フモンナイ岳(1337m)東狩場山(1318m)狩場山東尾根途中1365地点) 
<1回目>・九助林道ルート  単独(山スキー) 03,4,27

2回目>(1070mで撤退) 九助林道ルート 2名(山スキー) 13,2,15
3回目> 九助林道ルート 2名(山スキー) 20,4,14

 何度か計画して天候に恵まれず延び延びになっていたが、残雪期最後のチャンスに恵まれた狩場山塊の2つの1000m超峰を踏破し、スケールの大きな眺望を楽しむ。
4:30 道の駅「よってけ島牧」
4:50 車デポ地点(280m附近)
登山
地点
下山
5:30
6:35
7:15
8:30
車デポ地点(280m)
三角点668地点
904m地点
フモンナイ岳着
12:15
11:50
11:35
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[3:00]
「所要時間」
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8:50
9:40
フモンナイ岳発
東狩場山
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[0:50]
「所要時間」
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10:35
狩場山東尾根1365地点
10:40
[5:05]「総所要時間」[1:35]

13:00 モッタ海岸温泉(500円、入浴)
17:10 帰宅

GPSトラックログ(140kb)
(登りは赤色、下りは青色)

 狩場山と尾根で繋がる地図上に山名が記されている1000m超峰が、すでに歩いている夏道の茂津多コース上にある前山以外に東狩場山、フモンナイ岳、オコツナイ岳の3山が未踏である。夏道がなく、険しい沢か雪山しかアプローチの方法のない山ばかりである。3月からねらっていたが、天候に恵まれず、ずっと延び延びになっていた山である。天候に恵まれた今回がおそらく残雪状態からして山スキー登山最後のチャンスであろうと決行する。案の定、前日に林道状況を偵察すると、林道が尾根取り付きの500mほど手前のコンタ280mまで車で入れる最高の状況である。あと1週間遅いと取り付く尾根の下部には雪が無くなっていたことであろう。

 利用する林道が島牧の道の駅「よってけ島牧」のすぐ近くの九助林道であるので、前日の明るい内の林道偵察の後、満天の星空の下、道の駅で夜を明かす。道の駅からも真っ白なフモンナイ岳の頂上とそこまで辿る尾根がはっきり見え、ずっと目で辿ることができるのがうれしい(1)。

 早朝、4:30にほとんど舗装されている林道へ入り、3.5km地点の分岐を右に進み、前日に偵察しておいた残雪でそれ以上進めない280m地点に車をデポすることにする。その地点には、前日入ったものと思われる山岳ツアーガイド会社のMoon Flowerの車が止まっている。同じ場所に車を置いて、これから登る尾根の残雪状況を目で辿る。この地点からフモンナイ岳へアプローチするには2つの尾根が考えられる。ひとつは林道がフモンナイ川の支流との合流地点で大きく東側へ曲がっているが、その支流を渡渉して、合流地点の間からコンタ750m附近の平坦な地形まで延びる細い急な尾根と、その東側からコンタ650mの平坦な地形まで延びる緩やかな尾根である。地図で見ても、実際目で確かめても後者のルートの方が絶対楽そうなので、そちらに決めてスタートする。気温が高く、天候もいいので、最初からシャツだけである。

 初め200mほどスキーを担いで歩き、その後、林道を500mほど進み、トドマツ林をかわして緩い谷地形から尾根に取り付く(2)。尾根のピークは雪がとぎれがちなので、右側の雪付き斜面を登る。45分ほどでこのルートでもっとも急なコンタ500〜550m地点は雪がなくなっていて、どうしてもスキーを脱がざるを得ないので、やむなくツボ足で登る。600mを越えると、広い台地状のところへ出る。あとは、頂上直下まではきつい登りがないだけに、ほっとして一息入れる。振り返ると、芽吹きの新緑の向こうに日本海が広がり、北側の海岸線が延びている。無風の上、ポカポカ陽気で、小鳥のさえずりだけが林に中に心地よく響く。至福のひとときである。

 ここ辺りからコンタ750mの間は、ダケカンバ林に上に行くに従ってトドマツが混在するだだっ広い平坦な地形が広がる。このフモンナイ側の地形は沢の浸食が深く、地図を見ても平らな尾根と深い谷のコントラストがはっきりしているのが特徴であろうか。初めはフモンナイのピークが見えているので、方向は間違わないが、もし、ガスったときには不安になりそうな地形である。やがて頂上ピークが手前の稜線で見えなくなって来たときには、予めGPSに入れてきたルートを見て進んでいる方向を確かめる。 そんな平坦なダケカンバ林の中に緑色のテントが見える。昨日入ったMoon Flowerのツアーのものであろう。

 普通これまで登った山の植生は森林限界が近くなると、ダケカンバだけになることが多いが、この平坦な地形はドマツがどんどん増えてきて、その密度が逆転しそうな勢いで、トドマツ林を抜けたら、森林限界という感じである(3)。右の尾根から繋がる平坦な地形を見上げると同じ状況である。このことについて、帰宅後、この春まで島牧村で森林官をしていたYaさんに電話で聞いてみた。「本州にはこのような状況はよくあるが、北海道の日本海側の亜高山帯ではここだけの貴重な現象である。しかも、豪雪地帯で風も強いのに不思議で、その成因はまだ究明されていないのだそうである。細い斜面や尾根でなく、の平坦な地形なことも何か関係あるにであろうか?」とのことである。上から見ろしても、650m〜800mのこの平坦な部分だけはトドマツ林の状態である(4)。

 700mを越えると、目の前に一段上の平坦な尾根が稜線のように見える幅広い、帰りの滑りが楽しみなおいしい斜面が現れる(5)。その稜線の真ん中をねらって大きくジグを切って登っていく。その斜面を登りきると、目の前にフモンナイ岳の頂上が見える(6)。そこまで繋がる緩やかなハイマツ帯の尾根をゆっくり登る。左手を振り返ると、春霞のような感じの中に大平山が見える。

 そこから1時間ほどで、フモンナイ岳と東狩場山方面のコルの手前に到着する。Moon Flowerのツアーのトレースはフモンナイ岳へは向かわず、東狩場山の方へ向かっている。まさか東狩場山を目指すツアーはないであろうから、狩場山へ向かったのではないかと、狩場山の東尾根を目で辿ると、確かに3人の姿が見える。この時期、このルートから狩場山をねらうのが最短距離かも知れない。彼らは1泊しているが、十分日帰りも可能な時間である。

 フモンナイ岳の頂上をねらうが、女性の名前のような小田茜川がフモンナイ岳と狩場山の間を深く浸食していて、足下から垂直状態に切り立ち、雪庇が発達しているので、その根元を歩く。その谷を挟んで聳える狩場山はスケールもでかいが、荒々しさも結構で新鮮な眺めである。その稜線上の右側に未踏のオコツナイ岳が登行意欲を掻き立てるように、その存在を際立たせている(7)。4時間ほどの計画であったが、ちょうど3時間で頂上に立つ。単独のせいもあり思ったより速い歩きだったのかも知れない。当初の予定はこの山だけだったので、それ以外の地図は持ってきていないが、時間的にも体力的にも余裕があるし、天候もいいので、地図はないが、東狩場山まで行くことにし、おにぎり2個の朝食を摂り、20分ほど休憩する。

つづく


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