武佐岳(1006m)A  武佐コース  3名  04、5,30
02,8,05の「武佐岳」へ

一昨年のガス中登山のリベンジを果たし、道東の山々と根釧台地、国後・択捉など360度の眺望に酔う。
 
5:15 開陽台
登山
地点
下山
5:40
6:00
6:30
7:35
登山口
憩清荘
5合目
頂 上
9:15
9:00
8:45
8:05
[1:55]所要時間[1:10]

弟子屈町・辺計礼山登山口へ移動

  この山は北海道新聞社発行の『北海道の百名山』に選ばれている山で、山名の由来は、アイヌ語のイラクサを表すモサが語源との説がある。道東の山々と根釧台地、国後・択捉など展望台が謳い文句の山である。

  一昨年8月の知床岳遠征の帰りに、ガス中にもかかわらず、標津岳と西別岳と合わせて一日3山のピークハンターに挑戦した山である。普通は何も見えないガス中に入っていくのは主義?に反するが、函館から遠く離れた土地で、今度いつ来れるか分からないこともあり、無理して登った経緯がある。そのときは登山道の周り以外の眺望はもちろんなかった。こちら方面に来ることがあれば、この山だけはもう一回登りたいと思っていた山である。

  そんなわけで、今回の道東低山巡りに、リベンジ再訪の山として計画しておいたが、たまたま札幌のKoさんが同じ日にこの山を狙っていて、携帯メールに連絡が入った。ところが、予定日に雨が降り、自分は知床方面観光で時間を潰し、翌日の回復に賭けたが、彼も同じ思いとのことで、夜を明かす開陽台駐車場で前夜に待ち合わせる。

  Koさんの祖祖父がこの開陽台附近へ入植し、この辺り一帯を開拓し、この開陽台も一族の土地だったそうである。親戚もほとんどこの土地に居着いていて、子供のころ祖父の家に遊びに来てはこの山を眺めていたそうで、彼にとっては特別な想いのある山のようである。

  夜中まで車を揺らすような強風が嘘のような好天の夜明けを迎える。国後島の爺々岳の上から昇る朝日に感動し(1)、朝日に輝く武佐岳を眺めながら(2)準備をする。前日とは打って変わった天候にうれしくなり、予定より早めに開陽台を出発し、登山口を目指す。

 2年ぶりの記憶に新しい道路を走り、登山口へ到着。初めてのKoさんを先頭に歩き始める。林道跡を進み、武佐岳憩清荘へ着くと、山小屋の看板がなくなり(3)、そこに3合目という新しい標識が立っている。一昨年までは頂上がなぜか4合目であったのが、今回は10合まで、新しく付け替えたようである。下山時に、小屋の看板を背負って登ってきた関係者に聞いたら、「昨年、梅澤さんに書かれたので、全部付け替えたのです。」とのことである。なぜ、以前は4合目だったのか聞くのを忘れたことを悔やむ。
  
  ここからは、笹がきれいに刈り払われて整備の行き届いた登山道をのんびり進む。前回と違って、途中からいつも頂上が見えているのがうれしい(4)。途中ところどころに残雪もあり、雪崩の起きそうなところでもないのにデブリがあって、その辺り一帯の木が折れているという不思議なところもある。

  500〜640mの急登を越えると5合目で、振り返ると見渡す限りの視野いっぱいに根釧台地が広がり、前日雨の中を観光してきた野付半島も見えている。また、国後島だけでなく、その隣に択捉島まで見えている。この辺りから花を付けたタカネザクラが目に付くようになる。ひと月遅れの花見を楽しみながら歩を進める。
 
  さらに進むと、前回には気付かなかった「林道・滝」と書かれた標識が目に付く。ここはクテンベツの滝から登って来るコースらしいが、微かな踏み跡が認められるだけである。

  760mを越えるとハイマツが出現し、前回3合目だった尾根上のピークのお花畑状態の裸地になっている地点が8合目になっていて、ここからあとは双耳峰の稜線コルに続く標高差200mほどの急な尾根を残すだけである(5)。周りには、エゾムラサキツツジ(6)キバナシャクナゲが咲いている(7)。

  ここからは、このコース一番の急登であるが、常に頂上が見えているのと、エゾムラサキツツジとキバナシャクナゲ、蕾を開きかけたタカネザクラとその後ろに広がる根釧台地がその辛さを癒してくれる(8)。また、高度を上げて行くに連れて斜里岳がその姿をだんだん現してくるのも励みになる。

  この尾根の両側の斜面は芽吹き始めたばかりの背丈や太さが一定のダケカンバの白い幹が目に美しい。コルまで登ると頂上は直ぐで、今まで見えなかった知床方面の山々が見えてくる。最後の緩やかな稜線を詰めると、下から見ると出臍のように見える大きな岩が鎮座する一等三角点の頂上到着である(9)。

  山頂は地肌がむき出しで、展望を遮るものは何もなく、見渡す限りの眺望がほしいままである。最も近くに見える斜里岳(10)その東側に続く海別岳、遠音別岳、知西別岳、羅臼岳の知床半島の山々、贅沢を言えば、羅臼岳から奥の山々に雲が懸かっていることだけである(11)。その南側には北方領土の択捉島、国後島、さらには、根釧台地と野付け半島(12)、南側は果てしなく広がる根釧台地、ここから見る開陽台はほんの高見に過ぎない。西側に目を転じると、一昨年登った標津岳、西別岳とカムイヌプリ(摩周岳)、その奥に雌阿寒岳と雄阿寒岳・・・・・(13)。

 無風で、ポカポカ陽気にいつまでものんびりくつろいでいたい気分であるが、30分ほどで下山を開始する。下山途中もずっと根釧台地の展望が広がる。

 5合目まで下ると、リュックも背負わないでタンクトップのままMTBを担いで登って来る腕に入れ墨をした男性と出会う。このようなジャンルのスポーツがあることは知っているが、あの登山道を下るのにヘルメットも膝当ても飲み物も持っていないようである。山小屋まで下りると、そこまで強引に入ってきたと思われる車全体がポコポコにへこんだ傷だらけの彼のRV車が止まっていた。

 下山を済ませ、養老牛温泉に入って札幌へ向かうというKoさんと別れて、次の山、弟子屈町の辺計礼山へ向かう。


「北海道山紀行・目次」へ      HOMEへ  

inserted by FC2 system