19日目 2004、10,23 (晴れ)  38番  <39.7km> トータル<523.7km>    

<民宿月白>6:20→(38.7km+1km)→38金剛福寺→15:50<宿坊>(足摺岬)

○ウォーキングハイ状態を楽しみながらの快歩。
 前夜、「朝食は早ければ早いほど助かります。」と話し、6時頃を予想してのんびりしていたら、なんと5:30過ぎに用意されているのには驚いた。

 6:20、缶コーヒーとバナナの接待を受け、門のところまで見送ってくれるママさんに丁重なお礼を言って、昨日に続いて長袖シャツでスタートする。北海道は「平地でも雪が降るところがあるでしょう」という天気予報であるが、こちらとは雲泥の差である。

 まずは、四万十川の堤防の上の道を進み、1.5kmほど下流の四万十大橋を(1)、昇る朝日を見ながら渡って、本日の目的地である四国の最南端・足摺岬にある38番の金剛福寺を目指して、ひたすら国道321号線を歩く。

 8:00、これまで通った中でもっとも長い1620mの伊豆田トンネルの前で、最初の休憩をする。宿でいただいた缶コーヒーを飲み、長袖シャツから半袖のTシャツに替える。トンネルは、比較的新しいトンネルで1.5mほどの歩道が設置され、換気の状態も悪くはない。途中で隣町の土佐清水市へ入る。17分でそこを抜けると、表面は一面ヒノキの山であった。

 これ以降は、ウォーキングハイの状態になり、いくらでも歩ける感じになり、大岐海岸の砂浜の端の渡渉地点の11:20までまったく休むこともなく5km/時間ペースで歩き続ける。

○農道と兼用で生きている遍路道 
 下ノ加江川の橋を渡り、九百々の集落までの18kmは国道321号線から離れる遍路道もない。ここまで4時間で18kmを歩いた。いいペースである。

 それ以降はときどき海岸段丘の上の農地の中に農道と兼用の遍路道が現れるのがうれしい。 ただし、この辺りから同じ道もあるが、また違う道もある「あしずり遍路道」というのが登場する(2)。宿でネットで調べようと思ったが、auは圏外なので、調べようもない。(このページの更新もできない。)

○楽しい遍路道、大岐海岸の「はまみち」
 10:00,海岸線の国道へ出ると、今日のゴールの足摺岬が射程距離に見えてくる(3)。その先で再び蟻崎をかわす遍路道を抜けると、今日の楽しみだった昨日の入野の砂浜と同じ感じの白砂青松の大岐海岸の砂浜が見えてくる。ここは、砂浜の波打ち際が「はまみち1.6km」としての遍路道となっているのである。ちなみに、国道をそのまま進むのは「おかみち2.0km」となっている。

 降り口からおり、小さな川に架かる小さな橋を渡り、波打ち際に下りる。向こうに足摺岬を眺めながら、波打ち際を気持ちよく歩く(4)。サーフィンで波に戯れる若者の中に混じってアサリ採りのおばさんたちも見える。砂の表面に穴が空いていて、そこから出入りして立ったままの姿勢でもの凄い速さで走るカニの姿をたくさん目にする。


 その1.6km先の端まで気持ちよく歩いていくと、最後は川が流れている。いくら探しても、靴を脱がずに渡れるところはない。仕方なく靴を脱いで裸足になり、幅3mくらいの川を渡る。冷たくて気持ちがいい。

 川を渡ると、その先の岩盤の先に遍路道の標識があり、トンネルのような急な岩盤の上の道が続いている(5)。

○ワイルドで楽しい「以布利遍路道」と地図には載っていないアップダウンのきつい窪津漁港までの遍路道
 やがて、以布利という集落の手前に平成遍路道の標識が立っている(6)。そこで、国道を離れ、その集落へ下りて、そこを通過する道が遍路道となっているのである(7)。

 以布利の集落を抜け、漁港の端から海岸に下りる。海岸は数回の台風の置きみやげの漂流物が山のようになっている。

 その先には標識がなく、ちょっとウロウロし、海岸を先へ進むと岩崖の沢地形のトンネルのようなところに登り口を見つける(8)。

 ここから上の道へ抜ける急登は剥き出しの岩盤の上のこれまでで最もワイルドな道である。そこを登り、少し歩いて再び国道に出るが、すぐまた、山側の遍路道へ入る。

 そこを抜けると、地図には載っていないが、再び山側に遍路道の入口を見つける。

 そこには、「この遍路道は坂道が多いので1時間かかります。国道を行けば30分です。まむしに注意してください」と書かれた看板が立っている。昼食を摂る場所もなかったので、宿でもらったバナナを食べて、その遍路道へ入る。

