下ホロカメットク山(1668m)〜境山(1827ピークまで)   

シートカチ支線林道6号線ルート  単独(山スキー) 03,5.04

貴重な林道情報のおかげで、日帰り楽勝モードで、念願の奥深い道内随一端正な円錐形の鋭鋒に立つ。

5/3
15:40 七飯発
    (高速利用)
21:30 清水町
22:40 シートカチ支線林道6号線
    除雪最終点地点 (車中泊)
   
5/4
登山
地点
下山
5:00
6:50
7:20
7:40
林道除雪終点(820m)
森林限界(1360m)
スキーデポ地点(1625m)
下ホロカメットク山着
12:40
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[2:40]所要時間----
8:10
8:20
8:40
10:00
10:15
10:45
下ホロカメットク山発
スキーデポ地点(1625m)
最低コル湿原(1269地点)
スキーデポ地点(1705m)
稜線(1750m)
境山手前1827ピーク
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11:45
11:30
11:25
10:55
[5:45]総所要時間[1:45]

13:20 トノカリ林道偵察
13:50 トムラウシ温泉・東大雪荘(入浴・休憩)
18:30 清水町(車中泊)

GPSトラックログ(102kb)
(登り〜赤 下り〜青)
  この下ホロカメットク山は十勝連峰やトムラウシや東大雪の山に登ると、十勝連峰の南東側へ派生した稜線の南端に、すぐにその山であると分かる北海道随一の端正な円錐形をした山である(1)。上川側から見ると一列に並んで見える十勝連峰であるが、実は、上ホロメットク山から十勝側へTの字に伸びた稜線(南富良野町と新得町の境界線上)がある。その稜線上の境山を経由した南端の独立峰的な山である。もちろん登山道はない。したがって、この山に登るには、冬か残雪期に上ホロ避難小屋に一泊し、上ホロカメットク山から稜線上を辿り、ピストンするのが一般的なルートである。雪山日帰り限定と決めている自分はこのルートをGW時期の残雪期なら日帰り装備で早朝発てば不可能ではないと思っていたが、退職後の計画であった。

 しかし、たまたま、4月下旬、HYML(北海道の山ML)に、「トムラウシ川温泉までの道路から曙橋を渉って延びる林道がずっと奥まで除雪されて、ユー十勝川の774地点(静水橋)まで、さらにそこから下ホロに向かって延びるシー十勝川6号林道の途中まで車で入れる。滅多にないチャンスである。」とのメールが入る。確かに地図で見ると、下ホロがすぐ指呼の地点である。この機会を逃す手はない。GWは別な山を計画していたが、急遽、午前中用事が入っている5/3の午後に移動し、5/4をその実行日とする。

 ところが、5/1に30年来の友人(私が会長を務める函館スキー指導員会の副会長)が急逝し、その葬儀委員長を頼まれる。このGWは彼の弔いに徹し、喪に服す気持ちになる。しかし、日程が通夜5/5、告別式5/6となり、不謹慎であるが、スキー仲間である友人の「弔いスキー登山」にしようと勝手な理由を付けて、5/2の納棺に立ち会い、その日の内に挨拶文を書き上げ、5/3の午後の出棺から火葬後の骨上げまでお付き合いし、火葬場から直接車を走らせる。

 国縫から夕張まで高速を繋ぎ、夜の日勝峠を越え、清水町のコンビニで買い物をして、トムラウシ温泉への道路を走る。ちょうど舗装が切れる少し手前で左側の支流沿いの林道へ入る曙橋を渡る。そこから川沿いの林道を走る。真っ暗なので、カーナビに現れる殿狩橋、支十勝橋、奥十勝橋が目安である。さらに奥まで進むと橋の向こうに除雪に使ったと思われるブルドーザーが置かれ、そこの橋が情報としてもらっていた静水橋である。そこからさらに右側に入る林道(シートカチ支線林道6号線の新しい看板あり)が除雪されているので700mほど進むと除雪最終地点にぶつかる。その地点に砕石が山のように積まれていたので、林道の補修工事にでも使うのであろうか、そのお陰で、早めにこんな奥まで除雪をしたのだろうか?同じ情報を入手したHYMLの誰かの車が先に入っているかと期待したが、誰もいなかった。標高820mで、下ホロ頂上との標高差が850mといううれしい地点である。しかも、明日の天候が約束されたような満天の星空である。

