12日目 2004、10,16  30番〜33番  (晴れ)  <29.0km>  トータル <347.9km>

<稲吉屋旅館>6:00→(8.1km)→30善楽寺→(6.6km)→31竹林寺→(5.7km)→32禅師峰寺(ぜんじぶじ)→(7.5km)→33雪蹊寺→(戻り1.1km)→15:45<民宿旅館英光>
 
○たくさんの橋を渡り、小さな高台や峠のアップダウンがを越える高知市内の4寺
 今日は高知市内の4寺を回ったが、適度な距離ごとに次の目標があって、トータル的な距離が気にならなかったが、いつも通り、疲れの出る午後からの雪蹊寺までは結構きつかった。

 高知市内の複雑な地形がそうさせるのあろうが、やたらと高知港に注ぐ大きな川の橋を渡ることが多かったのと、その川の間の高台を越える道が多かったという印象である。最後には高知港の入口の海を渡る橋があり、それがまた山越えのような高さであった。

 6:00、今日も結構距離があるのと寺の数も4つと多いので早めに宿を出る。やはり、朝は寒いくらいで、半袖のTシャツだけでは腕が寒い。しかし、昨日ほどではない。珍しく途中で熱い缶コーヒーを飲む。しかし、9時を過ぎたら異常に暑くなり、今日も地元の人との挨拶は「暑いですね〜」であった。「北海道から来たので余計暑いですよ。」と応えると、「え〜っ、北海道からですか?ずいぶん遠くから・・・」と返ってくる。

 宿が遍路道から外れていたの、遍路道に出るまで1時間ほど掛かる。途中、朝食になるようなものを売っている店もなく、腹を減らしたまま夜明けの道を黙々と歩く。途中、県道384号線へ出て、逢坂峠を越えると、高知市内である。眼下に高知市内のビル群が見える(1)。

 7:45、まずは、30番の善楽寺(2)へ到着。珍しく山門のない寺である。隣の神社には立派な山門と参道があるが・・・・。しかし、寺の前に小さな店があり、参拝が済んだ後、そこで牛乳とパンと美味しそうなかまぼこを買い、その前のベンチで朝食にする。

 次は、標高120mの五台山の上(3)にある31番竹林寺である。のどかな田園風景の中、両岸がコンクリートで固められた川のそばの遍路道を歩き、県道44号線へ出るが、この道路は次々と高知港へ注ぐ大きな川を渡る。

 だんだん、市街地へと入っていく。国道195号線をの賑やかな町並みを越え(4)、また大きな橋を渡り、再び田園風景の中、五台山の麓へ近づく。

 民家の間の細い道を抜け、山の登り口に差し掛かったら、後ろに、善楽寺で自分より15分ほど先に出ていった女性がいる。途中で道に迷ったそうである。この女性、同じ北海道の苫小牧から毎年春と秋に1週間ずつ来て、区切り打ちをされているそうである。

 この山の上には竹林寺の他に大好きな植物学者である牧野富太郎記念館と植物園がある。そこに寄ろうかどうかずいぶん迷ったが、結局はパスしてしまった。明日の休足日の市内観光のついでに行きたいと思うが・・・?。
 
 10:00、31番の竹林寺に到着。ここには四国唯一の五重塔がある(5)。竹林寺から下って、次は32番の禅師峰寺を目指すが、これも標高82mの高台の上にある。途中で石上池(6)のそばを通るが、池の周りに見たこともない薄紫の花が一面に咲いている(7)(後日、読者の方からホテイアオイの花だと教えていただく)通りかかった地元の女性に聞いたが、分からなかった。


 12:45,昼食を摂るところもなく、そのまま32番の禅師峰寺に到着。この下の遍路道は完全に自然のままで、昔からの遍路道で、しばしの登山モードを楽しむ。この寺の境内からは太平洋と桂浜方面の眺望が広がる(8)。海から吹いてくる風が汗を乾かしてくれる。

 ビニールハウス群の中の道を歩くが、大平山トンネルの入口に、皿鉢料理の店(皿に盛られている好きなおかずを自分で選んで食べる)を見つける。朝は満足に食べていなかったし、13時半にもなっていたので、好きなだけ取ってきたら、凄く豪勢な昼食になった(9)。

 昔の街道筋の道を辿り、渡船に乗ろうと思ったが、時間が間に合いそうもないので、港の出入り口の海の上に掛かる浦戸大橋を渡る(10、渡り終えてから写す)。直ぐ側の桂浜は、明日の休足日の市内観光に回し、今日の宿の民宿旅館英光へまっすぐ向かい、リュックを預かってもらい、33番の雪蹊寺を往復する。雪蹊寺の本堂は建て替え中で(11)、別のお堂を仮本堂として使っていた。

○防波堤の直ぐ側までびっしり連なるビニールハウス
 禅師峰寺から眺めてびっくりしたのが、海岸線にびっしりと連なるビニールハウス群である。普通の概念では海岸は漁業の場であろうが、ここは防波堤ギリギリまでが農業の場である。これまで覗いてきたビニールハウスは野菜中心であったが、ここは花卉栽培が中心のようである。

 ちょうど、見たことのない球根の植え付け作業をしているところへ通りかかり、寄ってみた。聞くと、グロリオサという南洋系のユリ科の花だとのこと(12)。近くに咲いているハウスがあるというので、見に行ったら、最近よく花輪に使われる赤い花びらの根元が黄色くなっている花である。こんなに背の高い花だとは思わなかった(13)。

 その球根の植え付け作業をしている女性に「北海道から来ました。」と話すと、「旭川の動物園に行ってみたい。」と言う。今年上野動物園を越えて日本一の入場者になったことをニュースで知っていたようである。

○2度目のお接待とうれしい心遣いのお接待
 今日、31番の竹林寺の境内に、お接待所を設けている売店があるが、参拝を終えてそこへ寄らないで納経所へ向かおうとしたら、そこ女性が駆け寄ってきて「お接待させていただきます。」とみかんを差し出してくる。これで、実質2回目である。

 しかし、形のあるものをいただくことだけをお接待と考えがちであるが、目に見えない心遣いのお接待をいただくことはずいぶんと多い。それは、道を尋ねもしないに、丁寧に遍路道の案内をしてくれる人は非常に多い。また、挨拶すると、「気を付けていらしてください。」「がんばってください。」などいう言葉を掛けてくれる。さらに、あちこちに立てられている遍路小屋や遍路休憩所もその種類であろう。今日は、狭い自分の土地に明らかにそのために個人で?建てたと思われる休憩所もあった(14)。

 今日の逢坂峠の手前の遍路小屋には、子供の頃から遍路さんへのお接待を見て育ってきたという近畿大学の建築科の教授が、自分の建築という仕事を通してお接待できることはないかと考え、自分の設計した遍路小屋を89ヶ所建てる運動を展開していることの新聞記事のコピーがが貼られていた。

○支出
賽銭160円(20×2×4)、納経料2,000円(500×4)、朝食(パン、牛乳、かまぼこ)398円、昼食(皿鉢料理)1,352円、お茶・スポドリ300円、線香300円、缶ビール2本600円、宿代6,000円<11,110円>

明日の予定
休足日 高知市内観光

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