9/10、ポロシリ山荘から幌尻岳往復

 昨夕からの雨がずっと小雨状態でずっと降り続いていた。朝になって、再びスコールのような雨になった。その中を登頂を目指すほかのグループや単独行の人たちが出て行く。凄い勇気だ。
 自分たちは、写真撮影と取材目的なので、雨やガス中登山はゴメンである。天気予報は、前線が抜けると晴れるはずなので、回復待ちでのんびりしていた。しかし、9時を過ぎても雨は止まない。半ば諦めて停滞を覚悟する。10時になって急に明るくなったので窓の外を見たら、太陽光が照り、青空が広がり頂上稜線も見えていた。「今からでも、明るいうちに下山できるはず」と急いで支度をする。


 10:10、山荘の左手に続く登山口をスタート(1)。幌尻沢の上に頂上に続く紅葉の尾根が見える(2)心がはやる。



 最初は、大千軒岳の知内川コースと似た感じで、幌尻沢の右岸を何度も高巻きながら進む。毎年のように崩れては付け替えされているようなロープ場を登る(3)
 背丈ほどの笹薮の中を掻き分けながら歩く所もある(4)


 幌尻沢の源頭部の上に頂上稜線が見えた(頂上は右上)(5)。やがて、幌尻沢左股沢を渡渉して、右股沢との間の尾根に取りつく(6)
 この尾根は平面距離で2kmの間に標高差1100mも高度を稼ぐ、道内でも有数の急登尾根のようだ。遅いスタートはどうしてもペースが速くなる。この急登で息が上がってしまう。それでも、撮影ポイントではこちらがモデルとなっての撮影で一息入れながら登り続ける。


 1500mを越えた辺りから、色づいたナナカマドの中を登る(7,8)この辺りから、早朝雨の中を登ったグループや単独行の人たちが下りてくるのと出会う。


 1750m付近では、広い花畑の中をトラバースして、沢地形の中の道を辿り、稜線下の大岩を目指す(9)
 振り返ると山頂から派生する南尾根の向こうに、5回も通過しているエサオマン北東カールや、その奥に先月登ったばかりのカムエクなどが見える。右側のカールは二股カール?(10)


南尾根の眼下に幌尻湖が見え、その左上にはカムエクを主峰とする主稜線南側の山並み、右にはイドンナップ岳が見える。この展望は、このコースならではのハイライトであろう(11)


 大岩まで来ると稜線は近い(12)。稜線へ登り詰めると、額平コースとの分岐に出る(13)


 頂上手前から、眼下の来たカールの向こうに、ヌカビラ岳から北戸蔦別岳へ尾根とその右手に1967峰までの主稜線北側の山並み、その左奥にはチロロ岳の稜線も見える(14)


 ガスの中から陽光が差し込み、北カールの紅葉を鮮やかに演出してくれた(15)。山頂から東カールの山肌の紅葉とその奥の主稜線南側の山並みを眺める(16)


 13:20、スタートから3時間10分で頂上到着(17) 風も強く、非常に寒いので、10分ほどで下山を開始し、大岩の陰で昼食タイムとした。大岩の西側にはルイベツ岳に続く色づいた南西尾根が続く。手前にはカール状の二重稜線のような地形も見える(18)


 草紅葉に彩られた広い花畑の中のトラバース。花の時期に、再訪したくなるほどの場所である(19)。やがて、登りでは文字が薄くてはっきりしなかったが、誰かマジックインクで上からなぞって書いた中間地点で一息入れる(20)

 16:10に余裕の下山。登り3時間10分、下り昼食時間を抜くと2時間30分。写真撮影をしながらも、トータルで、ちょうど6時間で往復したことになる。  
 持参したビールとウィスキーの水割りに酔い、19時ごろには眠りに着いたが、23時半にトイレに起きてからは、また眠ることができなかった。

9/11、イドンナップ山荘までの長い林道歩き

4時には起きて、暗いうちに朝食を摂り、下山の準備をする。

 5:50、山荘の前で、いつも拙サイトを利用され、拙著も購入していてくださった泊村のAさんとツーショットを撮り、スタート(21)彼は、前日一番先に登頂し花畑まで戻ったら、晴れてきたので、再び頂上へ登り返して、七ッ沼の見下ろせる肩まで行ってきたそうだ。その気力と体力に敬意を抱く。
 山荘から出てまもなく発見した熊の足跡。大きさからすると、成獣か?(22)


 長い林道歩きは、岩崖の色付き始めた淡い紅葉を見上げたり(23)深い峡谷の地形を眺めながら下る。
 途中で、先に発った東京の5人グループに追いつく。余った手つかずのガスを2個、飛行機に持ち込めないのでもらっていただけないかとのこと。ありがたく哲さんと1個ずついただき、処分する空のボンベも一緒に1個ずつ合わせて受け取った。
 10:00、4時間10分で、イドンナップ山荘前到着(24) 登りも下りも時間的に大差はなかったが、それでも下りの方が20分速かった。
 
 前日もこの日も、ここから日帰りピストンする人に出会った。ネット上の記録も多く目にする。田中陽希さんと同じコースと彼の日帰り登山に挑戦する人たちなのだろう。
 考えてみたら、自分も重いリュックを背追っての林道歩きと山頂往復のトータルで14時間30分だった。羊蹄山8の字縦走の思いをしたら、不可能なことではないと思う。

 さらに長い林道を走り、新冠道の駅で哲さんの車を回収。新冠温泉で疲れを癒し、昼食を食べて、哲さんと別れて、帰路に就いた。門別から伊達まで高速を利用し、20分ほどの仮眠を2回取り、八雲で夕食も食べて、19:40には無事に帰宅できた。

 初めての新冠コースだったが、億劫だった長い林道歩きは話し相手がいたことで気分的に非常に楽だった。単調な登りと思っていた登山道も、急ではあったが、眼下の幌尻湖やイドンナップ、ナメワッカ、二股山などの日高側の山々の展望、角度の違う主稜線上の山々が新鮮だった。また、日高主稜線上では稜線上やカールの花畑は何度も目にしているが、1700mより上の斜面に広がる花畑が新鮮だった。もし、再訪するとすれば、この花畑の花狙いで、日帰りで?などどバカなことを考えている。

それにしても、日本百名山巡りの本州からの登山者が多いのにも、分かってはいるが驚いた。出会った中の1/3以上はその人たちのような感じだった。

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