6:25 白滝高原キャンプ場
7:05 ペンケシユウベツ林道終点
登山 | 地点 | 下山 |
7:15
7:40
8:30
9:30
10:15 |
林道終点(850m)
950二股
1180滝(左尾根へ)
稜 線(1460m)
頂 上(1500.5m) |
12:35
12:15
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10:45 |
[3:00] | 所要時間 | [1:50] |
13:15 白滝温泉(入浴)
(北見富士林道偵察)
16:30 まるせっぷ道の駅(車中泊)
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旧白滝村(現遠軽町)の南側に聳える山で、支湧別川沿いの道の正面に双耳峰のように聳える右のピークがこの雲霧山である(1)。名前の由来は不明であるが、どうやらこの辺りの山に多いアイヌ語ではなさそうである。
前日の雄柏山のついでに、「せっかく遠くまで行くのだから、雄柏山のあと、どこか私でも登れそうなお薦めの山はありませんか?」と、この地域の山を総ナメにしている
「山の旅人」の熊ぷ〜さん(斜里岳清岳荘管理人)にメールしたら、「雲霧山に一緒にどうですか?」との返答が来た。もちろん登山道はなく、彼の記録や地図を見ても、かなり急な沢や尾根を辿るようで、一人では不安な山である。もちろん二つ返事でOKした。
前日、2人と1匹は雄柏山下山後、みんなと別れて白滝温泉で汗を流し、白滝高原キャンプ場で夜を明かす。放射冷却で霜が降りた寒い朝を迎え、山名とは反対のピーカンの天候の下、支湧別川沿い道を進む。上支湧別地区の鳥居のある二股交差点で左の支流であるペンケシユウベツ川沿いの林道へ入る(右を進むと平山登山口)。
2年前は荒れて終点まで入れなかったそうであるが、今回は整備されていて、
Co850m付近の砂防ダムのある終点まで入ることができた(2)。ご主人が藪山しか登らないので愛犬エルも当然藪山専門犬である。昨日に続いて我々人間はスパイク長靴の出で立ちでスタートする。予定ルートは870二股から頂上の南のコルに突き上げている急な沢を利用する予定である。
沢沿いの林道跡に続く踏み跡を10分も歩くと870二股出会いである。
そこを予定通り右に進むが、石がゴロゴロした涸れ沢状態である。どうやら伏流しているらしく少し登っていくと水流が現れるが、もの凄い荒れようで倒木が凄い(3)。
950二股は左を進むが、右は登れそうもない10mほどの岩盤剥き出しの函状の滝である。1050二股は2年前間違えて左に進んで非常に苦労したところだそうで、今回は間違いなく右へ進む。
しかし、まもなくして1200付近で10mほどのやはり黒い岩盤剥き出しの滝にぶつかる(4)。右の小さな沢地形を利用して巻こうとしたが、急でエルにとっては滑って登れないようである。彼女なりにルートファンデングをいろいろ試みるが、最後には情けない声を上げてギブアップ宣言である。我々が掴まることができても彼女はそれができないのである。
仕方ないので、遠回りになるが左の尾根に取り付くことにする。ここもかなり急ではあるが、岩盤が剥き出しでなく草や灌木が生えているので、我々も登りやすい。沢に再び戻るのは危険なので、沢ルートは諦めてそのまま灌木がなければ絶対登れないような急斜面をトラバース気味に登っていく。これまであまり経験のないような急な斜面で、「滑って落ちたら・・・」と思うと、灌木を頼りに一歩一歩が慎重にならざるを得ない。
ひとつ沢地形を越えて、Co1300m付近で、稜線に向かう尾根を利用することにしてホッと一息つく。
先ほどまで頭上に見えていた頂上が少し遠くなる(5)。
