[45]伏美岳(1792m)〜[46]ピパイロ岳(1917m) [伏美岳避難小屋コース]  
94,9,4(日) ※天候 快晴

長い稜線をピストンし、北日高、中日高の大展望を満喫し、初めて目にするカールに感激。

9/3
12:00 自宅発
19:00 伏美岳避難小屋前
          (テント泊)
9/4
登山 地点下山
5:10
5:45
7:00
7:15
8:15
9:10
登山口
1150m 台地
伏美岳
〃 発
水場コル
ピパイロ岳
13:55
13:30
12:25

11:15
10:15
[4:00]所要時間[3:40]
14:00 登山口
14:30 新嵐山荘(入浴)
19:30 札幌
コースは長いが比較的容易に日高山脈の核心部に入り、中日高と北日高の山々とカール地形が一望できるという展望の山で、早く訪れたいと思っていた山でもある。天候にも恵まれ、その思いを適えて余りある山行であった。

 ちょうど、月・火曜日と札幌出張で、下山時刻が遅くなるが札幌まで戻ればいい訳で今回の山行となった次第である。 前日、暗くなったこともあり、登山口である伏美岳避難小屋までの道を迷い、2度ほど行き違う車に聞いてようやく到着。先客の車が1台、ほっとする。その人は、避難小屋に泊まっているが、こちらは予定通り、その駐車場に早速テントを張って夕食をとる。
 
 うつらうつらしていると、8時過ぎであろうか、登山口の方から車が下りてくる。「こんなに遅く、なぜだろう」と思いながら、聞き耳を立てていたら、その車が止まり、数人の声がして、登山届けのノートに下山時刻を記入したらしく、去っていった。「きっと、誰かが怪我でもして遅くなったのではあるまいか?」そんなことを考えていたら、一人歩きの自分が急に不安になり、目が冴えてくる。振り払うようにテントから出て、満天の星を見上げながら小便をして、気分を取り直してまた横になる。

  まだ暗いうちに目が覚め、夜が明けるのを待って行動開始。出発しようとするところへ、小屋に泊まっていた人も顔を見せ、「私もピパイロまで行きますのでよろしくと挨拶される。後から人がくるという安心感もあり、元気に出発。
伏美岳頂上からの幌尻岳、戸蔦別岳、北戸蔦別岳登山口〜伏美岳
 避難小屋から少し車で上ると登山口である。初めは緩やかであるが、まもなく急な尾根道となる。1150m 台地で心地好い緩やかな針葉樹林帯歩きとなり、5合目という円いかわいい標識に出会い、心和む。ガイドブックによると伏美岳まで3時間のコースになっていたが、樹間から意外と近い所に頂上が見える。
 
 いよいよ頂上までの直登であるが、山の斜面から予想したより急ではなく、それほどきつくない。振り返ると、剣山、芽室岳、遠くに大雪連峰や阿寒の山々まで見える。左側には、隣の妙敷山とその向こうにスマ−トに尖った形の十勝幌尻などが見えてくる。上空は刷毛で掃いたような白い雲がおおっているが徐々に晴れて快晴となる。頂上直下でようやく樹林帯を抜け、小規模な花畑に出る。やがてハイマツで覆われ、岩の露出した伏美岳頂上に到着。
 伏美岳からピパイロ岳を望む
 目の前に、朝日を表面から受けて輝く日高山脈の最高峰・幌尻岳のどっしりとした姿とその隣に澄み切った秋晴れのそらにすっくと天を突く戸蔦別岳の鋭峰、そこから続く北戸蔦別岳とその間に写真でしか見たことのない二つのカール・・・(1)そして、1967峰とこれから目指すピパイロなどの北大雪の山々が、実にくっきりと見えるのがうれしい。まさに、中日高と北日高の山々の展望台である。それらの見事な大展望を眺めながら朝食をとる。涼しい風が心地好い。目的はもっと先である。のんびりする間もなく、さらに、核心部となる主稜線上のピパイロ岳を目指して出発。(2)

岳〜ピパイロ岳
 まず、急なハイマツの尾根を一気下り、ダケカンバとハイマツが混じる細い稜線上のハイマツの根などが覆う荒れた道を上り下りしながら、周りの枝に掴まりながら、進む。遅くまで雪渓が残るであろうコルの小さな花畑を2つ越え、1時間ほどで最低コルである「水場コル」に到着。テントを張った跡があるが、どうもクマが出そうな気配にゆっくりと休む気にもなれない。
ピパイロ岳から幌尻から1967峰までの眺望
 見上げると、表面に標高差350mのピパイロ頂上までの急な大斜面が覗く。いよいよ最後の直登である。計画より1時間近くも早いことや予想していたより楽な登山であったことなどもあり、心身ともに快調なペースで進む。その大斜面は全体が花畑状態で、うっすらと草紅葉の始まっている。頂上の下に近付くとハイマツ帯の中に白っぽい岩があちこちに現れ、頂上を見上げると一人の男性がいる。反対側からの縦走者であろう。
ピパイロ岳の肩越しにチロロ岳を望む。
ピパイロから伏美岳(左)と妙敷岳を振り返る ちょうど4時間で白っぽい大きな岩が積み重なったピパイロ頂上に到着。先客の千呂露川のコースから入って北戸蔦別岳にテントを張ってここまで尾根伝いに藪漕ぎをしながら来たという30代の男性からいろから情報を教えてもらいながら 360度の大展望を楽しむ。 東から連なる十勝幌尻〜札内〜カムエク〜エサオマ〜ナメワッカ〜幌尻〜戸蔦別〜北戸蔦〜1967の山々とカール群(3)、太陽の光を反射してく輝く戸蔦別川に流れ込む長い数々の沢、北の方はチロロ岳(4)〜芽室岳〜剣山、そのバックに夕張山系〜十勝連峰〜表大雪〜東大雪〜阿寒方面の山々の遠望・・・戸蔦別岳は青空をバックにした鋭鋒が冴える伏美岳からの眺めの方がよい。振り返ると越えてきた伏美岳(左)からの稜線と妙敷岳が思ったより遠くに見える。(5)
 
 [感激の後日談]
 このときから6年後の2000年9月に思わぬことが判明。99年9月頃に函館の知人の紹介で知り合い、その後懇意にしていただいていて、何度か飲んだり、山にも同行している札幌の通称ganさんが、この先客であったということが、ふとしたことから記憶の糸を手繰り寄せられて判明。もしかしたら?とメールを差し上げ、彼の手帳の記録で立証されのである。彼も、記憶にある伏美岳から単独でやってきた男が私であったなんて・・・・お互い大感激のびっくりである。
 右の写真が、彼にシャッターを押していただいた写真である。

 40分ほどして先の人が戻ろうとしているところへ、避難小屋に泊まっていた帯広の男性が到着する。その後、その人といろいろ話しながらのんびりと休んで、1時間後にほぼ一緒に下山開始。

◎ ひたすら来た道を戻る
 途中コケモモを摘みながら、その人と前後して伏美まで戻る。伏美岳の頂上には8人位が休んでいたので、手前のピークで昼食をとりながら小休止。ピパイロからは見えなかった1839峰やヤオロマップなどを確認して登山口まで一気に下山を続ける。

  5分程後に帯広の男性も下りてきた。これまで同じくらいのペースで歩く人とは、昨夏の十勝連峰縦走で出会った女性以来である。「カムエクを日帰りで登った」というのもうなずける。この方との出会いで、カムエクの日帰り登山への見通しが立つ。

 下山後、麓にある新しい国民宿舎・新嵐山荘の風呂でで汗を流し、札幌へ向かう。

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