[56]神威岳(札幌)(983m) [百松沢林道コース] 95,5,14  天候 曇りときどき晴れ
    
二日酔いと戦いながら、早春の静かな山を楽しみ、グランドキャニオンのような山頂に立つ。
6:40札幌発
登山地点下山
7:40
8:25
9:25
9:55
登山口 
林道終点 
巌望岩 
頂上 
12:00
11:20
10:40
10:25 
[2:15]所要時間[1:35]
 13:00 まっかり温泉(入浴) 
 16:00 帰宅        
                林道から見上げる神威岳
 この山と同じ名前の山が日高にもあり、そちらの方が有名である。その他にもまだ登山道のない山ならたくさんありそうな名前である。アイヌ語で「神の山」の意味である。摩周岳も別名カムイヌプリ、登別のカムイヌプリ、これらは全部同じ意味なのであろう。

 この山の魅力は、札幌から定山渓へ向うときに右手に見える西部劇に出てくるグランドキャニオンのような山頂である。
 札幌出張の次の日、当初の予定では目高のピセナイ山から早春の目高山脈を眺める積もりであったが、天気予報が良くないので止めにし、帰り道途中のこの山に予定を変更する。札幌に宿をとり、会議で一緒になったM氏とすすきので飲むことにする。
 
 朝早く目が覚めるが、完全な二日酔いである。飲んだ量はそんなに多かったとは思わないが、あまり食べないで飲んだのが悪かったらしい。曇り空であるが、天気予報も雨の心配がないこともあり、ホテルを予定通り出発し、途中、食料を仕入れて登山口へ向かう。定山渓近くの手前で、百松沢橋を渡り、少し行くと登山口である。登山口でのんびりしてからゆっくり登ろうと考えたが、すでに車が6台もあって、ついつい煽られる。(結果的に途中で戻ってきたらしい女性以外は山菜採りの車であった。)
 頂上岩壁を見上げる
 だんだん晴れ間も広がり、心地好い林道歩きが続く。国道からは雲の中にあって見えなかったグランドキャニオンのような特色ある頂上の岩峰が表面に時折見え隠れする。斜面のあちこちには満開のエゾヤマザクラが新緑の中にひときわその艶やかさを誇っている(1)林道終点からは、結構きつい本格的な尾根への登りが続く。右下の深い沢を挟んで常に頂上が望まれる。途中、ところどころで残雪を踏みしめるのが早春の山らしくてうれしい。途中で新しい足跡がなくなっている。擦れ違った女性は何らかの理由で引き返したらしい。
 
 急な尾根を登り切ると喫煙所と呼ばれる平らなところに出る。眼下には芽吹きの多種多様な色が展開する。その後平らに近い尾根が続き、832m峰とのコルに出る。そこからは再び、急な尾根登りとなる。右手には急な深い谷底までの雪崩斜面が迫力満点に落ち込んでいる。 汗を流したら抜けると思った二日酔いであるが、かなりしぶとい。苦しくなると吐き気が顛を出す。岩峰基部からどのようにしてあのテラス状の頂上に登るのかと思って(2)道を辿ると、裏側の方ヘトラパースして行く。ちゃんとあるものである。定山渓天狗岳と同じようなルンゼとまではいかないが、途中ロープが固定された急な沢状の源頭部をジグを切って頂上までの道がついていた。隣の烏帽子岳とのコル付近で烏帽子の踏み分け道との分岐に出る。そこから残雪を踏みしめて、誰もいない頂上へ出る。
 早春の定山渓天狗や余市岳方面の山々小さき巨人(浅地氏画)
 頂上は、下から眺めた岩峰の上という感じが全くなく、周りは大きなダケカンバが6本とササと潅木が茂っていて、岩の露出部もない。まだ真っ白な余市岳とその前に斑状の定山渓天狗岳(3)、隣の烏帽子岳や、手稲山、百松沢山などは雲もかからずすっきりと見える。昨日の朝に登った八剣山が下の方に見え(絵)、その向こうに札幌の町並みもぼやけて見える。 二日酔い症状は頂上へ着いても軽くならず、食欲もないが無理して食べる。薄日が差して無風で結構暖かい。ふと目の前にあと10日程で花開くであろうヤマツツジの蕾が膨らんでいた。静かな「お山の大将われ一人」状態で30分程休み、下山開始する。
 
 下山途中、都市の近くだけに20人以上と擦れ違う。林道に出てからは山菜採りの人達がうようよしていた。 いつもはおいしいはずの沢の水も良く味が分からないほどしつこい二日酔いである。帰路の途中まだ入ったことのない新しい「まっかり温泉」で入浴し、帰路に就くが、とうとう就寝まで軽い二日酔い症状は消えなかった。


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