さらにその尾根を登り詰めて、登山口から2時間15分で稜線に乗る。ここまで来るとひと安心である。どうやら双耳峰に見える左側の1595峰と中間コブとのコル付近に出たようである。稜線にはうれしいことに微かな踏み跡が続いている。アカエゾマツが生えていて展望はあまり利かないが、
ときどき樹間から西側に冠雪した表大雪と(6)近くの屏風岳、振り返ると、2年前に登った支湧別岳などが覗く。
我々が登ってきた稜線の右側は足下から切れ落ちて、行く手はところどころで岩稜に阻まれるが、苔やアカエゾマツの枯葉のせいであろうか、足下がフカフカして気持ちがよい。やがて、中間コブを越えて、予定通りであれば、ここへ出てくるはずだったコルへ下りる。頂上はもうすぐである。
コルから頂上への斜面は密度の濃いアカエゾマツ林の急斜面で、林床は苔で覆われてフカフカしていて、踏み跡もよりはっきりとしてきて赤布まで付いている。どんな山でも登る人は結構いるものである(7)。
狭い頂上付近だけハイマツで、その周りはアカエゾマツである。しかし、きれいに刈り払われて、三等三角点が設置されて測量の残骸が残っている(8)。
東〜北側の展望は広がるが、それ以外はアカエゾマツの樹間から微かに覗くだけである。
当然目は昨日登った雄柏山を探す。チトカニウシの東側に延びる稜線の微かに一番高いところがそれで、その右に飛び出しているのが明日登る予定の北見富士である(9)。
一番はっきりと見えるのは同じ稜線続きの支湧別岳を中心とした山々である。右奧に武利岳も覗いている。残念ながら、これも登っているニセイチャロマップ岳は手前のピークの陰のようである10)。
それらの展望を楽しみながら、無風でまさに小春日和のポカポカ陽気の中で、苦労の末の登頂の喜びに浸る。しかし、下山も登り同様大変な急斜面の苦労が待っているはずである。
当初の計画では、頂上の南コルからの沢を下る予定であったが、登ってみて、この急な沢の下りは危険である。そこで、地図で検討して、頂上から950二股出会いまで続く東尾根を下ることにする。しかし、実際下り始めてみると、地図で見るよりかなりの急斜面で、崖状のところに出たりして、エルがあちこちで躊躇するくらいである。エルの躊躇するところは高所恐怖症の自分も怖いところである。周りの灌木だけが頼りのヒヤヒヤ状態の下りが続く。尾根も途中で切れたりして、沢の中を下ったり、どうも地図で見る尾根とは違うようである。どうやら予定の尾根の左側を下っているようである。帰宅してGPSトラックログを見たら、やはり頂上から下りるときに間違って手前の小尾根に取り付いてしまったようである。
それでも、予想以上の苦労をして予定の尾根に乗ったと思って下って行くと、再び地図からは読みとれないような尾根が切れたような崖の上に出る。仕方ないので、トラバース気味に左手の沢の方へ下り、岩盤剥き出し沢を恐る恐る越えて巻くようにして、再びその尾根に戻る。振り返って見たら尾根の中央は屏風を巡らせたような岩崖となっていた。その下からは、傾斜も緩み、ルンルン気分の下りである。予定通り950二股出会いにすんなり下りることができてホッとする。そこからは荒れた沢を870二股出会いまで下り、林道跡に続く踏み跡を辿ると20分でゴールインであった。
とても自分一人では途中でギブアップしていたかも知れない山である。熊ぷ〜さんの適切なリードと恐怖心や不安感を癒してくれるエルのお陰で登れた山であることを実感する。そこで彼等と別れ、白滝温泉経由で、明日予定の北見富士を目指して旧丸瀬布町へ向かう。
帰宅後GPSのトラックログを見て二人で共通理解したことは「下り始めで取り付きを間違ったが、この950二股出会いから頂上まで続く東尾根を上り下りに使うのが、途中崖状のところを巻いても、この山のもっとも最短距離且つ安全なルートであろう」ということであった。このルートなら自分一人でも登れそうであるが、こんなに遠い山では二度と登ることはないであろう。熊ぷ〜さんにぜひまた歩いてもらいたいルートである。