このルートは、バリエーションルートとして名前は聞いていたが、大沢や二の沢のように踏み跡もなく、迷いやすいルートであることから単独初挑戦は無理なので、願ってもないチャンスと参加することにした。おまけに季節はずれの寒波と大雪に見舞われ、夏山の終わりのつもりが冬山の始まりという思っても見なかったワイルドさと楽しさ倍増のオフミ登山となった。
前日、慌てて車のラジアルタイヤを買い換えてセットしてもらい、
仕事を終えてから翌朝の集合場所である支笏湖畔モーラップの樽前荘まで走り、その駐車場で夜を明かす。朝起きたら、一面の銀世界である。札幌から5名、岩内から1名、リーダーとなる苫小牧からIさんとサブリーダーのOさんの9名が集合する。下山ルートに使う北東尾根の登山口へ2台車を置いて、ロックサムルートの登山口となる林道入り口へ向かう。残念ながら目指す頂上はガスの中である。
落ち葉の上にさらっと雪が積もった林道を進む。歩いた跡に現れる落ち葉と雪のコントラストが美しい(1)。本来ならば、直ぐに左側の沢地形に下りなければならないのでだが、話している内に過ぎてしまい、ちょっと戻って藪を漕ぎ、広い沢地形(涸れ沢)に下りる。その沢地形の中を右側の尾根に沿って進んでいく
。
ところどころで左側から複雑に合流する地図には現れない沢地形が気になる。
だんだん狭くなり、涸れ沢ではあるが、豪雨のときにでも流された岩や流木や削れた崖が目立つ荒れた沢相になってくる(2)。雪で滑る岩に注意しながらもの沢歩きの気分である。
斜度も増して、歩き始めて1時間30分ほどで、右側にこのルートの名前の由来となるロックサムが見えてくる。予想していたより太くがっしりとした岩塔である。てっぺんに松が生えているのがかわいい(3)。
少し登って、振り返るとロックサムが少しスマートに見え、その後ろに支笏湖の湖面が覗く(4)。まもなくすると水流が現れ、苔の生えたかわいいF1が現れる。滝自体は小さいが、高巻きが大がかりな大高巻きである。
それを越えると、やがてF2にぶつかる。そこから進路を左側から合流する沢地形に変える(5)。
上を見上げると、その沢の途中に落ちてきたら逃げ場のないような大きな岩が鎮座している。その岩を巻いて、Iさんのルートファンディングの後ろに付いて、ここが一番急だという斜面を笹や木の枝などを手掛かりにして黙々登る。手袋は濡れて冷たいが、体が熱い。やがて斜度が緩み、支尾根の上に乗る。
ここからいよいよ本格的な藪漕ぎに入るいうことで、少し休憩し、下の合羽ズボンも着け、冬山完全装備になる。最初は頭より少し高い位の笹藪である。
Iさんを先頭に雪に覆われた急な笹藪の尾根を進む。歩いた跡の雪が払われ、そこだけが道路のように見える(6)。
笹を掻き分けながら、頭から雪をかぶり、足下は濡れた笹で滑るというきつい登りである。そんな中、
途中から一部だけガスの晴れた支笏湖面が見える。一面の樹氷と青い湖面の色のコントラストが美しい。一同、その美しさに歓声を上げる。湖の向こうにはイチャンコッペ岳だけが見えている(7)。
やがて、その尾根の右側に鹿道が続き、藪漕ぎをしなくても済むところがうれしい。そんな鹿道に助けられて、コンタ1000地点に到着。そこからは真東に進路を変えて、両側から源頭が突き上げてできた分水嶺のコルに一度下りて、頂上とニセピークの間のコルめがけての急登となる。