[60] 剣 山(1205m) [剣山神社コ一ス] 95、7、9(日) [天候 下/ガス、上/快晴]

変化に富んだ岩尾根と雲海の上に浮かぶ北日高の山並みを堪能する。
                
7/8(土)
20:00登山口山小屋(泊)
7/9(日)
登山地点下山
6:30
7:15
8:00
登山口
912mコブ
頂 上
10:10
 9:30
 8:45
[1:35]所要時間[1:25]

10:30 登山口
14:00 札幌
19:30 帰宅
 5合目付近の大岩の根元を巻いて
 今回の山行は、前日にチロロ岳、この日はと決めて出掛けてきたが、前日、天候がよくないので、先にペンケヌーシ岳を登ってしまう。天気予報がよくないので、チロロ岳は前日のうちに諦め、比較的予報のよい十勝側のこの山を目指す。日勝峠を越えても十勝平野や日高山脈はガスで覆われていたが、剣山だけはその全容を見せて迎えてくれた。
 
 国道から登山口入口の標識に導かれて、立派な舗装道路を走る。登山口には、剣山神社や信仰登山者のための大きな山小屋や信仰関係の施設が整っているのにはびっくりする。この山は、北海道では珍しい信仰の山なのである。今夜はここに泊まって、明日の剣山登山に備えようと決め、買い物と夕食のために町に出る。そのころには、剣山もガスに覆われて姿を隠してしまった。
 頂上岩塔を見上げる
 夕食は、国道に出たところにあった「かつ正」という看板に引かれて入ったが、ドライブインらしからぬシェフスタイルの主人が作る「ヒレかつ定食」が素晴らしく柔らかくておいしかった。蛍光灯の点っている山小屋に戻ると、札幌からきたという男性の先客が一人いて、もうすでに寝ているようである。

 すぐ横になるが、いつも通りのうつらうつら状態で、朝の3時半、その男性と共に起床する。ガスは小屋の周りをすっかり覆っている。その人は登るというが、私はいろいろ迷ったが、何も見えないガスの中のピークハンター的登山はポリシーに反する。「天候のいいときに再挑戦します。」と別れを告げ、札幌を目指して出発する。物凄く濃いガスの中を日勝峠まで走ったら、突如雲海から抜け、上空は快晴状態である。慌ててUターンし、登山口まで戻る。
 
 登山口のノートを見ると、札幌の男性より1時間遅れで出発。遅くなったという心理がどうしても足を速める。展望の利かない濃いガスの中ではあるが、足元のしっかりとした結構な急斜面の続く尾根道をどんどん進む。ガスに濡れたダケカンバやミズナラの新緑が美しい。信仰の山らしく、道端にずっと石仏が置かれている。
 剣が埋め込まれた岩塔
 ガイドブックに記されている半分の45分で中間地点の912mコプを通過する。ここからは、大岩をよじ登ったり、岩場の根元をトラパースしたり(1)の変化に富んだコースが続き、やがて、期待通り、ガスから抜け雲海の上に出る。
 岩の割れ目に割くクモマニガナ
 鎖場の急登を抜け、足元が断崖絶壁になって落ち込んでいる細い稜線に出る。一度下った頂上コルからは、天を突くようにそそり立つ頂上の鋭い岩塔が見え、その上で寛ぐ先客の姿も見える(2)。あの岩塔の上への登りには梯子が設置されているのはガイドブックの写真で知っているが、高所恐怖症の自分には無事辿り着けるかどうか心配なほどの迫力である。果たして目の前にその梯子の架けられた垂直に近い岩場の下に出る。梯子の針金は大丈夫だろうかと思いながら恐る恐るよじ登る。一か所登ったら、さらにもう一か所に二段の梯子が待っている。岩の上から顔を出す先客に迎えられて、まさに絶頂の人となる。

 眼下の十勝平野は見渡す限りの雲海の下であるが、夏の太陽が降り注ぐ青空の向こうには、芽室岳から十勝幌尻岳までの北日高の山々が連なっている。頂上の岩の上には、剣が天に向けて埋め込まれ、その周りが鎖で囲まれ、独特の雰囲気を醸し出している(4)足元をふと見ると、ほんの岩の割れ目にクモマニガナが健気に咲いている(5)久し振りの太陽を浴びながら、雲海とその上に広がる北日高の展望を楽しみながら(5)、二人で、いろいろな山の話をしながら、朝食をとり、しばし休憩。
 雲海の上の北日高の山をバックに
 彼より10分程遅れてこちらも下山開始する。梯子の下りは登りより怖い。そんな緊張感も無いよりあった方が絶対山は楽しい。そんな変化を楽しみながら、途中登ってくる人達に「上は晴れていますよ。」と教えながら、下山を続ける。あちこちの木々にかかるクモの巣についた滴が光っているのが美しく感じるのも満足感のせいであろう。
 
 登った山の全容も十勝平野も見えなかったが、変化に富んだコースと北日高の展望、久し振りの雲海の上に広がる快晴の空に満足しながら、札幌に向かう。
 

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