函館山(ワイルド編)

春の花を訪ねて

 [94]  函館山 (334m) ノーマル軽登山編  1997,12,27
(七曲がりコース〜薬師山コース〜旧登山道〜エゾダテ山コース〜宮の森コース)

季節外れのぽかぽか陽気に誘われて、まだ雪のない年末の山を散策気分で歩いてみる。

9:30 自宅発
登山地    点
9:55
10:10
10:35
10:55
11:25
11:50
谷地頭温泉駐車場
七曲がりコース 登山口
地蔵岳見晴台
千畳敷
入江山
御殿山
下山
地点
12:05
12:25
12:35
12:55
薬師山
旧登山道1合目
エゾダテ山
谷地頭温泉駐車場
[3:00]
所要時間

13:10 谷地頭温泉入浴
14:00 帰宅
湯の川からの函館山
 12月27日だというのに函館山を眺めてもまったく雪がない(1)。天候も良く、気温も異常に高くぽかぽかと暖かい。その陽気に誘われ、スキー場へでもと思ったが、珍しくこの時期に雪がまったくない函館山でも歩いてみようと思いつく。
 梅沢俊氏の『北海道百名山』の一つでもあるが、家族登山や学校の遠足でしか登ったこともなく、一人歩きの歩みに 加えるにはこの時期の珍しい山行もいい。できればこ れまで歩いたことのないコースがあれば、そこを辿っ て一周するコースを繋いでみたい。そんな思いで、下 山後、温泉で汗を流すためにも市営谷地頭温泉の駐車場 に車を置き、長靴スタイルでスタートする。

 まず、立待岬の方から千畳敷に登る七曲がりコース登山口を目指す。 「ふるる函館」の裏側を通り、立待岬から戻る一方通行の車道に入る。すでに車は閉鎖されていて、舗装道路の表面は杉の枯葉や枯れ枝や崖から崩れ落ちた石ころなどに覆われている。左手の葉の落ちた樹間からは陽光を浴びて白く輝く函館の町並みが覗く(2)。津軽海峡もべた凪できらきら輝いていて、年の瀬ということを忘れてしまうほど、のどかな春の気分である。
早朝の函館の町
 15分程で、鞍掛口にある七曲がりコース登山口から登山道に入る。そこに設置されている散策コースの案内板を見て、七曲がりコースから千畳敷を通り、尾根筋の道からまだ立ち寄ったことのない入江山に寄り御殿山へ、そこからこれも歩いたことのない薬師山コースに入り、旧登山道へ抜け、やはり初めてのエゾダテ山コースと宮の森コースを経て、谷地頭温泉駐車場へ戻るコースを設定する。
 
  この七曲がりコースは一度遠足で下ったことのある道であるが、千畳敷までの急斜面を七曲りどころか20回程もジグを切りながら登って行く。気温が高く、直ぐに汗ばむほどである。それでも日陰の部分には雪が残っているのがうれしい。緑はシダと苔とイチイとササくらいのもので、あとは、うす茶色一色である。急斜面を25分程のんびり登り切ると傾斜が緩み、地蔵岳見晴台に到着。真下に立待岬の裏側が見える。津軽海峡や函館の町並みを見下ろしながら10分程休憩するも、無風でぽかぽか陽気に休んでいてもまったく寒さを感じないのが不思議なくらいである。カラスの鳴き声と下から聞こえてくるチリカミ交換車のスピーカーの音だけが、やたらとのどかな感じで聞こえる。
千畳敷から御殿山方面を望む
  そこから、枯葉がこびり付いた感じのカシワの林を抜け、アンテナの建物の裏を通り、千畳敷のピークへ登る。これから辿る御殿山を眺め(3)、昔スキー場だったという草付きの長い緩斜面を眺めて一息つく。遠足のときは子供に人気のある砲台跡の縁を辿り、気象台関係の建物の側を通り、ツツジ山駐車場までの尾根筋の未舗装の車道へ下りる。目の前をこちらには気付かず、40歳位の男性が鼻歌を歌いながら、枯れた太いオオイタドリの幹を肩に背負い千畳敷の方へ歩いて行く。完全に子供に戻っている。声を掛けて挨拶しようと思ったが、そんな世界から現実に引き戻すのが申し訳ない気がして通り過ぎるのを待ち、彼とは反対方向へ進む。

  日陰部分にさらっと雪が残っていたり、水溜まりに張ったの氷がやはり冬を感じさせる。40歳代の夫婦連れや60歳くらいの男性とも擦れ違う。結構同じことを考えて登ってくる人達もいるのだと嬉しくなる。 案内板で知ったまだ行ったことのない入江山への道を辿る。そこは上磯方面を望む砲台跡であったのにはびっくりする。

 またもとの道に戻り、ツツジ山の砲台跡の上を通り、頂上の御殿山へ向かう。ベンチに腰掛けて休んでいても暑いくらいであるが、下りて行くロープウエイにはガイドさん一人だけであった。 御殿山からまだ行ったことのない薬師山へ寄る薬師山コースを目指し、車道を7合目まで下り、再び登山道に入る。薬師山も大規模な要塞跡であった。地下に煉瓦でできた大きな3つの部屋のような建造物や砲台跡にびっくりする。ありとあらゆるピークは全部と言っていいほど砲台を初めとする要塞基地である。花も草も木の葉も無い季節だけに、余計要塞の山であることだけが印象に残る山行である。
落ち葉の橋(浅地達夫氏画)
  ロープウエイの下を潜り、二つの大きな岩の下を通る旧登山道までの薬師山コースを進むが、ここにこのような道があることはまったく知らなかっただけに、初めて歩く道はうれしいものである。いつの間にか上空は濃い曇り空に変わっている。 歩き慣れた旧登山道に出て5合目から1合目まで下りる。車道を少し下り、さらにこれまた初めて歩くエゾダテ山コースに入る。

 杉林の中に続く狭い笹藪の中の道を少し登って行くと住吉漁港や立待岬方面を見下ろすエゾダテ山に到着。森林浴コースの案内板やベンチも設置されている。そこから、さらに函館八幡宮の真上を通る宮の森コース(絵)へと進む。やはり杉林の中の道を辿ると碧血碑へ出る。碧血碑の前にも、リュックを背負いトレッキングシューズを履いた同年代の男性がいた。

 そこから、車を置いてある市営谷地頭温泉の駐車場へ下りて、ちょうど3時間の散策の終着となる。温泉で汗を流したのは言うまでもない。
それにしても、この時期に山を歩いたのも初めての経験で、うれしい一人歩きの山プラスワンとなる。

その後、谷地頭温泉でのんびり汗を流したのは、言うまでもない。

※この後、ほぼ同じ1周コースを、98年4月に「早春の花を目当てに」下りに汐見コースを歩き、さらに、7月に「妻の同行して」 下りに旧登山道コースを歩いている。だいたい一周3時間ほどの理想的な軽登山散策コースである。


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