東狩場山へ向かう・〜〜〜・そして。 
 
 フモンナイ岳頂上をあとにして、東狩場山へ向かうが、手前の稜線の陰になって見えないが、コルまで下りて少し進むと、以前旧道コースから登ったときに印象がある丸い頂上が顔を出すようになる(1)。深い谷を巻くように断崖を巡らせた稜線が続くが、その東側は緩やかなだだっ広い斜面が広がる。その斜面の上の方を何度か登り返ししながら進むと、東狩場山と狩場山東尾根とのコルに出る。そこから狩場山頂上までは1時間30分もすれば行けそうな距離である。地図がないので、確か東側の丸いピークが頂上のはずと東狩場の頂上を目指す。南側には2年前の4月の登ったカスベ岳とメップ岳が見え(2)、東側には大平山がその荒々しい勇姿を見せている(3)。狩場山も旧道コースから眺めたと同じ角度で、真っ白な姿を見せている(4)。

 なんとなく西側の岩を巡らせたピークの方が高く見え、そちらに移動して狩場山を見ると、3人がその東尾根を楽しそうに滑り降りてくるのが見える。「まだ10時前である。十分時間はある、自分も狩場山を目指そう!」と決めて、コルまで滑り降りてそちらへ向かう。1357ピークを越えた辺りで彼らと出会う。HYMLの会員でもあるMoon Flowerの代表の「Haさんがいますか」と聞いてみたら、「彼は十勝岳の方へ行っている」とのことである。

 彼らと別れて1357ピークのコルまで下りると、あとは頂上目指しての30分ほどの急登だけである。その辺りから急に風が強くなり、雪の状態も腐ってきて滑りを楽しめるほどでもないと思ったら、急に意欲が褪せてくるとどっと疲れが出てきた。狩場山の頂上には4コース全部から7回も立っているが、雪山はまだ無い。しかし、考えてみたら、早朝からすでにかなりのピッチで5時間以上も歩いているし、少々靴擦れ感もあり、あっさり1365m付近で戻ることにする。

 今度は逆から断崖を巡らせたフモンナイ岳やその険しい地形を眺めながら(5)、登り返しをし、あとはなるべく登り返しをしないように方向をフモンナイの方へ向かう。シールを剥がせるフモンナイとのコルまで行くと、フモンンアイの垂直に切り立つ崖をバックに3人が休んでいる(6)。彼らの下り始めるのとほぼ同時に下り始める。まずはコンタ900mまでのハイマツの生えた尾根を斜めにねらう。その後は大きなターンを気持ちよく刻むことができる緩やかで快適な広い尾根である。いつの間にか先頭に出てしまい、途中で彼らの広い斜面を滑り降りる姿を下から写真に収める(7)。

 帰りもっとも楽しみにしていたコンタ900mの下の大斜面であるが、大きな気持ちよいターンを刻み、あっという間に700m以下の平坦な斜面に下りてしまう。さすが帰りは広い平坦な地形なので、進む方向に自信がなくなり、何度かGPSのトラックログに頼ってしまう。後ろから来る彼等のためにもテントのそばだけは通ってやろうと思う。テントのそばを通ってそのあとは一人でどんどん下る。単独の下りは待たなくていいので、速い速い。調子に乗って別の尾根の方に下りすぎてしまい、GPS頼りで少し戻ったりしながら、雪が付いていないコンタ550mの急斜面の上まで下る。スキーを脱ぐのが面倒なので、笹と枯れ葉だけなので、そのまま下っていったら、キョウジャニンニクが目に飛び込んでくる。今年の初物である。見逃すわけには行かない。仕方なくスキーを脱いで採取である。ついでに少し休んで。再び林の中を滑り降りる。最後はまっすぐ林道をねらいトドマツ林の中を下り、林道へ出る。

 いよいよひと月以上温めていて実現できなかくて、今年の決行は諦めかけていた東狩場山のおまけまで付いたフモンナイ岳の終焉である。風が強くなければ思ってもみなかった雪山の狩場山頂上までのおまけ付きだったかも知れないが、車デポ地点まで戻ってもまだ12時過ぎである。あとは、モッタ海岸温泉に入って帰路に就くだけである。林道を下った来たら、新緑の芽吹きの中にコブシやオオヤマエゾザクラの花が咲いていて、思わず春山だという思いに引き戻される。




「北海道山紀行」目次へ   HOMEへ

inserted by FC2 system