[ 50]定山渓天狗岳 (1145m) [熊の沢コース]  94、9、18

都会の近くの山とは思えないほどの、予想以上に野生的で変化に富んだコースに大満足

4:00 自宅発(八雲)
登山地点下山
6:50
8:15
8:35
登山口
岩壁下
頂 上
10:40
9:30
9:15
[1:45]所要時間 [1:25]
11:30 豊平峡温泉入浴14:30 帰宅
 おもしろい山だとは聞いていたし、無意根山から眺めて登高意欲を掻き立てられてはいたが(1)、実際に登ってみて、この標高で、しかも大都市の近くに、こんなに野生的で登山の醍醐味を十分に味わわせてくれる山があったのかとびっくりした。この山なら何回登っても飽きないだろうと思われ、花の季節に再訪したい山となった。
無意根山からの全容
 林道歩きをしなければならない神威橋のゲートに着いたら、前の車がそこを開けて通って行く。真似して通過すると、2つ目のゲートも鍵が外れていて、そこも通過。登山口へ着いたら、前の車の二人連れが鍵を借りてきたそうで、運よく50分の林道歩きから逃れることができた。
 
 その人達に先立ってコースに取付く。初めはトドマツ林の中の歩きやすい道であるが、5分ぐらいで熊の沢に下り立ち、あとは岩壁下までその沢ぞいや沢の中の高巻きや渡渉の繰り返し、そして、涸れ沢といった変化に富んだ、おもしろみのある踏み跡状態の登山道を楽しみながら進む。前夜の雨か朝露で滑りやすいこともあって、岩や木の枝や根っこに掴まりながら、軍手が大木の間の峻儉活躍の登行である。日高の山にもこれほど野生的な登山道はなかったな、岩山にもかかわらずかなり高いところまで水流があるなと感心しながら進むうちに、涸れ沢の急登となる。右頭上に迫力ある大岩壁が覆い被さってきて寒気さえ感じる。
 
 垂直に切り立つ岩壁下(絵)まで詰めると、第2峰の壁の左側に余市岳が、振り返ると無意根山が望まれる。この辺からこの山ならではの花が現れるらしいが、すでに終わっていてよく分からない。その岩壁を回り込むように急なせまい斜面をジグを切って登ると、ウエストコルと呼ばれる岩壁の切れ目に向かったルンゼとなる。上から垂らされているロープを頼りに登る。高所恐怖症が顔を出し、ひたすら目の前だけを見つめての登行である。登り切ったら、今度は足元から垂直に切れ落ちた高度感のある岩稜上の道を登ると灌木に囲まれた平坦な頂上に出る。灌木を抜け、東端へ出ると岩と土が露出した絶好の見晴台に出る。もちろん、誰もいない。

 快晴、無風、足元は垂直に切れ落ちて覗くのが怖いくらいであるが、展望がすばらしい。アンテナ群の林立する手稲山、札幌の町並はあいにくうすい靄に覆われていてはっきり見えないが、はるか遠くには夕張山系や日高山脈まで見える。正面には無意根山と羊蹄神威岳と烏帽子岳、眼下にさっぽろ湖(定山渓ダム)、右には札幌岳、狭薄岳、空沼岳方面の山々、豊羽鉱山を抱いたような無意根山と余市岳の稜線越しに頭を出す羊蹄山(3)・・・・そして、日本海などの大展望を独り占めにしながら、暑いので上半身裸になり、腹ごしらえをし、45分ほど休憩する。その間、誰も来ない。

 いよいよ緊張の下山開始。 滑って足場のないようなルンゼの中をロープにしがみつきながら下り、しばらく下山しても、直ぐあとに登り始めたはずの二人連れが来ないで4人連れの女性が登ってくる。聞いたら、休んでいるのを追い抜いて来たという。そのうちに登ってきたが、登山道とクロスするように地図に書かれてあった作業道を車で探しに行ったが、迷って遅くなったと言う。
定山渓天狗岳第1峰頂上を望む
  しばらく下った所で足を滑らせて、肩から沢の中に転げ落ちた。止まって岩に頭をぶつけ、これまでの転倒で最もひどいものものであったが、肩口から左腕に擦り傷ができ、左足のズボンが泥だらけになっただけで、幸い痛いところもなくほっとする。 しかし、すれ違った女性に、「そんなすごいところあるのですか?」と聞かれ、「いいえ滑って転んだだけです。滑りますから気を付けてください。」と照れ隠しに答えて別れる。そのあと、合計で20人程と擦れ違う。中には、登頂できたかどうか心配なかなり軽装の人もいた。

 下山後、迫力ある定山渓天狗岳の第1峰が望める豊羽鉱山の方へ向かい、改めて迫力ある山容を眺め、カメラに収め(4)、新しくできたらしい豊平峡温泉に入浴し、帰宅する。


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