函館山 (334m) ワイルド編 
[汐見コース〜寒川海岸〜穴澗手前〜入江山分岐〜旧登山道]99、3、7(日)

雪を踏み、尾根を越え、裏側の秘境・寒川海岸へ下り、ワイルドな探検まがいの登行を楽しむ。
8:00 自宅発
 8:30 登山口駐車場
    (汐見山コ−ス)
  9:10 月見台コ−ス
 9:20 寒川コ−ス分岐
10:00 寒川海岸
     (散策)
11:15 穴澗手前
11:30 穴澗コ−ス登り口着
      (昼食・休憩)
12:30 穴澗コ−ス登り口発
12:50 穴澗龍神社
13:20 入江山分岐
     (旧登山道)
14:00 登山口駐車場
[5:30] 総所要時間
14:15 谷地頭温泉(入浴)
15:30 帰宅

 函館山を知り尽くしているTさんに、函館山の冬ならではのお楽しみ登山への案内をお願いし、悪天候のため1週間遅れで実現した山行である。
 今回のメインは、まだ行ったことのない函館山の陰で、30年ほど前に唯一の通行手段だった穴澗の釣り橋が落ちてからは、山を越えなければ行けなくなり、今ではマムシの生息地(冬は冬眠中)として有名な秘境・寒川海岸へ下りる探検まがいの山行である。

  彼と管理事務所前の登山口駐車場で落ち合う。すでに、たくさんの車が駐車している。毎日のように冬でも散策登山を楽しんでいる人であろう。その人達は、ほとんど空身であるが、こちらの装備は当然ごつくなる。この山のノーマルな登山には似合わないスタイルがちょっと気恥ずかしい。
汐見山コースの折れた木の枝
  アイゼンは長靴にも着けられるということで二人ともリュックに入れて出発する。まず、稜線に出るのに一番急であるが距離が短い汐見山コ−スに取り付く。散策する人達に踏み固められ、2日前の雨で凍り、つるつる状態であるが、なんとかアイゼンなしで登りきる。雪面に敷き詰められたように落ちている小枝や折れた木の枝がが、一昨日、これまでの洞爺丸台風のときの記録を更新した最大瞬間風速 45mの暴風の凄さを現している(1)。
 
  稜線の道に出、千畳敷の方へ向かう。月見山のコ−スへ入り、気象観測所関係の建物の手前に、寒川海岸へ下りるルートの入り口がある。標識ももちろんあるわけでなく、覗くと踏み跡がありロープが張られている。その側は何度か通ったことはあるが、全然気付かなかった。
寒川へ下りる途中木古内方面をバックに
  その分岐で未使用のアイゼン(6本爪)を手こずりながら長靴に着け、急な下り斜面にロープの張られた踏み跡を下る。結構歩く人がいるらしく、踏み固められていて、それが凍り付き、アイゼンが功を奏する。暫く下るとこれから下りる海を挟んで木古内方面の山々が見える(2)。
 Tさんの話だと、このコースの夏は、マムシの生息地でダニも凄く、蔓系統の植物や藪が濃く、今の時期が最高の条件なのだそうである。 フェリーの上や木古内方面からしか目にすることのなかった裏側の急な崖地形の中のわずかな窪みのような地形の急斜面を下り、寒川海岸へ出る。山に来たはずなのに目的地が海岸という山行も初体験である。

 狭い海岸に積まれた石垣が、戦前までは小さな集落や分教場まであったという昔の面影を残している。沖を行くフェリーなどの船が目の高さで眺められるのが不思議な感じである。昨日までの悪天候が嘘のようなベタ凪の上に、干潮で、海岸を歩くには最高の条件である。
寒川海岸の様子
 そこには、Tさんの近所のHさんという方が先に来ていてフノリ採りをしている。二人とも、少しフノリを採り、その後、干潮で顔を出している岩の上を辿りながら、急崖の波打ち際を立待岬方面へ探検気分で向かう。途中に手堀のトンネルが 20m位掘られ、行き止まりになっている中に入ってみる。昔、寒川に住んでいた人が掘り続けて止めてしまったのであろう。

 それ以上進むのは不可能というところで戻り、Hさんと別れ、二人でリュックを背負い反対方向の穴澗方向へ海岸の岩を伝いながら向かう。振り返ると千畳敷の下の寒川海岸の様子がよく分かる(3)。その途中で、オツケの浜の方のルートから山越えをしてきたという3人の漁師と思しき人達がフノリ採りや時化で流れ着いた海草やホヤを拾っている。我々も、そのホヤだけを拾いながら歩く。帰りに登るという見上げると首が痛くなるような急な斜面にロープの張られている登り口にリュックを置いて穴澗の方へ行ってみる。
穴潤の吊り橋のあったところの急な崖
  高校生の頃、その当時まだあった釣り橋を渡り、海蝕洞を覗いただけで怖くなり、途中から戻った反対側から近付いて行くと、釣り橋跡から100mくらいは岩の崖を削ったところを通り、手堀りのトンネルを潜ってこちらへ来るような痕跡が残っている。高波にさらわれて何人もの人が死んだというのも頷ける通り道である(4)。

 そこからリュックを置いた所まで戻り昼食にする。冬であることを忘れさせるのどかな陽射しを浴びながら1時間も寛ぐ。Tさんはたくさん拾ったホヤを剥いて実だけを取り出して荷を軽くしている。私も大きなものばかり4個程もらいリュックに入れる。
穴潤海岸から入江山へのコース
  いよいよ、ロープがあるから登れるような急な踏み跡に取り付く。どんどん高度を稼ぎ、あっというまに海面が真下に見える。汗が流れ落ちる。尾根を乗り越えると、一面雪がびっしり詰まった雑木林の谷地形に出、オツケの浜側と入江山への分岐に出る。その踏み跡は狭いながらもきちんとした道の面影がある。多分、この山が要塞だった頃、上の入江山の砲台と下の穴澗上の砲台を結ぶ道であったのだろう。その道を少し下ると、穴澗の上の突端に砲台跡があり、その下に穴澗龍神社がある。

  その神社を見て戻り、入江山までの沢地形の斜面に九十九折りの続く長い登りを進む。さすが人が通った跡は少なく、何度も踏み抜きを繰り返しながらの登りである(5)。そこを登り詰めると入江山と千畳敷への稜線の道との分岐に出る。

  あとは、工事のために除雪されたツツジ山駐車場までの道を進み、旧登山道を下り、登山口を目指す。散策中心のこの山で、この時期ならではのこんなワイルドな歩きを楽しめるコースがあったなんて、Tさんに感謝、感謝である。今度、春先の早い花が咲くころにでも反対回りで再訪したいコースである。ただ、マムシが冬眠から覚めないうちに・・・?

 帰りは、近くの谷地頭市営温泉でのんびり汗を流して家路に就く。夕食のホヤ酢とビールは、ことのほか旨かった。

「函館山(ノーマル軽登山編)
函館山三十三観音像巡りコース


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