本倶登山ポンクトサン(1009m)A   
西尾根ルート  2名 山スキー  12,2,16
03,4,29の南西尾根ルート
国道393号線が開通したお陰で可能になった、最短距離の西尾根から9年ぶりの再訪。

7:00 きょうごく道の駅発
8:15 国道393号線駐車場
登山
地点
下山
 8:30
 9:00
12:20
駐車場
尾根取り付き
頂 上 
14:05
13:25
12:35
[3:50]所要時間[1:30]

15:00 蘭越温泉「幽泉閣」(入浴)
21:00 帰宅
 京極町と倶知安町の境界稜線からほんの少し倶知安側に位置する山である。尻別川支流のポンクトサン川の源流の山ということで「本倶登山」の漢字を当てたものであろう。しかし、アイヌ語のサンは山という意味ではないのだが、山の漢字を当てはめてそのまま山の名前になってしまったのも面白い。また、トサンに登山という漢字を使用している。この山に登ることを「本倶登山登山」というのだろうな・・・と思わず悩んでしまう珍名山でもある。
 
 なお、このポンクトサンの由来は、アイヌ語でポンは「小さい」という意味で、クトサンは@ ク・サン(岩棚を下る=円筒kutの処を流れ出している) A ク・サニ(泥土の濁り川)等の説があり、後者の説は倶知安町の町名発祥の一つと言われている。

 この山には、9年前の春に、当時まだ開通していなかった国道393号線の大和ゲートの前からポンクトサン二号川沿いの林道から入り、南西尾根から登っている.。今回は開通した樺立トンネルの倶知安側入口近くの最短距離となる西尾根からの再訪が叶った。

 前日は猛吹雪で、この国道393号線が通行止めになっていた。当日も解除にならなければ諦めざるを得ないところだった。しかし、朝になって吹雪も止んでいたので、北海道開発局小樽開発建設部に電話で確認したら、解除になっていた。喜び勇んで尾根取り付き地点となっている樺立トンネルを目指す。その方向には青空も広がっている。

 しかし、樺立トンネル手前の西尾根への取り付き地点の向かい側には、「除雪車回線場」はあるが、「一般車の駐車禁止」という看板が立っている。中を覗いたら、確かに除雪車が回旋するだけの広さしかない。仕方ないので、その1.7km倶知安寄りの駐車場に車を置くことにする(1)

 準備をして、リュックにスキーを付けたいわゆるシートラで、1.7kmの国道歩きからスタート。すれ違う車の運転手に奇異な目で見られながら、先に見える尾根の取り付き地点を目指す(2)。二人だからいいが、一人なら諦めていたかも・・・?。

 30分で尾根取り付き地点へ到着。除雪の雪壁をスコップで削って、現れたガードレールを跨いでスキーを付ける(3)

 急な斜面をジグを切って登って行く。結果的にこの取り付き部分の斜度が一番急だった。あとは頂上へ繋がる尾根をずっと辿るのだが、c620からc750までは、帰りの登り返しを防ぐためにも尾根を外して、その右側をトラバースして、c700からは沢地形の中を登った。このコース取りはまさにGPSならではの妙技である。


 3日連続ではあるが、この日のラッセルが一番深かった。下の方は雑木林の中をまっすぐ登る(4)。750mを越えた辺りからダケカンバの純林帯となり、雪を纏ったその巨木が目に付くようになる。しかも、嬉しいことに、上空に青空が広がり始める(5)

後ろを振り返ると、この3日間で初めて下界の展望が広がっていた(6)


まぶしい陽光の下、雪を纏った美しいダケカンバの樹林帯を喜々として進む(7)


c900の尾根のピークを越えたら、目の前に端正な頂上が姿を現した。この3日間で目指す頂上ピークが見えたのは、初めてだった(8)

 頂上の右側には、頂上から北側に連なる京極町と倶知安町の境界稜線がくっきりと見えていた(9)

 頂上は急な上に、南側の直下は崖
状になっているので、そのまま直登は不可能である。そこで、南斜面をトラバースして、反対側の東尾根へ回り込むようにして頂上を目指した。南斜面の上には、すでに雪崩を起こした痕跡があった。

 その下は、雪崩が起きたときに二人とも巻き込まれないようにと離れて歩いた。

 頂上に着いたら、それまで晴れ渡っていた上空が曇りだして、風も強くなってきた(10)

 頂上から東側に、前回のときも目にした建設中の「京極揚水発電所」の施設がかろうじて見えた(11)本倶登山湿原附近に建設中の北海道では初めての「揚水発電所」という聞きなれない発電所である。泊原発の3号機の夜間の余剰電力を利用して、地下水をくみ上げ、上池(地下プール?)から下池へ水を落として発電する計画の水力発電所である。

 9年前に目にしたときは、2006年に稼働予定だったが、現在では2014年に延びているらしい。しかし、昨年の東日本大震災の福島原発事故の影響で泊原発の3号機も稼働できていない。計画通りに稼働すれば、道内最大の水力発電所になるらしいが、果たして稼働する日がくるのだろうか・・・?

 貴重な湿原やすでに伐採された国有林などの環境保全からの反対運動もあったようであるが、この発電所の建設すらほとんど知られていないのが実態ではなかろうか?

 そんなことを考えながら、下山の準備をする。後は一気に下るだけである。あっという間に頂上直下の南側をトラバースし、西尾根を下る。792ピークの所だけは唯一登りのときのルートミスで登り返しが待っていた。

 わずかな広い斜面や疎林帯の斜面でターンを楽しみ、どんどん下る。山スキーの良さはこの速さである。登りで3時間20分も掛かった尾根をわずか1/4の50分で下ってしまい、国道に降り立った。あとは、シートラでの1.7kmの国道歩きでゴールイン。

 yukiさんのお陰で、単独ではラッセルや天候の不安定さなどで、つい億劫になってしまう厳冬期の山スキー登山を、天候にも恵まれて3日連続で登り歩くことができたことに感謝して、来週は道南の山での再同行を約束して帰路に就いた。


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