剣山(1205m)  
<剣山神社コース> 2名 アルミかんじき  15,2,3
A11,7,25の記録へ @95.7,9の記録へ
これ以上はないと思われる無風・快晴の「十勝晴れ」の下、スリリングな岩尾根の登りと大展望に大満足

6:30 芽室公園発
登山
地 点
下山
 7:40
 9:20
10:40
11:15
登山口
一の森(906ピーク)
南 峰
頂 上
14:00
13:05
12:25
12:00
[3:35]
所要時間
[2:00]

17:30 旭川・銭湯(入浴)
20:30 名寄道の駅(泊)
 四国の名山・剣山と同名の山で、北海道では珍しく信仰の山である。日高山脈の主脈を外れ、十勝平野に張り出した尾根の末端にあり、山頂部の岩峰や岩塔が目を引くアイヌ名はエエンチエンヌプリで、「とがった山」の意。登山口には四国の剣神社を勧請し祀った剣山神社があり、頂上には鉄剣も祀られている。

 清水町史によると、大正6年(1917)、小樽新聞帯広支局長、道会議員菅野光民により登山の道が初めて開かれた。翌大正7年四国剣山より、剣神社の分霊をここに移し、山すその大岩石の上に杜を建て、霊峰剣山とした。頂上には霊験あらたかなる大剣、古剣の神をまつるほこらが建てられて以来、信仰者、登山者が増加した。・・・・とある。北海道にしては、歴史のある山のようだ。
 
 山頂付近の東面は、切り立った花崗岩の岩壁となっており、いくつもの岩峰や岩塔を連ねた岩尾根となっている。そのために、上部では固定ロープや梯子なども出てきてスリリングな登りになる。日高としては特異な存在の山である。夏には2度登っているが、冬は初めてである。日高の山で登山口まで除雪されている山は非常に少ない。そんなこともあり、冬も人気の山である。

 芽室公園で車中泊の朝を迎える。まさに見事なほどの「十勝晴れ」の下で、剣山がくっきりとした姿で聳えていた(1)登山口へ着いたときは放射冷却で−20℃にもなっていた。

 山スキー登山には向かない山なので、アルミかんじきで夏道を辿ることにした。剣山神社の横から、昨日のトレースを辿ってスタート(2)。 下の方には、信仰の山らしく石仏が並んでいる(3)


 534ポコの上から目指す頂上とその手前の岩塔が望まれる(3)1時間ほど登って休んでいると、下から40代?の男性が追いついてくる。この後、ずっと最後まで同行することになり、常に先行してくれたので非常に心強かった。頂上でお話していると、拙サイトを良く見ていてくださっている帯広のMoさんという方だった。
 急な尾根を登って行くと、雪が少なくて岩がボコボコ顔を出しているところがあった(4)


 やがて、顕著な尾根となる(5)。ここを登りきったところが一の森(906ピーク)だった。頂稜の岩塔や岩峰が望まれる。2回登っている夏には木々の葉が茂っているので、ここまではっきりと見えた記憶がない(6)
 このピークからが、この山の核心部である。アップダウンが続く岩尾根となり、岩塔や岩壁の基部をトラバースしたり、潜ったりと変化に富んだ歩きとなる。雪があって、木々の葉がないこともあり、夏よりすっと迫力のあるスリリングな歩きだった。


 蛙岩を見落としたが、やがて、不動岩が現れる(7)。次々と現れる岩塔を巻いて登って行く(8)やがて、大きな岩壁の根元をトラバースして、登って行くと、ロープの設置された急登となる。


 やがて、足下からすっぱりと切れ落ちた断崖絶壁の細い稜線に乗る。ここは南峰で、コルを挟んでそそり立つ迫力満点の頂上岩峰が望まれる。夏よりすっと迫力があり、北海道らしくない眺めだ(9)


 右から回り込むようにコルへ下って、登り返すと、夏でもスリリングな3基の梯子が待っている。下の梯子は垂直に近く、登りより下りの方が、梯子に足が掛かるまで非常に怖かった(10)
 上の梯子をクリアすると、まさに絶頂の上の人となる(11)


 鉄剣が空に向けられて埋め込まれている岩の向こうには十勝平野が広がる(12)。後ろを振り向いたら、先ほど越えて来た南峰の迫力も凄い(13)


 西側には、日高山脈の主稜線の山並みが連なる。札内岳〜札内JP〜エサオマントッタベツ岳〜幌尻岳、その手前妙敷岳〜伏美岳〜ピパイロ岳〜1967峰などの山座同定に時を忘れる(14)。


 北側には、十勝平野を挟んで、十勝連峰〜表大雪〜石狩連峰〜東大雪の山々の連なりも見える(15)

 無風なので、気温は低いが陽光が暖かい。1年に何度もないみごとな大展望を楽しみながら、珍しく45分ものんびりくつろいだ。下りは、梯子に一歩目の足が掛かるまで、非常に怖かった。また、急な下りはスノーシューやかんじきでは慎重に下らないと滑落してしまいそうだ。一の森まで来て、ようやくスリリングさから解放された。 

 それにしても、この山麓一帯は、宗教色の強い地域となっている。『地図がガイドの山歩き』のsaijoさんの記録によると、剣山の登山口周辺には剣山神社をはじめ、岩見沢に本部を置く八大龍王大自然愛心教団の高王山大自然霊光院、さらには統一教会の別働隊とも言われている天地正教の施設などが点在し、道内では珍しく宗教色の濃い一帯となっている。天地正教については、宿泊施設を作るにあたり、ちょうどオウム真理教の事件があった当時ということもあって、地元・清水町では激しい反対運動が沸き起こったそうである。一方、剣小屋のすぐ下には高王山大自然霊光院があるが、こちらは登山者には好意的で、久山岳登山道も教団が維持管理しているようだ。両信仰宗教教団とも開祖は道内の人間であり、意外と身近なところに“教祖さま”が存在していることには驚ろかされる。


 
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