登山の対象と考えたこともなく、札幌出張でホテルに泊まったとき、何度か早朝散歩で歩いている。(写真は、出張のとき夜行バスで札幌へ5時に着いたときに、札幌駅を登山口としてウオーキングと軽登山を組み合わせて登ったときのものである。)
札幌出張の際、前夜飲み過ぎない限り、早朝ジョギングをしたりすることが多いが、この日は円山を歩いてみようと思いつき、ホテルを車で出て、円山動物園の手前左側にある
「円山自然歩道入口」へ向う。向かいに北海道神宮の駐車場がある。そこに車を置いて、ジャージ姿で運動靴を履いて登山口のところまで行くと、本格的な登山スタイルの女性が二人スタートするところであった。この山だけなら、そんな大袈裟な格好でなくともと思うのだが、こちらの方が恥ずかしい感じがして、小さくなって側を通って登山道に入る。登山口には小さな神社と水を汲めるところがあったような気がするが確かではない。
1時間もあるとゆっくり回ってこれそうなので、頂上まで四国八十八ヶ所巡りに因んだ八十八体あるという石仏を一体一体のんびり眺めながら、結構急な
尾根道を登る。おそらく、一度も人間の手が入っていないであろう原始林風の林である。この山を残そうとした昔の人はえらいななどと感心しながら登る。中には、直径1メートルはあろうかと思われるようなカツラの大木が聳え、その根が道の上に張っている。
まだ、朝早いせいか、車の音も静かで、小鳥の声が心地よく、都会の中にいるような気がしない。汗ばむこともないまま、20分ぐらいで下山道との分岐に出る。左側に進むと岩場があり、札幌の町が一気に目に飛び込んでくる。そこが
頂上であった。先客の毎朝ここに来ているような感じの男性がこちらに静かな眺めを譲るかのように入れ違いに下りていった。足元からすっぱり切れ落ちている岩場に腰掛け、前の方からの低い太陽を顔に受けながら、旭にまぶしい札幌の町を展望する。
まもなくして、途中で追い越した老夫婦が到着したので、その方たちにその場を譲って下山することにする。今度は
円山動物園の裏手に下りる道を下る。傾斜は緩いが、太陽が当たらないせいか、うっそうとしたまさに原始林の感じである。向かいから枯れ木の枝を振り回しながら、子どもに戻って登ってくる40代くらいの男性と出会う。こちらに気づくと照れくさそうに挨拶して通り過ぎて行く。何か悪いことをしたような気がして申し訳ない。
動物園特有の匂いがしてきて、動物園の敷地にぶつかる。あとは沢沿いの道を整備された木の橋が続く道を進んで、もとの登山口へ出る。
1時間弱の気持ちのよい早朝散歩である。