大麓山(1459.5m)〜トウヤウスベ山(1400m) <富良野市/南富良野町>
<中白鳥川林道〜南西尾根ルート> 山スキー  単独 12、3,28

最高の天候に恵まれた誕生日山行・・・長年の念願が叶い、道内ではこの山でしか見られない樹氷モンスターも堪能できた

5:15 南ふらの道の駅発
 
登山
地 点
下山
 6:00
 6:50
 9:20
10:35
10:50
11:40
鹿柵ゲート手前
スノーブリッジ(560)
1178コル
大麓山
(休憩)
トウヤウスベ山
14:00
13:50
13:15
12:45
----
12:00
[5:40]
所要時間
[2:00]

15:00 南富良野保養センター(入浴)
16:00 南ふらの道の駅(車中泊)

 十勝連峰の南側に位置するこの両山は、富良野市と南富良野町の境界稜線上に位置し、「北の国から」の舞台となった富良野市麓郷の後ろに広がる広大な東大演習林の山である(1)<トウヤウスベ山は大麓山の陰で見えない>。

 大麓山の名の由来は、昔の東大総長であった菊池大麓氏からに因るらしい。そして大麓山の麓だから麓の集落が麓郷と名づけられたそうだ。 しかし、トウヤウスベ山の由来は今のところ不明。

 これまで少なくとも3回は計画倒れになった山だ。一昨年のGW時期にはシートラで30分も歩いたが雪が現れず断念している。

 南ふらの道の駅で朝を迎えた68回目の誕生日、珍しく寒さで目が覚めた。なんと−13℃だった。好天ゆえの放射冷却か・・・。もう4月だというのにこの寒さは一体・・・しかし、雪は軽くラッセルも楽だろう?ということで、誕生プレゼントの好天と大展望を期待して向かった。

 国道38号線から麓郷へ入り、そのまま市街地を通り抜けて、富良野ジャムの工房(アンパンマンショップ)の前で左折する。ポン布部川の橋を渡って右折し、川沿いの細い道を進むと、鹿柵があり、そこが実質的な演習林入口である。その鹿柵手前200mほどのカーブ地点に車1台駐車可能なスペースを見つけ、そこに車を置く。

○まずは、長丁場覚悟の大麓山を目指して

 多くの記録はトウヤウスベ山まではおよそ6時間前後が多い、長丁場なので、6時にスキーを着けて出発。スカッ晴れの下に大麓山も富良野岳も芦別岳などの夕張山系の山々もくっきり。

 鹿柵ゲートの道路部分はネットになっているので、その下を潜って通過(2)

 奥の車ゲートを過ぎてひとつ目の林道分岐の左が、進むべき中白鳥川沿いの林道である。奥で工事が行われているようで、そこから次の分岐左側へ続く林道は頻繁にダンプカーが走っているようだ。その分岐の右の川沿いの林道へ進むのだが、スノーモービルのトレースが続いている。

 50分ほど林道を歩いていくとc560付近のスノーブリッジにスキーの古いトレースが残っている。そこで渡れれば、南側手前から南西尾根に取り付けるので、そこを渡って、トレースを辿ることにする(3)渡って5分ほど進んでカメラがないのに気づく。スノーブリッジのところで撮したので、そこに違いない。戻ったら案の定そこに落ちていた。早く気づいたお陰で10分ほどのアルバイトで済んだ。

 川を渡ってからは緩やかな斜面を覆い尽くすトドマツとエゾマツの混交林の原生林が続く。その中に続く古いトレースを辿って登っていく(4)1000mを越えた辺りで、明るくなり、疎林帯へと抜けるGPSには下から続く林道とぶつかる標高点1062へのルートを入れてあったのだが、トレースを辿ったために、気づいたときには、その右上の方へ逸れて1230ピークの方へ向かっていた。林道へ出るには下らなければならない。そこで、トレースを離れて、帰りに登り返しの無いようなコース取りに終始し、トラバースして1178コルを目指す。途中で樹間から大麓山とその斜面が見えるようになる(5)


 可愛いエゾマツの松ぽっくりに疲れを癒される(6)やがて、1178コルに到着。目の前に大麓山の斜面が広がる(7)<帰りに撮影>。ここまでで、すでに3時間20分経過。結構疲れている。無風で暖かいのを幸いに、青空の下に聳える真っ白な富良野岳を眺めながら腹ごしらえをし、この後の急登に備える。ちなみに、夏の演習林主催の学習登山会ではここまでバスが上がってくるそうだ。

