[55]八剣山(498m) [南口コース〜西口コース] 95,5,15  天候 曇り

足をすくめながらも、恐竜の背骨の上に立ち、眼下ののどかな箱庭的風景と春の花を楽しむ。

 
6:30 自宅発(八雲)
登山(南口コース)
8:25 南口登山口
8:50 頂上
下山(西口コース)
8:55 頂上
9:20 西口登山口
9:40 南口登山口
[1:15] 所要時間

札幌へ車で行く度に、恐竜の背骨のようなその奇異な山容を眺め、すぐ登れそうなので、札幌出張のついでにでもと予定していた山である。ちょうど札幌で午後から会議があり、今年の登り初めと足慣らしに手頃な山でもあり、立ち寄ってみた。

 南口登出口ヘ着いて、身支度をしていると、健脚そうな老人が一人空身で下りてきた。確かにリュックを背負っていくはどの山でもないなと思い、怪しげな雲があるので雨具の上を腰に巻き、カメラだけをぶら下げて出発する。

 いきなり岩の露出した急な登りがこの山らしいなと思いながら進む。しばらく芽吹いたばかりの新緑の広葉樹林の中の緩急の登りを繰り返す。樹聞から覗く山肌の芽吹きの中にエゾヤマザクラの濃いピンクが目立つ。途中、下りてくる親子連れと中年3名とすれちがう。
 
 岩だらけの道になり、さっと汗ばんだ頃、一番東端の岩壁の基部を巻く地点に立つ。眼下に札幌に向かう230号線の町並みが見える。その後、垂直に切り立っ岩峰の裏側の基部沿いの道を進むと頂稜の低いところに出、展望が開ける。下を覗くも高所恐怖症ゆえに足がすくむ。
 
 幅の狭い岩稜の上の道をロープに掴まりながら進む。眼下には、満開のリンゴの花の果樹園と草原に一面に咲くタンポポの黄色と蛇行する豊平川と春真っ盛りの箱庭的風景がのどかに広がる(3)。その中を走る道路を眼で探ると西口の方へ下りても南口登山口の方へ歩いて戻れそうなので、西口ヘ縦走(という程のものではないが)することに決める。まもなく、垂直に切り立っ断崖の頂上に立つ。

 西側に続く3本の鋭い岩峰が一層スリルを高める。その幅50c皿ほどで両側が垂直に落ちている岩稜の上を歩く人がいるのだろうか、その様な痕跡が認められ、びっくりする。いつものことであるが、この様な頂上は足がすくみ、腰が落ち着かない(1)(絵)。遠くの山は雲を被っているので、ちょっとの間眼下の箱庭を眺め、西口登山口ヘ向けて下山を開始する。
 
  この西口コースは南口コースとは一変して、しっとりとした樹林の中を下る。道端には、ニリンソウ、エゾエンゴサク、エンレイソウ、シラネアオイ、キバナノアマナ、ヒトリシズカなどの春の花が一面に咲き乱れ、静かな一人歩きのエクスタシーに酔い知れながらのんびり下る(4)
 
 西口登山口からは、満開のリンゴの花の果樹園の中の道を南口登山口ヘ向かう。豊平川の川べりに出ると、突然「この先は危険ですので、車も人も通れません。」という立て札とともに道が無くなる。踏み分け程度の先を眺めると、昔急な岩場を削ってつけたであろう道が豊平川の深い川面へ向かって土砂崩れで埋まっている。時間も十分あるので、そこまで行って駄目だったら戻ればいいと思ってその地点まで行ってみた。確かに川面まで断崖絶壁の上である。よく見ると土砂崩れの残骸の上に足紡がある。同じようにして通過しようと考えた人がいるのであろう。その足跡を辿り恐る恐る一歩一歩下を見ないようにして足元を確かめながら、無事通過したら、そこが南口登山口であった。登山口では本格的な格好をした30名位の大学生の山岳部らしいグループが賑やかに登る用意をしていた。

 わずか1時間ちょっとの行程ではあったが、高所恐怖症の自分にとっては、結構な登山の醍醐味と春の自然を満喫して余りある印象的な山であった。 時間もあるので、まだ入ったことのない黄金湯温泉・まつの湯で汗を流す。途中蕎麦を食べて、出張先へ向う。


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