 かなり高い地点まで登るので、樹間のはるか下に海面が見える。また、沢が何回も横切るので、そのたびにアップダウンを繰り返す。しかし、昔から歩き込まれている感じの道で(9)、途中に石垣などもあちこちに見られる。途中で休憩して、今日の宿の予定の金剛福寺の宿坊を予約する。

 13:15,最後は、墓地の中を通り、漁港祭りで賑わう窪津漁港へと下りていく(10)。本当に1時間近くを要した。遍路地図の距離より1kmは多く歩いたであろう。でも、ここまで来ると、あとは残り8kmである。出店のたくさん並ぶ漁港の敷地へ下りて、昼食を兼ねて大判焼き2個とイカ焼きを買って食べる。

○1日50kmを歩き続ける大分の青年Fuさん
 途中で、この旅初めて他人に追い付かれる。遍路の格好は一切してない細身の青年である。彼は私のことを「速いですね〜。追い付くのに大変でしたよ。」と話していたが、聞くと、暗い内に出ることなくこれまでに毎日50kmの歩きを自分に課して歩き続けているそうである。藤井寺〜焼山寺を3時間半で抜けたそうである。自分が4時間でも速いと言われているのに、凄い速さである。その途中で不思議な梵鐘の音を聞いたり、雨の中の山中なのに線香の臭いを嗅いだりという不思議な体験をしたそうである。途中、無料宿泊所も兼ねた遍路休憩所(11)からお寺と宿坊まで1時間半ほど同じペースでお喋りしながら歩く。

 夕食時に話を聞いたら、家が神道系のある宗教の宮司で、父親が病気で倒れたので、跡継ぎをするために、これまでの仕事を辞め、修行のつもりで歩いているとのことである。遍路の格好を一切していないのは自分の宗教との関係のようであるが、納経はきちんとしていた。

○初めて泊まる宿坊と足摺岬
 これまでの最長距離の40km弱を9時間で南端の金剛福寺(12)に到着。参拝と納経を済ませ、今回初めての宿坊(13)に入る。朝5:50からのお勤めへの参加以外は、普通の旅館と同じである。

 さすが足が疲れているので休みたいと言うFuさんを置いて、一人で足摺岬の散歩を楽しむ。白い灯台、岩に白い波が砕けるエメラルドグリーンの海と空が果てしなく広がる眺めが、四国の最南端に来た感を強くする(15,16)。

 40人の団体が入っていたが、個人はFuさんと、これで3回目という70代の男性、高知県へ入ってからは公共の交通機関を利用して歩いているという50代の女性の4人で、同じテーブルの夕食で会話も弾む。

○最長距離に決めた次の39番延光寺までのルート 
 この38番から次の39番までのルートは全部で6コースもある。Fuさんは下ノ加江まで戻る最短距離の50.8kmを一日で歩くとのことである。彼なら可能であろうが普通は2日がかりである。

 自分は、遍路地図に書かれていた次の一節に心動かされて、下ノ加江まで戻るのもいやなので、最長距離の72.5kmの月山神社宿毛経由のコースを採ることに決める。
 それは「古来、金剛福寺を打ち終えた遍路は、次のいずれかを選ぶことを不文律としてきたと伝えられる。1,打ち戻って(下ノ加江まで?)延光寺から篠山詣でをする。2,月山詣りを終えて延光寺を打つ。(中略)
一方、多くの遍路が断崖・屈曲の細道を通り、月山詣りをした苦労・・・(後略)」である。

 宿坊の若奥さんにも、「余り歩く人は少ないけど、昔からの遍路道で、景色は抜群ですよ。ぜひそのコースを歩いてください。」と勧められた。32km地点にあるはずの民宿叶崎に明日泊まり、明後日、月山神社にお詣りし宿毛経由で40km歩き、39番の延光寺を打つ予定に決める

○支出
賽銭40円、納経代500円、スポドリ&お茶300円、大判焼き&イカ焼き500円、缶ビール&瓶ビール850円、宿代5,750円<合計7,940円>

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