10日目 2004、10,14  27番  (晴れ)  <23.4km>  トータル <283.9km>

<ホテルなはり>7:30→(10.3km)→27神峰寺(こうのみねじ)→(13.1km)→15:00<ビジネスホテル弁長> 

○昔の街道筋を通り、標高430mの登山モード
 今日は27番の神峰寺だけで、距離的には物足りないが、隣の安芸市に泊まるしかないようである。その次の宿の所在地までは36.4kmになってしまい、早朝出発するなら可能ではあるが、無理しないことにして、これで延べ4日目のお付き合いになる姫路のKoさんと同行し(1)、のんびりモードの一日にしようと思う。

 7:40、ホテルを出ると、うれしいことに快晴なのにヒヤッとする。この秋一番の冷え込みだそうであるが、Tシャツ一枚でちょうどよい感じである。今日は登山モードの寺であるので、汗もあまり掻かない方がうれしい。

 宿を出て、ずっと国道55号線ではなく、その直ぐ側を通る昔からの街道筋を歩けるのがうれしい。涼しいので、二人とも快調な足取りである。しばらく進むと、表面に神峰寺の建つと思われる山が見えてくる(2)。

 9:20、1時間40分で、その取り付きまでの7kmを歩く。ここから3.4kmで、410mの登りである。それほどの急な登りではないはずであるが、Koさんが「私と同じペースでは登れないので、先に行って欲しい」というので、そうさせていただく。この道はこの取り付き地点まで同じ道を戻るので、どこかリュックを預かってくれそうなところを探しながら登っていくと、ちょうど農家の方が縁側で洗濯物を干していたので、お願いして、その家の塀の陰に置かせていただく。

 山谷袋だけになり身軽なので、快調に飛ばす。登りモードになると、足が喜んでいる感じさえする。車と同じ道をしばらく登っていく内に便意を催す。トイレなどなさそうな農地の中である。しかし、ちょうど、よいことに材木の切り込みを入れている作業場にトイレを見つけて借りることができた。これも弘法大師の導きであろうか?その後、本堂へ入ったら階段の表面に「みちびの大師像」が立っていた。

 2kmほど車道を登ると、歩き専門の遍路道がある(3)。この道はときどき車道を横切るが、珍しく終始人の手の入っていない1200年前から続いてきたであろうまったくの自然道である。その道を登り切って、再び車道を辿ると、駐車場である。

 約1時間で、3.4kmを登り切って神峰寺山門へ到着する。山門を潜って進むと、納経所の先に「土佐の名水 神峰の水」が岩の上から流れている(4)。思ったより冷たくないが、ひしゃくでたっぷり飲んで、空いているペットボトルに詰めて、本堂への階段を上る。

 本堂で納経を済ませ(5)、太師堂でも納経を済ませて、その壁に弘法大師の一生を絵と文で書いてあるのをゆっくり読む。あとで、写真に撮っておけばよかったと悔やむが、Koさんの言うことには、「本になっているので、探せばありますよ」とのことである。その一節に異性に対する欲望や行為はすべて純なことであると言った3フレーズが凄く人間くさくて気に入った。なんとかして、その部分だけでも入手したいものである。

 その後、納経所まで下りて、納経帳や白衣にサインや押印をしてもらっても、まだKoさんは到着していない。しかし、時間的余裕ももあるので、じっくり待つことにする。30分遅れでようやく到着する。その後、彼の参拝と納経を待ち、1時間休憩することができた。

 再び二人で下り、まだ早いが、駐車場の食堂で昼食にする。メニューもなく、聞くと「そばとうどんだけです。どちらも600円です。」という。二人ともうどんを頼んだが、出てきたうどんを見てびっくりする。これまで見たことのないうどんである。上に大根、南瓜、人参、苦瓜、オクラ、多玉葱、ササゲ、初めて見たリュウキュウなどの野菜がどーんと乗ったうどんである。二人とも大喜びで食する。味も非常に美味であった(7)。

 そこで、Koさんは「まだ少し休みたいので、先に下りてください。」とのことなので、HPの更新時間も欲しいので、遠慮せずに先に歩かせていただく。合計で1時間半も休んだので、すっかり疲れも取れ、快調に飛ばす。30分も掛からないでリュックを預けた農家に寄り、あとは10kmほどの道のりを歩き始める。


○エメラルドグリーンの海を眺めながら堤防の上の道を歩いて、安芸市市街地へ
  全然疲れもなく、これまでで最高のペースで歩き続ける。4kmほどは国道55号線を歩くが、途中で神峰寺で逢った男性に追い付く。まもなく、海岸の大山岬を回る遍路道に入る。海は太陽光線を反射させきらきら輝いている(8)。見る方向を変えるとエメラルドグリーンの海が広がる(9)。その岬を巻いて再び国道55号線に出ると、白い石碑が立っている。見ると「浜千鳥」の歌詞と楽譜が刻まれている。その下の説明板を読むとこのほかに「春よ来い」「叱られて」などの有名な童謡を数多く作曲したこの地の出身者の弘田隆太郎を讃える石碑である(10)。

 そこを越えると道の駅大山である。その先からうれしいことに安芸市街地の手前までの3kmほどが防波堤の上の道である。エメラルドグリーンの海を左手に眺めながら、静かな自分だけの道を歩む(11)。

 防波堤の道を下りて再び国道55号線に出て、しばらく歩くと安芸川の橋を渡る。ここまでの川もそうであるが、非常に水がきれいで、鮎釣りをしている人の姿をよく目にする。

 15:00、今日の終点のビジネスホテル弁長に到着(12)。ちょうど一人だけ空いていたので、Koさんに悪いがチェックインして、彼に別の宿を知らせる電話を入れる。

 1時間遅れで、ホテルの前まで来たKoさんをその先の旅館まで案内して、夕食を一緒に摂ることにして、ホテルに戻る。その後、電気屋へ行きたくて隣で立ち話をしている女性に聞くと、「歩いて行くには遠いので、ちょうど今そちらの前を通りますので、車で送りますよ。」といかにも南国の美人といった感じの若い女性が言ってくれる。車の中で話していると、「数年前、北海道の虜になって、1年に5回も行ったことがありますよ。」とのことである。その帰り歩いたら、わずか10分歩ほどの距離であった。

 ○延べ4日間のお付き合いだったKoさんとの最後の夜を近くの居酒屋で
  18:00、明日、大日寺で切り上げて帰るというKoさんとホテルの前で待ち合わせ、2軒隣の居酒屋で最後の夜を過ごす。この土地ならではのものを次々頼み、生ビールを3杯も飲んでしまう。今後のメール等でのお付き合いをお願いして19:30ごろにホテルに戻り、ヨッパラケ状態でHPの更新作業をする。

○支出
賽銭40円(20×2)、納経料500円、飲み物370円、昼食(野菜うどん)600円、夕食4,000円、宿代5,000円 <10,510円>

9日目へ戻る  11日目へ進む

「一人歩きの四国遍路旅日記」トップへ       HOMEへ

inserted by FC2 system