トワルタップコップ岳(314m) <今金町中里・上志文橋南尾根コース>  2名  05,02,10

山名の珍しさに釣られて挑戦したが、標高が低い割りに距離が長く、往復シールを着けて歩いただけの疲れる山

7:10 自宅発
9:10 ピリカスキー場駐車場
9:30 オオシブンナイの滝への林道入口
登山地点下山
9:40
9:55
10:50
11:40
12:10
オオシュブンナイの滝案内板前
上志文橋
林道終点
稜 線
頂 上
14:15
14:00
13:30
12:50
12:35
[2:30]所要時間[1:40]
14:40 クワプラザピリカ温泉(入浴)
17:30 帰宅

 渡島半島の分水嶺で八雲町と今金町の境界線上に標高300m前後の山が連なっている。この中に300mを越えるピークに2つだけ地図に山名が載っている山がある。以前からその珍名さがずっと気になっていた対になっているようなキムンタップコップ岳とトワルタップコップ岳である。

 山名について、 アイヌ語地名に詳しいあまいものこさんから、早速、掲示板の方に下記のような書き込みをいただきました。
 トワルは「水がぬるい」と言うような意味だったはずです。「ヤムワッカ」の反対です。トワルタップコップは「トワルベツの上流のデコボコ山」くらいの意味かと思います。キムンはkim(生活圏としての)山(内地で言う「里山」か?)、unそこにある、でキムンタップコップで「山のほうにあるデコボコ山」だと思います。


 キムンタップコップ岳にツアー客を連れて少し前に登ってきたという札幌の山岳ガイドのTaさんから、トワルタップコップ岳の偵察登山のお誘いを受け、お付き合いすることにした。彼とは、2年前の3月に登った太櫓岳で逢って以来のお付き合いである。

 地図上で検討したルートは、今金町中里地区のオオシュブンナイの滝への道路入口から入り、後志利別川に架かる上志文橋を渡って直ぐ南(右)の尾根に続く林道を利用し、その終点から尾根伝いに分水嶺稜線に乗る沿面距離約7kmのダラダラルートである。

 地図上で予想はしていたが、標高が低い割りに距離が長く、アップダウンの多いコースで、下山もシールを剥がすことができなかった。おまけに頂上感のない山で、疲れだけが残った歩くだけの山スキーである。

 9時過ぎにピリカスキー場の駐車場で待ち合わせ、私の車で、今金町中里地区のオオシュブンナイの滝へ入る道路の分岐を目指す。オオシブンナイの滝の看板は立っているが、その先の道は除雪がされてないので、そばの農家へ頼んで駐車をさせていただく。

 農道の上を進んで、かつて清流日本一になったことのある後志利別川に架かる上志文橋を渡る(1)。その先にはオオシブンナイの滝の方へ行く林道が続くが、我々のルートはその右側に延びる尾根の上に続く林道である。尾根に登る林道は見えるが、ポンシブンナイ川を渡る橋が見当たらない。

 仕方がないので、スノーブリッジを探して渡り、その林道に取り付く。林道は忠実に尾根の上に延び、周りはトドマツ林が続く(2)。1時間10分ほどで、林道の終点に到着する。ここまでも帰りの登り返しが多く、下山もシールを剥がすことはできないと覚悟する。林道の先の広い尾根を登り、その先の標高260mほどの平坦なピークを目指す。明るい雑木の疎林帯である。

 平坦な260mの緩やかなピークから南へ進路を変え、稜線へ繋がる尾根の広いコルに差し掛かると、東側から林道が現れる。その林道を利用して八雲町と今金町の境界稜線を狙う。途中から左手に目指す緩やかな頂上が見える(3)。林道は境界稜線上の標高250mのコブまでまっすぐ続く。稜線からは稜線沿いに西側へ続いているようである。その林道を離れ、境界稜線上を東側に進んでその先のトワルタップコップ岳を目指す。

 細く急な吊り尾根を越えると、目の前に枝振りの立派なブナの木が目に飛び込んでくる(4)。その先にも同じような太いブナの木が目に付く。さらにその先の稜線はトドマツ林に覆われているので、その下を巻くようにして頂上へ続く急な尾根を登っていく。まもなく、広いところへ出る。その先のブナとミズナラの林に覆われた緩やかな少し高いところが頂上のようである(5)。

 頂上と思われるところには、それを示すテープすらもなく、誰も登っている痕跡すらないようである(6)。その反対側へ少し進むと、再び木の生えていない明るく広いところへ出る。

 晴れている北西の方向に、同じ分水嶺上に聳える坊主山(左)とひと月ほど前に登ったルコツ岳(右)が見える。こちらから眺める坊主山は登行意欲のそそられるいい山である(7)。下山後、たまたまネットを通じた山仲間のあまいものこさんから掲示板に書き込まれていたが、明治20年頃の地図「北海道実測切図」には、この坊主山は「カムイヌプリ」と記述されているそうである。神の山の意である。当時のアイヌの人たちに崇められていた山なのであろう。その北側に広がるはずの後志方面の山の眺望は残念ながら雪雲に遮られていて見えない。

 25分ほど休んで下山開始である。滑りを楽しむような斜面もなく、多くの登り返しがあるためにシールを剥がすこともできない。それでも、やはり下りが多いせいか、登りよりは速い。しかし、普通の山スキー登山は2時間も登ると、下りは30分も掛からない山がほとんどである。この山は登りに2時間30分要し、下りもひたすら歩いて1時間40分も掛かった。

 山岳ツアーガイドのTaさんの判断は、標高の割りに最短ルートでありながら距離が長く、登り返しも多く、途中にこれと言ったチャームポイントもなく、頂上感や眺望も乏しいという点から、ツアーには不向きの山であるとのことである。まったく同感である。その点、この山と対になっているような同じ稜線上のちょっとしか高くないキムンタップコップ岳は、距離も短く、頂上感もあり、眺望にも恵まれているそうである。春の残雪期にでも、登ってみようと思う。

 Taさんの車を置いてあるピリカスキー場へ戻る途中に見える坊主山の西斜面は滑りが楽しめそうな疎林の明るい急斜面である。いつか機会を作ってぜひ二人で挑戦したい山となった。ピリカスキー場の下にあるクワプラザピリカの温泉で汗を流して、彼と別れ、帰路に就く。



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