大千軒岳 (1,071m)  [切戸の沢ルート途中撤退]  00,10,09

まだ歩いたことのない切戸の沢からのアプローチを試みたが、途中で進退窮まって撤退する。

6:20 自宅発 
登山地点下山
6:45
7:20
8:10

8:30
8:50
9:50
車止め
登山口
広い川原
広い川原
金山番屋
銀座の沢出会い
780m付近
13:40
13:00
12:10
11:45(昼食)
11:00
10:50
10:00
[3:05]所要時間[3:15]

14:00 知内温泉(入浴350円)
16:00 帰宅

 全道的に天気予報がよくない中、道南だけに晴れマークがある。急遽、前からねらっていた知内川コースのまっすぐ中千軒岳と前千軒岳の稜線のキレット部分に突き上げているその名も「切戸の沢(キレットの沢)」から稜線へ出て、まだ行ったことのない前千軒岳へ寄り、戻って頂上へ、そして、下山は正規の知内川コースを下りる予定で家を出る。
 これまで得た情報では「登山靴でも登られるし、手に負えないような大きな滝はない」とのことである。

 上空は曇りだが、途中から千軒連山はくっきり見えている。林道を進んでゆくと、登山口の2.5kmほど手前に車止めがあり、そこに車が2台止まっている。そこから先は土砂崩れで道が崩壊しているらしい。確かにそのあとは、500mほどは修復がされているが、それより奥の方は修復が難しいのではと思われるくらいである。
広い川原
 先にスタートした札幌から来たらしい3人連れを途中で追い越し、35分で登山口へ到着。登山口には青森から来たという5人連れが出発しようとしていた。ほぼ同時に出発し、吊り橋をおっかなびっくり先に渡り、その日のトップに立つ。
金山番所と目指す切戸の稜線
 この知内川コースは4年ぶりであるが、かなりあちこち崖崩れや登山道が崩壊しているところが目立つ。大高巻き部分の手前は水量が少ないので、ほとんど川原の中を進んでゆく。紅葉は期待したほど進んでいなかったし、きれいでもない。広い川原の手前の大高巻き部分は4カ所ほど沢を横切るが、そのどこも大きく抉れて深くなり、登り返しがきつくなっている。

 登山口から50分で広い川原(1)に出る。水量が少なく渡渉には石を一つ伝うだけで十分である。その後、水量が多いときに苦労する川が大きくカーブするところもすんなり、左岸を通過し、心地よい河畔林の道を進む。金山番屋ではにわかクリスチャンになり、今日の登山の無事を祈って、そこから登山道を外して沢に下りる。
切戸の沢の連続する小滝
 銀座の沢出会いから正規のルートは尾根に取り付くのだが、今回はそのまま沢をまっすぐ進む初めてのルートである。一気に標高差500mも上がるかなり急な沢のようである。また、最近登ったという話を聞いたことがない。確かに進んでいってもそこまでは煩いほどあった赤いテープやマーキングは一切ないし、踏み跡や人の歩いたような形跡すら全くない。初めは広かった沢もだんだん狭くなり、急になってくるの連れ、だんだん心細くなる。おまけにここまで来る間にもかなりの崖崩れ状態のところが目に付いただけに、この沢もどこかで進退窮まるのでは?という心配もある。
 
 やがて細い小滝が連続する険しい荒れた沢になってくる(3。4.5.6)高巻きなどとれるような地形ではなく、狭いV字谷の岩の谷底を3点確保の岩登り状態の連続で進む。ただ幸いなことに石や岩はごつごつしていて滑らないし、ホールドには困らない状態で、大きな急な滝がないのも幸いして、それほど怖くはないし、水がそれほど冷たくないのがうれしい。。しかし、いやでも流れの中に入らなければならないところもあったり、シャワークライムもどきの所があったりで、結構ズボンが濡れる。また、あちこちに頭上から崖崩れ状態のところがあり、それの方が怖い状態である。

 だんだん、高度が上がるに連れて急になり、垂直に切り立つ岩場の下を通過するときは鳥肌が立つ。振り返ると、紅葉の山肌の稜線の向こうに見えなかった山がだんだん頭を出して来るのがうれしい(7)。1時間ほど登り詰め、標高780付近で、沢の水がほぼ垂直に切り立った左側の岩盤の上からの滝になる二股に出る。真上には涸れ沢が続いているが、どうも、進むべき沢は水流のある左側の方らしい。しかし、そこへ登るには足場になるようなところもなく、「ここなら」と思うような大きな岩盤の右横は明らかに崩壊した感じで、高さ3mくらいであるが、垂直に近く登ろうにもぼろぼろ崩れてくるような気がする。

 仕方ないので、涸れ沢の方を詰めてみるが、ここも凄い傾斜で上の方はザレ場のようになっていて、落石が音を立てて落ちてゆく。さらには上は岩場になってそれ以上はとても無理であるし、目指すキレットとは方向が違っている。また、おっかなびっくり二股まで戻り、どっか高巻くところでもと探して、再び涸れ沢の方を登ってみるが、とても急な草付きの泥壁状態でこれも無理・・・・・・。無理して登って滑落でもしたら・・・このルートはここまで見ても絶対人の来るようなところではない・・・ついに、諦めてて撤退することにする。

 さて、高所恐怖症の自分にとっては。登りは無我夢中で四つん這い状態で登ってきたが、下りは大変である。傾斜がゆるむとほっとするが、急なところはどのようにして登ってきたのか?と頭を悩ます所もある。流れの中に手や尻をついたりしながら、情けない格好での下りを40分ほど続けて、連続滝状の所から少し広い所に出るとほっとする。

 銀座の沢出会いから正規のルートを頂上までもと思ったが、何度も行っているし、結構緊張感で疲れたこともあり、そのまま下山を続け、広い川原でラーメンの昼食をとる。

 広い川原から登山道に入ったところで、「ニガクリダケ(毒キノコ)」の写真を撮っている「青い山脈」の代表の清水氏に出会う。このキノコはなかなか目にできないし、これほどきれいなものは珍しいとのことである。
 切戸の沢の撤退場所のことを話すと「多分、今年の雪崩でやられたのかも知れない。戻って正解でしたよ。あそこは最近誰も登っていない沢ですから・・・」」とのことである。「ハーケンとかザイルも持たないで行ったのですか?」と半分呆れ顔で笑っておられた。落石は結構あったので、ヘルメットはあった方がいいかも知れないが、ハーケンもザイルもその技術もない私のには無用の長物であると話したら、「今度、雪の詰まっている早春に銀座の沢をまっすぐ詰めてみてください。結構楽ですよ。」・・・・また、新たな目標ができた。
 挨拶して分かれたら、すぐに呼び止められ、 「10月1日で福島町の教育長も辞めましたから・・・」とのことである。
「長い間お疲れさまでした。心おきなくこの山で好きなことをしてください。」と答えて別れた。

 この日、この山で唯一挨拶以外の長話をしたのが、この山の主のような清水氏だったのもうれしかった。長い林道歩きを終え、帰りは知内温泉で汗を流して帰路に就いた。
 
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