泣面山(なきつらやま)B(835m)<函館市> 
<下大船林道〜803ピーク南東尾根(登り)〜803ピーク東斜面(下り)> 
山スキー&ツボ足 単独 2010,2,27
01,5,13、夏道の「泣面山」   05,7,19、夏道の「泣面山」
 
太平洋を背に、断崖絶壁を巡らす迫力ある姿を眺めながら登る

6:30 自宅発
7:35 下大船林道入口・採石場
登山
地 点
下山
 7:45
 8:20
 8:45
 ---
10:15
10:25
10:55
下大船林道入口
c210林道分岐
c310林道分岐
(尾根取り付き)
803ピーク
スキーデポ地点
頂  上
12:50
12:35
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----
11:40
11:30
11:15
[3:10]
所要時間
[1:35]
13:00 大船温泉・保養センター(入浴)
14:40 帰宅

 函館市と合併する前の南茅部町の最高峰。今や国指定史跡となった大船遺跡のある大船地区の裏に聳え、太平洋側の東面に巡らせた断崖絶壁が印象的な山である(1)

 珍名山の部類に入るであろう山名の由来は、地元の人に聞くと、「この山に雲が懸かると雨になる」ことに因るらしい。ちなみに、同じ名前の山が宮城県にもあるが、この由来も同じらしい。

 過去2度にわたって延べ7年間この山の麓の大船に住んだことがあり、ことのほか愛着のある山でもある。今回利用した登りと下りの林道は、毎年のように山菜採りに入った林道でもある。

 裏側の万畳敷高原からはわずか30分で登れる立派な登山道ができ、これまでに2度登っているが、そちらからだと、この山の魅力である荒々しい山容を味わうことができない。そこで、いつかは冬に大船側から登ろうと考えていた。すでに岳友のMiさんSeさんが06年に登っていて、その記録を参考にさせて頂いた。

 実は、4日前にもトライしたが、803ピークの南東尾根に取り付いたら、シールに雪が付き、高下駄状態になり、c430付近で撤退していた。今回は、堅雪状態だったので、スキーも埋まらず、最後の詰めはツボ足でも快調に登ることができた。

 ○長い林道歩きから803ピーク南東尾根へ

 大船温泉手前の下大船林道入口(2)の向かい側にある採石場の駐車場に車をデポさせていただき、長い林道歩きをスタート。クネクネとヘアピンカーブをしながら登っていく林道なので、4日前の下見の成果を生かし、全然埋まらないことを良いことに、3ヶ所もショートカットして登っていく。おかげで、尾根に取り付くc310林道分岐までの3.5kmほどの林道を30分も短縮でき、1時間で到着できた。
 

 c310林道分岐から、トドマツの植林地を抜けて、南東尾根を目指す(3)c370付近で尾根の途中に乗る。尾根は広く、緩やかで、山スキーで登るには絶好の尾根である。しかし、灌木が煩くすんなりとは登らせてくれない。ところどころにトドマツの人工林があり、その中をくぐり抜けて登っていく。c440付近で林道を横切る。

 高度を稼いでいくと、目指す先に二つの尾根が合流するc700付近のピークが見えてくる。

 803ピークに近くなってくると、樹林が濃くなってくる(4)下山時に同じ尾根をスキーで下るには、かなり面倒だ。幸い、803ピークからは、オープン斜面となっている急な東斜面を滑り降りる予定なので心配はない。

 803ピークの手前から、下りで滑り降りる予定の東斜面を覗く。なるほど、下からも見えたが、みごとなオープン斜面だ。その先に目指す頂上が見える(5)