○憧れの樹氷モンスター

 このルートでもっとも辛い急斜面を登っていく。やがて、道内ではここでしか見られない?樹氷モンスター帯へと入っていく。樹氷モンスターといえば、蔵王や八甲田が有名だが、まだ写真でしか目にしたことがない。それらに比べると規模は小さいようだが、青空の下ににょきにょきと聳えるこれらを見ることが出来ただけでもこの山に来た甲斐があるというものだ。ここ数日の厳冬期並の寒さがきれいなままの造形を保ってくれたのだろう・・・・(8〜11)


 しかし、この斜面は非常に手強かった。ジグを切って登っていくが、樹氷の間を抜ける風に飛ばされてシールやエッジの効かない堅いところと40cmを越えるような吹き溜まりのところが交互に現れる。登りづらいったらありゃしない。予定の1時間を大幅に上回って、ようやく稜線に乗った。 

 稜線の上から次のトウヤウスベ山を探したが、見当たらない。そんな馬鹿な?と思いながら探すと、眼下に十勝連峰をバックにした高台のようなポコが見える。そうやらそれに違いない・・・。まるでおまけのような山だ・・・?。

 稜線もチビモンスターに覆われていたが(12)4時間35分も要して、ようやく頂上に到着。頂上には標識が立ち、三角点が頭を出していた(13)

 うれしいことに無風で全く寒さを感じない上に、360度遮る物のない絶景が素晴らしい。これ以上ない最高の誕生日プレゼントだ。積年の念願の山なだけに余計にうれしい。それらを楽しみながら15分ほど休憩。
 




 手前のトウヤウスベ山の奥に連なる十勝連峰・・・この方向から眺めることが少ないので新鮮な眺めだ。とくに、南端の03年5月に十勝側から登った道内随一端正な円錐形の下ホロカメットク山と荒々しく複雑な山容の境山の眺めが懐かしい。その奥に東大雪の山々も見えている(14)


<エバさんから借用>

 反対側の富良野盆地を挟んで屏風のように連なる芦別岳を中心とした夕張山系・・・『雪山ガイド』に執筆した布部岳や松らい山〜御茶々岳〜槇柏山も懐かしい(15)。

○トウヤウスベ山をピストンして下山

 おまけのような感じのトウヤウスベ山を目指して、コルまで下る(16)この斜面にも小規模ながら樹氷モンスターが見られた。登り返しに掛かると、おまけとバカにした罰が当たり、ラッセルが深い。さらに頂上直下の急登はクラストしていて、エッジもシールも効かない。そこにスキーをデポしてツボ足で頂上を踏んだ。

 頂上から振り返ると、先ほどまでいた大麓山が見える。帰りもあそこまで登り返さなくてはならないので、大変だが時間的余裕はたっぷり。ラッセルのない分だけ楽だろう(17)
 
 十勝連峰の眺めが先ほどより近くに見えることもあり、境山の荒々しさが際立って見えるのも新鮮だ。

 07年に原始ヶ原から富良野岳に登ったときに原始ヶ原を挟んだ反対側からこちらの両山が見えたので、少し北側に下ると、眼下に原始ヶ原らしい白く覆われたところが見えた(18)

 昼食がてら20分ほど休んで、12:00丁度によ下山開始・・・。

 大麓山の稜線まで45分で戻って、シールを外す。樹氷モンスター斜面の下に、1178コルを挟んだ1230ピークとその奥に富良野盆地が広がっている(19)

 コルまでの下りは、登りのときは軽かった雪も太陽光線に溶けて重い雪に変わっていた。軽ければ楽しく滑れそうなところもあったが、慎重にコルまで下る。

 コルからは、登りのトレースを辿って快調に下った。雪も林の中は軽くて滑りやすかった。スキーの下りは本当に速い。コルまで登りで3時間20分要したところを1/5強のわずか45分でゴールした。

 車のそばの道の真ん中で靴を脱いで、ふと顔を上げたら、目の前に「東京大学」と書いたダンプカーが停まって、運転手が笑っていた。慌てて会釈をして道を空けたらプッ!と鳴らして通過していった。

 明日の予定を考えて一番近い温泉はなかやま湖畔の南富良野保養センターである。昨日に引き続き、そこで入浴し、2夜連続の南ふらの道の駅へ。レストランで夕食を摂り、一人でささやかな誕生日の乾杯をした。



「北海道山紀行・目次」へ   HOME

inserted by FC2 system