増毛・天狗岳(岩尾天狗)(973m)
<大別苅トンネル入口〜別苅林道ルート> ツボ足 単独 13、5,24
3つのピークを持ち、昔の増毛山道の一部を歩くことができたおもしろい山だった

6:00 浜益温泉駐車場発
7:10 大別苅トンネル増毛側入口
登山
地 点
下山
 7:20
 8:35
 9:05
10:00
10:45
11:05
11:40
大別苅トンネル増毛側入口
林道分岐付近(460m)
増毛山道合流(600m)
武好駅逓跡付近(640m)
三角点・天狗岳(938.5m)
天狗岳最高ピーク(973m)
三角点・岩尾天狗(944.3m)
14:05
13:10
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12:30
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12:00
[4:20]
所要時間
[2:05]

15:00 ホテル・オーベルジュましけ(入浴)
18:00 増毛市街地の公園駐車場(泊)

 今回の山旅は、増毛山系を中心として、幌天狗以外は計画を立てずに、状況を見ながら、現地で考えることにしていた。昨日の残雪状況から、標高400m辺りまで林道の延びている山を地図で探したら、お誂え向きの増毛・天狗岳(973m)がみつかった。

 ネットで調べてみたら、HYML仲間の記録も多かった。600mほどまで林道が続き、その先で昔の増毛山道の一部を歩くことができる上に、最高ピークには三角点がなく、その両側に三角点ピークが2つあり(938.5mの二等・点名天狗岳と944.3mの三等・点名岩尾天狗)、地図上には、この3つのピークをまとめて「天狗岳」と表示されている興味津々の山である。

 増毛山道とは、江戸末期に急峻な断崖によって交通の難所とされた増毛〜雄冬間を迂回すべく、幕府の命を受け、増毛の漁場を請け負っていた商人「伊達林右衞門」によって、安政4年(1857年)に私費1500両余を投じ開削された山道である。現在の石狩市浜益区幌と増毛町別苅を結ぶ全長約27.8kmに及び、1000mを越える浜益御殿や雄冬岳を越える山道であった。 昭和20年頃まで使われ、最近まで草木に埋もれていたが、平成21年から2年余りをかけて「増毛山道の会」の手によって、笹刈りをし別苅〜岩尾間16kmを復元されている。

 ○まずは、稜線上の増毛山道を目指して林道を進む

 大別苅トンネルの増毛側入口から旧道の通行止めのゲートを潜ってスタート(1)。舗装道路を10分ほど歩くと分岐があり、別苅林道へと入っていく(2)

 20分ほどで雪が現れ、30分ほどの標高300mで完全に残雪の道となった。やがて、c450m地点の林道分岐付近へ到着。右へ進むと天狗岳へは近いが、増毛山道を歩きたいので稜線上へ続く左の道を進んだ(3)右の道は帰りに戻ってくるときに利用することにした。
 
610mで増毛山道の通る稜線に到着。「増毛山道I63」と書かれた丸く赤いプラ板見つける(4)。そのすぐ先に古い電柱が立っていた(5)

 そこから、稜線上には、「増毛山道の会」の手による番号の書かれた丸いプラ板標識(B40〜49のほかにI58などあり)と10本ほどの木製の電柱を見ながら進む。夏は、この下に復元された山道があるのだろう。今年中に、その「歩く会」に参加してみたいと思いながら進む。

 左手に暑寒別岳を中心とした増毛山塊の山々が広がる(6、7↓)。昔の旅人はこれらの山々を眺めながら歩いたのであろう。特に右手に見える浜益御殿から雄冬岳は増毛山道の1000mを越えるルートでもあっただけに、それらを越えてくるのは大変な難路だったと思われる。

 ちなみに、浜益御殿〜浜益岳は、00年5月に、浜益御殿〜雄冬岳は06年5月に登っている。


 


 増毛山道を辿る稜線の先には、これから登る天狗岳手前のピークが見える(8)。増毛山道は、この斜面の左側をトラバースして雄冬岳方向へ続いていたようだ。この登りに掛かるc640付近の平坦な広い場所には昭和20年頃まで利用されていた武好駅逓があったらしい。最後に目にした丸いプラ板標識は「B49」だった(9)

○増毛山道と別れて、天狗岳の3つのピークを目指す


 増毛山道と別れて急な斜面を登る。この斜面はスキーで来たら、もっとも滑りを楽しむことができるところだろう。登り切ったところから振り返ったら、自分が歩いてきた増毛山道の通っている稜線と海岸線が見えた(10)。その先にポコンと飛び出た感じの三角点ピーク38.5m(二等・点名天狗岳)が見えてきた(11)


 なるべく藪を避けたかったので、右側から巻くように登り切った藪の中に二等三角点はあっさり見つかった(12)。次に広い斜面の向こうに見える最高ピーク(973m)を目指す(13)


 最高点ピークの頂上はハイマツに覆われた岩稜だった。特に頂上を示すような物もなく、自分でピンクテープを巻いて雄冬岳をバックにリュックの写真を撮った(14)

 次は、ハイマツやダケカンバの露出している先に見える最後の944.3mの三角点ピーク(三等・点名岩尾天狗)である(15)

 心配したとおり、雪が上手く繋がっていなくて、右往左往した。ネマガリダケやハイマツの藪に阻まれて止めようと思ったところへ、進行方向へと続いているウサギの新しい足跡を発見。ウサギは藪漕ぎはしないだろうと、その跡を辿っていったら、なんとか残雪を繋ぐことができた。まさに「ウサギ様々」である。

 しかし、ハイマツで覆われたピークに潜り込んで探したが(16)、三角点は見つけることができなかった。隣のピークも探したがやはり見つからなかった。この3つのピークを踏むだけで1時間を要した。少し戻って風が避けられるところで昼食タイムとした(17)

○武好駅逓跡まで戻り、沢斜面をトラバースする林道から下山

 下山は、2つのピークをパスして、藪のないところを歩き、増毛山道の駅逓跡まで一気に下った。

 その先からは、往路と離れ、沢の源頭付近まで延びている下の林道をめがけて下った(18)斜面をトラバースしているその林道を辿ると、予定通り、450分岐付近で登りのトレースと合流(19)

 途中で、ギョウジャニンニク、ウド、コゴミなどの山菜を少々採り、往復7時間弱の行動で無事ゴール。歴史ある増毛山道の一部を歩き、藪漕ぎをしながらも天狗岳の3つのピークを踏破できた大満足の山行だった。

 下山後、増毛へ向かい、増毛出身三國清三シェフ監修ホテルオーベルジュましけのトロン温泉へ。そこで、ブログ更新し、増毛市街地にある以前にも泊まったことのある公園駐車場へ。土曜日だったこともあり、駐車場は車中泊の車で満杯だった。



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