[89] ピセナイ山(1028m)[静内ダムコース]96,11,04

霜柱と落ち葉を踏んで、日高の山並みを眺めに行く。     
 静内町御園から望むピセナイ山
11/3
 13:00 自宅発(函館)
 19:30 静内・温泉の森
    (入浴・車中泊)
11/4
 7:00 温泉の森発
登山地点下山
8:00
9:00
9:20
登山口
6合目
頂 上
11:10
10:25
10:10
[1:20]所要時間[1:00]
 12:00 静内 
 19:30 帰宅
今年の登り納めは、この山と決めていた。『北海道百名山』の著者・梅沢俊氏お勧めの日高山脈展望の山である。昨年の10月末に途中まで行って、道路の崩落のため通行止に遭い、雪に覆われた日高山脈を遠くから眺めただけで、敢え無くUターンして来た無念の山である。
 
 前日、午後から車を走らせて、静内温泉に入り、その奥にあるキャンプ場「温泉の森」の駐車場の満天の星空の下で夜を明かす。霜が降り、登山口ヘ向かう国道の温度表示器は0℃を表示している。静内ダムのえん堤を渡り、林道を登山口ヘ向かう。静内の御園辺りから表面にピセナイ山が見える(1)。登山口には車が4台もありびっくりする。ところが、帰りにはなんと20台以上もあったろうか・・。そろそろ夏山シーズンも終わりのこの時期に、誰でも手軽に登れて、日高山脈を展望できるのがいいのであろう。
 
 登り始めようとするところへ一人の男性が到着。「お先に」と挨拶し、霜が光る落ち葉の上をのんびり歩き始める。5分程で林道跡終点から登山道に入るが、道がよくわからないほど落ち葉が敷き詰められいる。一合ずつ立派な標識が設置されているが、道は結構急で、木の根が露出した岩混じりの細い尾根の上を辿る道である。今年の最後になるであろう一歩一歩を噛み締めながら快調に歩を進める。
 6合目から望む頂上
 ところが、4合目を過ぎたところで、すっかり葉の落ちた樹聞から覗く頂上をカメラに収めようとすると、なんとフィルムが装填されていない。まだわずか30分である。リュックを置いて迷わず車までフィルムを取りに戻ることにする。まもなく、すぐあとから登ってくる男性に出会う。「フィルムなら余分に持っていますから、どうぞ使ってください。」と差し出してくれる。感謝!感謝!申し訳ないので500円受け取っていただき、お礼を述べて、先を進む。
 
 5合目辺りからは、足の下で霜柱がザクザクと音を発てて崩れる。6合目で、頂上へ繋がる三石町と静内町の境界稜線にぶつかる。ここからは、きれいに刈り払われた笹とダケカンバの稜線歩きである(2)。頂上下のコルに、三石側から登って来るであろう微かな踏み跡が笹原の中に続いている。頂上を見上げると数人の姿が見える。最後の凍りついた急斜面の道を登り切ると9人ほどの男女が憩う、きれいに刈り払われた笹原の山頂へ到着。
 
 楽しみしてきた雪を被った日高山脈ではなかったが、目の前に逆光でやや黒っぽく連なる南のアポイ岳から北の春別岳辺りまでの大パノラマが展開する。その北の方は雲でよく見えないのが残念である。ちょうど雲に隠れる手前で9月に訪れたカムエク(写真左)と隣のピラミッド峰が、そしカムエク(左)から1839峰までの展望て表面に2度振られた1839峰(写真右)が一際鋭く聳えるのが悔しい(3)。さらに南の方には一昨年3週続けて次々と登ったペテガリ、神威岳、楽古岳、ピンネシリ、アポイの姿が懐かしい。それらをカメラに収め、ガスでお湯を沸かしているところヘフィルムを分けてくれた男性が到着。
 頂上にて
 恵庭の人で、日高の山は初めてと言うその男性といろいろ話しながら食事をとる。上空には思ったより雲が広がり、太陽光線が遮られて寒いし、目高山脈にも陽光が当たらず、細かな山ひだまではっきり見えないのが残念である。最初に登っていた人達が下りて行ってまもなくまた7人程のグループが到着する。
 
「雲の雪渓」  99.9.5  
浅地氏画


 50分ほど寛ぐが、寒くなった来たので、その男性と一緒に下りることにする。次から次とかなりの人達が登ってくる。皆、雪の被った日高山脈の展望を期待してきたらしく、そうでないことを教えると残念そうに反応する。中には、30人くらいのグループもいる。この山の人気に改めてびっくりする。
  その恵庭の男性と一緒に下りながらいろいろ話していると、「高校と大学時代、函館で過ごした。」とのこと。「北大水産学部卒業で38歳。その頃、親が長万部に住んでいたので下宿して函館東高校に進んだ。」そうである。こんなところで函館に縁のある人と逢えるのもうれしいものである。登山口でお世話になったお礼を述べ、「また、どこかでお会いできたらいいですね。」と言って別れる。登山届けのノートを見たら、野原さんという方であった。
 
 車での往復が14時間の割りにはあっけない登山であったが、この山の持ち味(雪に覆われた日高山脈の展望でなかったのが残念であるが)を満喫し、今年の登り納めの山に相応しいのんびりとした山行を反芻しながら、立派な競走馬の牧場が続く晩秋の日高路をあとにする。


「北海道百名山紀行」へ  次へ「コイカクシュサツナイ岳」  HOMEへ

inserted by FC2 system