(6)。 
 
 パンケメクンナイ湿原は、すでに秋の装いを見せ、その向こうには、ようやくガスの晴れた目国内岳の急な大斜面が広がっていた。遅い花と湿原の眺めに満足し、引き返すことにする。分岐まで戻る途中、岩内岳の頂上を見上げると3人程の姿が見えている。 45分ほどで分岐まで戻る。ちょっと上の方に人の姿を目し、良く見ると、雷電山から戻ってきた男性である。まもなく追い付き、雷電山から続く道を眺めて、「見ると、よくあそこまで歩けたと思うほど遠く感じるが、歩いてみるとそれほどでもないものですね。」などと話し、お互いの健闘を称え合う。夥しいトンボの姿に感心しながら、その方の後ろに着いて、岩内岳頂上への急な道を進む。
ヒメタケシマランの実
  岩内岳頂上には女性一人を含む3人連れが食事をしていた。聞かれて、雷電山まで往復してきたことを話すと、「そうですか、登山口に車が2台あったのに、頂上には誰もいないので、変だなと思っていたのです。それで納得しました。」とのこと、所要時間などを聞かれた後、岩陰に下りて、食事の用意をする。お湯を沸かし、コーヒーを飲み、味噌ラーメン、鯖の缶詰の昼食をとる。
眼下にくねくねと続くニセコパノラマラインの向こうに、本来ならば羊蹄山まで続くニセコ連峰の重なりが見えるはずであるが、ガスでその一部しか見えないのが残念である。

 30分後、雷電山まで往復した男性の後を追うように下山を開始する。「松の回廊」で、すざましいほどの蝉時雨を聞きながら休んでいたその男性に追いつく。あとは、岩内の町並みを見下ろしながら、どんどん下る。 スタートしてちょうど8時間後、登山口に到着。車を出すところに、その男性が下りてくる。クラクションをならすと、手を上げて応えてくれる。

 国民年金保養センター・いわないを見つけ、その温泉で、汗を流してさっぱりし、帰路に就く。

→目国内岳からアプローチした岩内岳
→朝日温泉からアプローチした雷電山


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