○803ピークの先から頂上まではツボ足でピストン 

 803ピークを越えると、雪庇の上から目指す頂上とその手前の垂直に切り立った岩崖と頂上から続く尾根の断崖絶壁をスッキリと望むことができる(6)その先は、灌木が煩くてスキーでの歩きは困難になってくる。先のポコを越えたところでスキーをデポする。カンジキも用意して来たが、幸い、堅雪状態なので、ツボ足で楽に歩くことができる。コル付近からは右側の崖の上に発達した雪庇の根元を歩くようになる。コルを越えて登っていくと、頂上手前の岩壁を真横から眺めるようになる。そこまでの稜線に発達した分厚い雪庇は、昨日の高温や雨で崩落したようだ(7)
 
左側には、平らな万畳敷が広がり、その先に袴腰岳〜烏帽子岳〜横津岳の連なる様が新鮮な眺めである(8)。さらにその右手には、熊泊山とその奧に駒ヶ岳も見える(9)

 東側は断崖絶壁だが、西側が緩やかな斜面なので、張り出した雪庇にだけ注意すれば危険なところや怖いところは全くないようだ。を

雪庇の発達した稜線を進み、やがて荒々しい岩崖を右手に見ながら(10)灌木に覆われた急な尾根を登り、頂上を目指す。

 岩崖の上を越えて、右側が断崖となっている急な尾根をひと登りすると、二つの山頂標識に迎えられて、3度目となる頂上に到着。右の新しい標識は以前に登ったときにはなかったものだ。それにしても青空が美しい(11)

 無風で、気温はそれほど高くはないが、まさに春の陽光が降り注ぐ。360度遮る物のない大展望を眺めながら、のんびりと昼食を摂る。

  残念ながら、大船地区は左手の尾根の陰で見ることはできない。


南側の眼下には、南茅部の海岸線が連なり、その先には端正な古部丸山が見えている(12)青く輝く太平洋には、いつもは養殖昆布の手入れなどで夥しい数の漁船が浮かんでいるのだが、今日は一隻も見えない。土曜日なので、沖止め日なのだろう。

 登ってきた尾根を振り返ると、越えてきた803ピークとその奧に三森山が見えている(13)

 予定より早く着いたので時間的余裕もあるが、立ち去りがたい想いを振り切って下山に掛かる。

 スキーデポ地点まで戻り、スキーを着けて煩い灌木を掻き分けて803ピークまで戻る。


○803ピーク東斜面を滑り降りて下の林道へ

 803ピークでシールを外す。下りは、下から見上げても、なぜか下まで樹木の生えていない沢地形の東斜面を滑り降りることに・・・上の方は30度以上はある急斜面だが、ガリガリのアイスバーンで全く緩んでいない。

 少しでも溶けていれば、標高差400mほどの快適な滑降を楽しむことができるのだが、転んだらずっと滑落しそうな感じなので、横滑りを繋いでのターンしかできない。無理して怪我でもしたら、だれも通ることのない斜面だけに慎重に滑り降りる。

 それでも、c500付近からは斜度も緩み、心地よい滑りを楽しむことができた(14)

 この後のルートは、c400付近から南へ方向を変えて、c321の分岐から登ってきている林道に出るべきなのだろうが、大船に住んでいたときに良く車で来ていたc210の分岐から続いている下の林道に出たくて、そのまま直進する。地図でも覚悟はしていたが、その先に横たわる河岸丘崖はスキーでは滑り降りることは困難なので、スキーを脱いで、ツボで下った。そこを下り、沢を越えたら、地図にない林道にぶつかった。

 その林道を滑り降りていったら、昔良く山菜採りに来ていた林道に合流する。振り返ると、左側に滑り降りてきた803ピークの東斜面とコルを挟んで岩崖と頂上が見える(15)昔懐かしい林道を滑り降りて行くとc210分岐で、登りで辿った林道へと合流する。下りの林道はショートカットはしないで、道なりに滑り降りる。ガリガリのままなので、とても良く滑る。ショーカットしても35分掛かったc210の林道分岐からは半分以下の15分でゴールイン。

 天候にも、雪質にも恵まれ、数年来の念願を果たし、大満足で大船温泉へ向かう。

01,5,13の万畳敷からの「泣面山」   05,7,19の万畳敷からの「泣面山」  


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