犬の巣川遡行(320m付近までのピストン)<長万部町>
 2名  12,8,19
最近人気の出てきた沢で、320付近までは、まさに犬の巣川というよりは滝の巣川とでも呼びたくなるほど楽しい沢だった
6:00 函館発
8:00 犬の巣川林道取水施設
登り地点
下り
 8:20
10:05
入渓(80m)
320付近の2段滝の上
12:10
10:15
[1:45]所要時間「1:55]

12:45 長万部温泉(入浴)
15:00 帰宅

                         
 この長万部川支流の二股山を源流とする犬の巣川は、最近急に人気の出てきた沢である。ちなみに、この珍妙な河川名は、Taoさんによると、地質図や国有林図には「犬主川」と記載されていて、もともとはアイヌ語のイヌヌシュナイ(漁猟小屋ある川の意)らしい。

  昨日の檜倉岳の沢に引き続き、SHOさんと二人で「暑い日は沢が一番」と2日連続の沢登り・・・二人とも初めての沢だったが、Taoさんを初めとするHYMLメンバーの情報も多い。最後まで詰めると二股山まで登れるのだが、ヤブ漕ぎがかなり強烈らしい。SHOさんは冬に登頂しているし、自分もそうしようと思っているので、登頂には拘らなかった。入渓地点から滝が連続する320二股上の2段の滝の上までを折り返し地点として、純粋に沢登りだけを楽しむ予定で出掛けた。その上は、もう滝もほとんどなくそれほど楽しい沢ではないらしい。

 林道終点の入渓地点へ着いてビックリ・・・札幌ナンバーを中心とした車が6台も停まっていた(1)一番最後に入渓して一番先に下山したら、車で待機している一人の女性がいた。なんと数年前に珊内岳で同行した札幌のSa女史だった。先行したメンバーは、彼女の加入する何人か顔見知りのいる札幌のロビニア山岳会9名と別グループの札幌の4名ということが判明。

 また、翌朝のブログへのコメントで判明したのだが、下の方に車を停めてあった札幌の別のグループは、何度もご一緒している「地図がガイドの山歩き」チームの面々だった・・・まさに、これこそニアミス。朝、あと30分ほど先にスタートすれば、みんなと会うことができたのだった・・・。

 霧雨状の濃霧の中、林道終点の取水施設の上から入渓(2)入渓した時点では穏やかな渓相だったが、すぐにナメが続き(3)さらにゴルジュ地形へと入っていく。

その後は、「犬の巣川」ではなく「滝の巣川」とでも呼びたくなるほどの滝が連続する飽きることのない楽しい沢だった。深い釜のへつりは多かったが、滝はそれほど難しいところもなく、全部直登することができた(4,5,6,7,8)

 

 次々と深い釜を持った滝や屈曲した滝が現れ、その都度、どこをどのようにへつるか?滝はどこからどのように登るか?と観察しては挑戦して、高度を上げていく・・・。1時間半ほども飽きることのない遡行が続いた。

 やがて、この沢の核心部となる310二股へ到着。ここは二つの沢が滝となって合流する地点である。我々が進むのは本流の水量の多い右沢だが、左から落ち込む羽衣風の滝の美しさに惚れ惚れする(9)。その右滝は右端から直登。一箇所だけ足場がなく、自分が下からSHOさんの足を押さえて、自分はお助けロープで引っ張ってもらった(10)。その右滝を登り終えたら、樋状の滝となる。ここは両足を突っ張りながら突破(11)


 そのすぐ先に320二股付近の5mほどの滝が現れる。ここは画面から欠けているが、左側から直登できた(12)。それを登り切った上に、4mほどの滝が待っていた。ここは2段の滝だった。ここは、SHOさんは、右の流木を自分が下から押さえ、その上に足をかけて突破。自分はその右側の岩崖をよじ登って、灌木に掴まりながら突破(13)

 ここから先は、平凡な渓相となり、もう楽しい滝もほとんどないらしいので、ここを今日の引き返し地点とする。一息入れて、この2段の滝と下の310m二股の滝の懸垂下降の準備に取りかかる。


 上の2段の滝は、自分がよじ登った崖上のブナの木に捨て縄を掛けて、2段まとめて下降した(14)。下の310二股の滝は、左岸の灌木に残っていた捨て縄に用心のためもう一本新しいものを加えて、二つの滝が合流する釜の中へ下りた。SHOさんは、エイト管がないので、肩絡み下降。これは技術を要する下り方だ。自分はエイト管を使ってのオーソドックスな懸垂下降(15)捨て縄を2箇所に付けたままにしてきたが、後から下りてくるグループが助かるだろう・・・。
 
  練習も兼ねた3年ぶりくらいの懸垂下降だが、やはり、安心感が違う。「左側から落ちる羽衣風の滝を懸垂下降したら楽しいだろうな?」などと冗談も出る。

 登りで楽しい沢は下りも楽しい。下から見るのと上から見るのとでは地形も違って見える。登りのときの記憶を辿りながら、滝を下ったり、釜のヘリをへつったりを楽しみながら下る。登りでは目に入る余裕もなかったトリカブト(エゾトリカブト?)にも目が向く(16)

 登りでも下りでもドボンすることなく歩けたのに、ゴール近くになって、何ともないところで滑って転倒し、ほぼ全身ずぶ濡れになったが、全然冷たくない。霧雨は止んだが、最後まで濃霧の中の遡行だった。下りではときおりムッとする熱風の吹いていた。

 往復4時間のそれほど緊張感や恐怖心のない変化に富んだいわゆる「楽しい沢」を満喫し、帰りは長万部温泉ホテルで汗を流し、帰路に就いた。これで、ニアミスとなった「地図がガイドの山歩き」グループやロビニア山岳会のメンバーとも会うことができたら、もっと楽しかっただろう。


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