11日目 2004、10,15  28〜29番  (晴れ)  <35.0km>  トータル <318.9km>

<ビジネスホテル弁長>4:40→(24.4km)→28大日寺→(7.5km)→29国分寺→(3.1km)→14:45<稲吉屋旅館> 

○星を眺めながらスタートし、7市町村を通過
 今日の予定は、距離のトータルが36kmの予定で、これまでで最長距離である。地図を見ると、その間に安芸市、芸西村、夜須町、香我美町、赤岡町、野市町、土佐山田市、南国市と立て続けに8市町村も通過することになる。

 4:40、5時には出る予定だったが、早く目が覚めてしまって眠れないので、ホテルを出てしまう。新月のせいか月はなく、満天の星空である。しかも、非常に気温が下がっているようで、Tシャツではうでが冷たいくらいである。長袖のシャツも持ってきているが、歩いている内に温かくなるであろうと我慢をして歩く。

 とりあえずの目標は24.4km先の28番の大日寺である。寒いので、早いピッチでどんどん歩く。なかなか温かくならず、腕に鳥肌が立っている。安芸漁港からの15kmは、多分昔の鉄道の跡地を利用したと思われる自転車道路が続く。夜が少しずつ明けてくるにつれて星がだんだん消えていく。

 汗もかかず、寒いので休む気もせずに黙々と歩き続ける。東の空が明るくなってきたころ、1時間半で赤野休憩所に到着。トイレもあるので、そこで最初の休憩にする。

 6:30、太陽が昇り、目の前の道に長い自分の影ができる。まさに足長遍路さんである。海を見ると、2艘の船が並んで海岸近くをゆっくり進んでいる。その後ろには浮き球が見え、それがずっと前へ進んでいる。多分2艘の船で網を引いているのであろう。何という漁法か知らないが、反対方向へもひと組が同じように進んでいる(1)。

 やがて安芸市を抜け芸西村に入る。右手の国道55号線との間にずっと高架のJRの鉄道が続いている。この辺りは琴ヶ浜というらしいが、松林の中に自転車道路が続き(2)、早朝ウォーキングの人たちとすれ違うようになる。その松林の中に自然のままのサボテンがあちこちに見られるのも北海道人にとっては珍しい光景である(3)。海水健康プールの建物の隣の公園に、この村の出身である。坂本龍馬の妻とその妹の「お龍君枝姉妹像」が立っている(4)。その説明を読みながら休憩する。

 自転車道路ばかり歩いていると、家並みも見えないし、店も分からない。7:00になり、腹も減ってきたので、慌てて地図でコンビニを探す。幸い、琴ヶ浜から国道に抜けて少し戻るところにローソンがある。そこで、弁当とお茶を買って、店の横で落ち着かない朝食を摂る。

 芸西村も隣の夜須町もわずか1時間で通過してしまうのには驚いていたら、その隣の香我美町はわずか20分で通過してしまう。赤岡町に入ったと思ったら、ここも25分で抜ける。次々と役場が現れるのには北海道では考えられないので非常に奇異な感じを受ける。
 
 夜須町を歩いていると、港の方に見たことのない変な斜めの建造物が見えてくる。近づいていくと手結漁港の上にかかる可動式の橋である。一日に6回ほど時間帯を決めて通ることができるらしい(5)。

 香我美町からは海岸線から離れ、昔からの街道筋を歩くようになる。古い家並みを見ながら歩くことができるのでうれしい。魚屋さんの前を通ったので、並べられている魚を見てみる。やはり、函館ではほとんど見ることのない魚ばかりである。その店の奥さんがいろいろ説明をしてくれるが、聞いたことすらない魚もあった(6)。

 高知県に入ってから、ずっと気になっていた建築様式がある。それは家の壁の途中に何段も突き出た庇がが付いているものである(7)。昨日まで一緒に歩いたKoさんの姫路にもないそうである。彼の話によると、高知県は雨風が強いので、漆喰の壁を保護するためのものらしい。

 赤岡町からは海岸線から離れ、内陸の農村地帯を走る国道55号線を進む。野市町で県道22号線に入り、向きを北側に変えて、山の方へ入っていく。

 10:45、予定どおり6時間強で大日寺(8)へ到着。24.4kmなのでちょうど1時間4kmペースになる。暑くなかったことが幸いしたようである。大日寺というのは、すでに、これで3寺目である。真言宗は大日如来を本尊にしているところが多いせいであろうか?

 次の寺は7.5km先の国分寺である。ずっとのんびりとした農道が遍路道となっていて、のどかな雰囲気である(9)。ここの間には食堂もなく、途中のスーパーで焼き魚弁当とお茶を買って、店の前の椅子で食べさせていただく。

 土佐山田市を通り、南国市に入る。途中で行き会った中学生の男の子たちが、「がんばってください!」と声を掛けてくれる。思わず、うれしくて「ありがとう!」と返す。

 13:45、国分寺に到着する。このお寺は農地の林の中にある寺である。本堂の屋根が瓦ではなく、茅葺きであるのが珍しい(10)。国分寺もこれで2寺目であるが、あと2寺ある。と言うことは、一国に一つか?そのせいなのか、今日の寺は土佐国分寺となっていた。

 納経を済ませ、今日の宿をここから一番近い後免駅近くの稲吉屋旅館(11)に決めて電話する。時間的に夕食は用意できないとのことであるが、仕方ない。

 旅館をめがけて、地図を見ながら歩いていると、車が停まって、「道間違えていませんか?」と聞かれる。すなわち遍路道でないところを歩いているので、そう思われたらしい。宿はかなり古い時代に建てられたらしく、快適とは言えないが、いろいろな調度品に懐かしさを感じるものが多い。

 後免駅の方へ夕食を食べに出たが、全然食堂がなく、ようやくうどん屋を1軒見つけて、ビールを飲んで天丼セットを食べる。

○支出
賽銭80円(20×2×2)、納経料1,000円、スポドリ150円、朝食(コンビニ弁当+お茶))418円、昼食(コンビニ弁当+お茶)470円、傷テープ100円、夕食1,350円、宿代(素泊まり)4,200円、<7,768円>

○明日の予定
<稲吉屋旅館>→(8.1km)→30善楽寺→(6.6km)→31竹林寺→(5.7km)→32禅師峰寺→(7.5km)→33雪蹊寺→(0km)→<高知屋> <27.9km>

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