(十勝岳から続く)

◎十勝岳〜美瑛岳鋸岳越しに聳える美瑛岳
十勝岳頂上から鋸岳越しに火口を開けて見える荒々しい美瑛岳を目指し(1)、下り始めてまもなくバランスを崩して仰向けに転倒、木杭の上に左後ろの肋骨を打つ、鈍い音がする、もしや骨折?痛みはあるが大した気にならない。その後歩いているときは、すっかり忘れていたくらい。 まもなく、彼女に追いつかれ、そこから彼女に案内される形での二人連れ。火山砂の積もった急斜面をずり落ちながら、下りだから楽だけど、これが登りならと思いながら滑りを楽しみ、一木一草もない広い火山灰原に下りる。点々と続くポールに沿った踏み跡の道を進む(2)

 また南側から襲うガスの中を進み、左側の火口を取り巻く鋸岳の岩尾根を越え、最低コルヘ下る。ガスから抜け、美瑛岳外輪山へ向かうとまた赤いエゾツガザクラやメアカキンバイ、イワブクロなどの花々が顔を見せ始め、心和む。道もようやく踏み跡から「道」らしくなる。美瑛岳の爆裂火口の稜線や礫地の斜面も花々が覆い、気持ちが良い。いつの間にか稜線ぞいの道が下り始め、目指す頂上が遠くなった感じがするが、爆裂火口の稜線斜面をトラバ−スする道を登り、美瑛岳頂上到着。
十勝岳から美瑛岳へのみち
 頂上は外輪山の上に飛び出た岩稜のピーク(3)。数人一緒に、 2000m以上の雲海の上に顔を見せる 目前のオプタテシケ山やそのはるか向こうに見える大雪連峰やトムラウシ岳など(4)、彼女の解説を聞いたり、荒々しい火口越しに来し方の富良野岳から十勝岳、美瑛までの景観と南側から稜線を越えて火口へ降りていくガスを眺めながら昼食をとり、ゆっくり休憩する。 その間の話で、彼女の物凄い登山歴を聞いたり、スキーの準指を取ったばかりで富良野スキー学校の酒井君の世話になったとかで親近感を増す。

◎美瑛岳〜望岳台美瑛岳頂上への道
 彼女の後ろをくっついて下山開始。途中ポンピ沢へ降りる通称「涙坂」とか呼ばるという長い急斜面を下る。スタスタ駆け下りるような彼女の後を汗をダラダラ流しながら懸命について行くも差が開きそうになる。 ようやくポンピ沢に下りる。水がおいしい。いつも思うのだが、登山をしていてこれくらいおいしいものはない。

 ポンピ沢を越え、雪がなかったら渡れないような深い函状の沢を埋めた雪渓の上を横切る。上の方に雪解け水の滝が見える。一面お花畑に覆われた斜面を惜しむように眺めながら「雲の平」をトラバース。まもなく火山灰を礫に覆われた十勝岳の裾野に出る。下に終点の望岳台が見える。
雲海の上に頭を出すオプタテシケとトムラウシ
 十勝岳の登山道と合流するリフト終点からは、銀座通りのようなうんざりするほどの人々・・・。それを無視するようにゴールを目指す。

 ようやくゴール。望岳台は一般観光客でごった返しでいる。振り返ると十勝岳上部は照れるようにガスの中。名前を聞いても名乗らない彼女の好意にソフトクリーム1個だけでは申し訳なかったが、車でカミホロ荘まで送っていただく。感謝・感謝!

◎満足感と余韻に酔いながら
 カミホロ荘で自宅へ電話。早速、温泉で汗を流すべく、まず罐ビールで乾いた喉を潤して入浴。程よい熱さのお湯に身を任せ、心地好い疲労感と満足感に酔い知れながら、とっぷりと漬かる。

 その後、彼女に勧められたオプタテシへのルートを見たりしたが、やたらとルートが長いのと天気予報があまり良くないのと、二日間の予定を一日で達成した満足感などから帰ることに決定。(途中眠くなったらあ車で寝る・・と思いながら)
 上富良野で湿布薬を買い、背中の肋骨の痛むところと凝った肩に貼る。膝の疲れによる痛みと背中の鈍痛はあるものの、不思議に眠気が来ない。途中、メロンを買い、ほとんど休むこと無く一路日高路を下り、高速道路を経て、6時間強で帰宅。



「上ホロカメットク〜十勝岳」へ戻る  「富良野岳」へ戻る


「北海道百名山紀行」目次へ   次へ「オプタテシケ山」   HOMEへ

inserted by FC2 system