 7時間の長距離ドライブの緊張からか、なかなか寝付けなく、うつらうつらしているうちに夜が開け、4時には起きてしまった。車のフロントガラスの前の林の上に目指す形のよい鋭鋒・下ホロの頂上部との対面である。予想していたより近い距離である。右側には境山の山体が見えている。これなら3時間もあれば下ホロの頂上へ着くであろうと思うと、急ぐこともなく、ゆっくり準備をしながら日の出を待つ。太陽が顔を出し、下ホロが朝日に輝く姿をカメラに収め(1)、5時ちょうどに山スキーを着けて、下ホロとその右側に見える境山(2)の2山ねらいでスタートする。これから登る予定の東斜面は幅広く雪が残っていて、頂上のすぐ下のハイマツ帯が気になるが、その下まではスキーで行けそうである。

 昨日のものと思われる一人のスキートレースと二人のスノーシュートレースが残っている林道を進む。目の前にだんだん下ホロの斜面が見えるようになり、頂上の少し下のハイマツ帯まで続く広い雪付き斜面が覗く。周りはトドマツやエゾアカマツ中心の林であるが、下ホロと境山以外見渡す限り平坦な土地で、800m以上の高地にいるような気がしない。予定では林道が大きく右に曲がるところから出っ張り尾根をねらうつもりでいたが、昨日のトレースが地図上の852地点へまっすぐその尾根から下りてきているようなので、地図とGPSで確かめ、そこからまっすぐ西側へ進路を取り、地図上の出っ張り尾根をねらうことにする。鬱蒼としたトドマツとアカエゾマツの大木が茂る林の中を進む。ふと右側を見ると、林の切れ間からオプタテシケ山が覗く(3)。小鳥の声だけが響く静かな森である。

 両側からだんだん浅い沢地形が迫ってくる尾根に乗り、ちょっと急な登りを越え、コンタ1150m付近まで登ると、樹間から十勝岳からオプタテシケ、さらにはトウラウシまで見えるようになってくる。今度は南へ進路を変え、地図上の1285地点付近をねらう。その辺りになると、アカエゾマツやトドマツの背丈が低くなり、ダケカンバが目立って来て、その上には右側にかなり下までハイマツ帯が下りていて、その左側に広がる広い真っ白な斜面が見えるようになる。やがて、1350m付近で森林限界に出る。上を見上げると下から見上げたときには凄く急な斜面に見えたが、広いせいか意外と緩い斜面に感じる。結構多くのシュプールが残っていて、その上には頂上の手前のハイマツ帯が行く手を遮るように見えている。振り返ると十勝岳から東側へ続く美瑛岳、オプタテシケ、トムラウシが・・・。さらにその南側には霞んだ感じでうっすらとニペソツを初めとする東大雪の山々が・・・。

 広い雪付き斜面を初めは直登で、だんだん高度を上げて行くにつれて斜度が増して来るので、大きなジグを切って登っていく(4)。頂上まであと標高差40mほどのところでハイマツ帯にぶつかる。その直ぐ下にスキーとストックをデポして、背丈ほどあるハイマツ帯に分け入る。膝から下の枝は踏んづけ、それより上の枝は手で掻き分け、一歩進むのに30秒から1分掛かる感じの前進である。それを10分も続けないうちに右上に雪付き部分が覗くのでそちらをねらう。そこに出たら、数分で二等三角点の設置された狭い頂上へ到着である(5)。

 ようやく、西側のゆったりとした大麓山とトウヤウスベ山と原始が原、十勝連峰の西半分の前富良野〜富良野〜上ホロなどの山々とのご対面である。これまで、3度冬期間に反対側の三段山に入っているが一度も晴れたことがなくて、白い十勝連峰を眺めたことがないのに、今回は裏側から一回で見渡すことができた(6)。自分には裏道が似合っているのかなどと苦笑しながらそれらの眺望を楽しむ。東側の山々はすっかり霞んでしまって全然見えなくなってしまっている。

 次に、これからコルまで下りて登り返すことになる標高差が550mの境山への登りに使う雪渓を検討する。どうやら、コンタ1800mのピークを通過する町境界線の右側に延びている雪渓が、上の方はツボ足になるであろうが、最適なルートのようである。

 しかし、これだけ端正な円錐形であれば当然コニーデなのであろう。であれば、頂上部に噴火口があって然るべきなのに、頂上まで尖っている。下山途中に追いついたHYMLのKuさんの話では「初めは噴火口があったが、そこから溶岩頭が盛り上がった二重式火山である。」とのことである。下山後、同じHYMLのメンバーのあまいものこさんのHP「甘藷岳山荘」には、「下ホロはどうも二重式火山で、1600m位の所に下の火山の火口縁があるようで少し平らになっている。」と記載されているが、真相はいかに?である。

 つづく


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