1000コンタ地点から一度下りた後の頂上稜線めがけての登りは、笹藪ではなく、密度の濃い樹氷帯の急斜面の藪漕ぎである。目指す稜線はガスで見えないが、まずはIさんを先頭に林の中に潜り込んで行く。少しすると、一面樹氷で真っ白な丈が首の下ほど密度の濃い灌木の中を掻き分けながら泳ぐように進む(1)。たまにツツジの木があるが、その樹氷は、まさに珊瑚のような感じに見える。

 密度の濃い樹氷帯の藪漕ぎは、IさんとOさん以外は私を含めて多分初めての経験であろうと思われる。とくに女性陣は、どちらかというと低山歩きが主で、夏の藪漕ぎすら経験の少ないはずなのに、みんな元気で楽しそうなにニコニコしているのにはびっくりである。そんな登りを20分ほど続けると、ようやく夏道の稜線が見えてくる(2)。そこで一息入れ、各自エネルギー補給をし、一気に稜線を目指すことにする。

 ようやく、岩場が見え、夏道の稜線へ到着である。ニセピークのすぐ下のコル辺りであろう。ガスの中から時々頂上とそこまでの白い道が見える(3)。本日、最初の200mほどの林道歩き以来、5時間弱振りの平らな道である。なぜか、ほとんどの人が滑るわけでもないのに転んでいる。「みんな掴まる藪のない平らな道の歩き方を忘れたらしい。」などと笑いながらも、目指す頂上はもうすぐである。

 5時間弱で、積雪10cm以上雪に覆われた誰もいない頂上へ到着する(4)。みんな握手を交わし、山名が風不死にもかかわらず、風がほとんどないので、早速昼食の用意である。各自持ってきた主食のほかには共同のネギやウインナーや餅いりのラーメンである。やはり温かい物は体が暖まる。この寒さではさすが誰も山頂ビールを持ってきている人はいなかった。展望は初めから諦めて、誰も口にしない。この天候の中あのバリエーションルートを登り切ったことだけでそれ以上の望みは贅沢というものであろう。

 50分ほどで下山を開始することにする。帰りは、急な尾根にしっかりと登山道がつけられている北東尾根コースである。ここは6月の大沢から登ったときに頂上から少し下に飛び出した道であり、懐かしい想いはあるが、肝心の自分がそこまで辿ってきた大沢コースがガスの中で全然見えないのが残念である。

 急なところにはロープが固定され、また、下が全然凍っていないため予想より滑ることなく、ルンルン気分の下山である(5)。しかし、ほとんどの人は一度は転んだようである。下るにつれて雪が少なくなり、落ち葉が出てくる。その落ち葉は雪と一緒に靴の下にくっついて、高下駄のようになるのが面白い。

 やがて、林道に出る。落ち葉の絨毯と周りの紅葉の作り上げる様相が美事な中を(6)、わずか1時間30分で車をデポしておいた北東尾根の登山口へ到着する。ロックサムルートの林道入り口へ移動して、解散する。全員予想を遙かに超えるワイルドな山行に大満足である。

    



felさんとIさんからの私の写った追加写真

カメラを取り出そうとしているのかな?

支笏湖の眺めにうっとり

樹氷帯藪漕ぎの途中で(左、リーダーのIさん)

満足そうな顔で・・・・。


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