(富良野岳から続く)これから縦走する十勝連峰の峰々

◎富良野岳〜三峰山〜上ホロカメットク山
 頂上から、これから辿る十勝岳方面の眺望を楽しみ(1)、20数年前の知床縦走のときに出会った以来の美事な花畑の中の道を、「これこそ山登りの一番の幸せ」とばかり、感動を味わいながら、コルまで下りる。花畑には隣に車を駐車した人が、まだ専門のカメラでへばりついている。 次々と多くの人が登って来る中、分岐から三峰を目指す。稜線に続く道の両側はここもまた岩と小さなハイマツと数々の花々が自然庭園のような美事な景観を呈する。特に、十勝岳頂上をバックにし、三峰山斜面を一面覆い尽くして咲くツガザクラは、みごというほかはない(2)

 上をさっきの女性が、5分間の差をきちんと保ちながらこっちと同じようなペースで登って行く。(今まで、自分と同じペースか速い人は、初めて出会う。)
三峰山斜面を覆い尽くす花々と十勝岳
 尾根は次第に細くなり、左側は崖になっている。十勝や上ホロが形を変えながら迫ってくる。思ったより早く三峰山の三つの峰を越える。火山礫の斜面を下り、十勝岳温泉の分岐を過ぎ、上ホロへ左足下に荒々しい大爆裂火口と直角に切り立つ急崖や八ツ手岩などの迫力に圧倒されながら(3)、岩礫とハイマツの斜面を登る。

 上ホロの頂上にさっきの彼女がいる。「美瑛まで行きませんか?車を望岳台に置いてあるので、送りますよ。」との誘いを受けるが、「ここから、一端下りて車で移動して、十勝に登ります。」と答え、別れるが、そのあと10分ぐらい悩む。一端下りるより、このまま十勝まで行って引き返す方が絶対早い。しかし、写真のフィルムがもう無い。 そこへ若いカップルが到着。フィルムがもう無い旨を話すと、フィルムを分けてくれるとのこと、助かる。
上ホロカメットクの頂上と十勝岳
※98、7、30 に、花を見たくて、やはり十勝岳温泉から富良野岳と上ホロカメットクまでを再訪したが、このときは、雪解けも早く、本来ならピークのはずの高山植物の花は、ほとんど終わりに近づいていて、三峰山稜線を覆い尽くしていたツガザクラの群落もその面影すらなかった。上ホロから十勝岳温泉に下りたが、その下り口の分岐のすぐ上のピークに「かみふらの岳」という、前にはなかった新しい標識が立っていた。

◎上ホロカメットク山〜十勝岳
十勝まで行って引き返すことに決めて、出発。恐ろしいくらいの迫力の爆裂火口壁を眺めながら右側に鉄杭ロープが張られた左足元が急崖の稜線沿いの道を進む。コル付近は、かなり水分を含んだガスが右側から襲って来て、火口へと下りて行く。視界も遮られるがそこをカッパを着け、軍手をして通過。
十勝岳頂上への道
 見上げると、円錐状の十勝岳頂上へ直登する荒涼とした火山礫の急斜面(4)をさっきの女性が一定のペースで登って行く。その後ろ姿や左手の火口から吹き上がる噴煙などを眺めながら、単調な道を頂上目指して登る。 頂上は思ったより狭く、岩が積み重なった所に7人程のパーテイとさっきの彼女が休んでいる。

 ところが、頂上へついて爆裂火口をこちらに向けて聳えている荒々しい美瑛岳の姿を目にした途端、「ここから戻る」という考えはあっさり変わってしまう。「美瑛まで行こう、下りたら何とかなるだろう。」・・・先に着いて休んでいる彼女にその旨を告げると、「さっきから同じようなぺースじゃないですか。車で送りますよ。」とのこと。「もし、向こうへ着いても一緒だったらたらお願いします。」と言って(さっきからせっかくの好意を断って、失礼な人・・・と思われていたのではないか)、初めて先きに出発。


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