登山 | 地点 | 下山 |
10:00
10:45
11:40
12:20 |
横津岳スキー場
横津岳
烏帽子岳
袴腰岳 |
14:15
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12:50 |
[2:20] | 所要時間 | [1:25] |
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3月になり珍しく連日の降雪後、久しぶりに休日と好天が重なる。2月まではXCモードで一時休止状態だった山スキー登山がようやく再開となる。そこで、来シーズン北海道新聞社から発行予定の仮称『北海道冬山ハイキング』(北海道の山メーリングリスト編〜今年の2月発売された
『北海道スノーハイキング』の姉妹編)の取材を兼ねての山行となった。
横津岳までは冬の間何度か行っているが、烏帽子岳経由袴腰岳は初めてである。帰りは冬山ならではの烏帽子岳から直接スキー場へ戻るという三角形のルートである。ただ、このコースは標高差が少なく、何度か登り返しがあり、最後までシールを外して滑りを楽しむのは無理なコースであるのが残念である。結果的に、スノーシュー登山でも十分対応できるコースでもあり、滑りをいくらかでも楽しむのであれば、今回のルートを逆に回ると、最後の横津岳頂上からスキー場までの緩やかな滑降を楽しむことができる。
前夜、前の職場の仲間が開催してくれた私の「還暦と退職を祝う会」があり、珍しく午前様で帰ったが、飲み方をセーブしたおかげで二日酔いなしでホッとして準備する。9時過ぎに家を出て、10時に、
巨大なゆきだるまが設置されている横津岳スキー場(1)の第一リフトの終点を出発。どうやら頂上までの道路はスキー場の圧雪車で踏まれているようであるが、300mほどその上を歩き、途中からところどころに古い標識が残っている昔からの冬山登山のルートへと入る。直ぐ前を単独のテレマーカーが歩いているが、その取り付き地点の手前で追い越す。
3月には珍しいダケカンバの美しい樹氷の疎林帯には先行者のトレースが続いている。
しばらくすると、表面に頂上の航空レーダーのドームが見えてくる(2)。
振り返ると、美しい樹氷の間から函館市街地、函館山、津軽海峡などが見える(3)。先行者のトレースを辿り樹氷の間を進む。樹林帯を抜け広い稜線に出ると、強風が襲ってくるが、歩きづらいほどではない。道路を横切ってまっすぐ頂上をねらう。山スキーで登った先行者は、頂上から滑り降りてくる。この時刻にもうスキー場へ下りるのだろうか・・・・。
頂上ドームの建物の陰には、ずっと圧雪された道路を登ってきたらしいスノーシュー登山の10人ほどのグループが風を避けて休んでいる。
自分は、北側の展望が広がる建物の裏側へ回ると、期待していたとおり、駒ヶ岳を初め噴火湾の向こうに羊蹄山を初めとする山々がくっきりと見えるのがうれしい(4)。さらに函館山と函館の街並みを写し(5)、それほど疲れもなく、休憩もとらないで、袴腰岳を目指す。まずは、横津神社をめがけて緩やかな下りをシールを着けたまま下る。以前1月に来たときにモンスター状態だった鳥居や祠は、思いの外、雪に覆われておらずちょっとがっかりだった。横津岳独特のだだっ広い溶岩台地の雪原をはるか向こうの烏帽子岳をねらってまっすぐ進む。ここから烏帽子岳までの間は、ガスに巻かれたら方向を見失う怖いところである。その証拠に、この山でも昔何度か冬山の遭難事故があり、自分が知っているだけで6人は亡くなっている。
航空レーダーの関連施設を越えると、スノーモービルのとトレースがまっすぐ烏帽子岳の方へ続いている。ラッセルを避けてそのトレースを進む。
やがて、爆音が聞こえてきてスキー場の下の方から20台ほどの軍団が押し寄せてくる(6)。禁止区域ではないので、文句の言い様はないが、いつ聞いてもうるさいものである。でも、この雪山は登山者だけの物ではないし、実に楽しそうに乗っている姿を見ると、まあいいかと許す心境になってくる。確かに爽快感この上ない様子である。
横津岳から1時間ほどで、烏帽子岳の頂上へ到着。横津岳の方を振り返ると、広い雪原がスノーモービルの痕跡でずたずたになっているが痛々しい。それにしても、すっきりとした青空ではないが、展望はすこぶるすばらしい。西側は函館山と函館の市街地、遠くは大千軒岳まで見えているし、羊蹄山のずっと奥の山も見えている。
コル越しの袴腰岳の北斜面は下りはシールを剥がして滑りたいほどいい斜面である。さすが頂上の周りは急斜面なので、スノーモービルの痕跡はないが、その東側を巻いてどこかへ向かっているようである(7)。
コルまでシールのまま直滑降で下り、スノーモービルのトレースを利用してコルを越えて、急な登りに取り付く。今日初めての本格的な登りである。西側は斜度がきつく、木も生えていないし、クラストして厳しそうなので、北側のダケカンバの灌木の中の斜面に取り付く。ひとつ目のピークを巻くようにジグを切ってラッセルしながら登っていく。すると、後ろからスノーモービルの爆音が聞こえてきて、あっという間にコルを越えて自分の下を通って行く。休憩しながら観客になってやる。彼等は、思わぬ観客が現れたせいか、得意そうにオーバーアクションで通り過ぎていく。
ひとつ目のピークを東側から巻き、交互に雪庇の発達している稜線を越えて2つ目のピークを越えたので、夏の感覚で頂上だと思ったら、それは手前のピークであった。西側の急斜面をトラバースして、
ようやく平らな頂上へ到着。まずは函館湾越しの写真を(8)、次に、
自分の歩いてきた横津岳方向を振り返り、駒ヶ岳と羊蹄山を入れたパノラマ写真を撮り(9)、昼食タイムに入る。 カレーうどんを作りながらリンゴを囓る。風はほとんどなく、気持ちのよいひとときが流れる。
30分ほどして下山開始である。頂上の次の小ピークから直ぐに東側の斜面を巻き、シールを着けたままコルまで直滑降で下る。この斜面はシールを外して深雪滑降のターンを刻みたいところであるが、わずか1分ほどのものであろう。面倒くさいので止めにした。コルからは一番傾斜の弱いところのスノーモービルのトレースを利用して、烏帽子岳の東側へ登り出る。そこから方向を変え、地図とGPSを頼りに見えないスキー場の方をまっすぐねらう。おおよそコンタ1030mから1000m附近を真西に進むとスキー場の上に出るはずである。初めは大きな樹木のない高原状であるが、
やがて、ダケカンバ林に入っていく(10)。
スキー場との間に東側に伸びる緩い尾根が遮っているので、スキー場はなかなか見えないが、下の駐車場が見えているのが心強い。途中から少し高度を下げて、スキー場を直接ねらう。袴腰岳を出て1時間20分で、スキー場の放送が聞こえて来て、ダケカンバの樹幹からスキーヤーの姿が覗く。そこは、ちょうど第2ゲレンデの上であった。ようやくシールを外し、滑りを楽しめなかったうっぷんを一気に晴らすようにゲレンデを猛スピードで滑り降りる。
まだ時間があるので、そのつもりで用意してきた前日新調したばかりのゲレンデの用の160cmのカービングスキーと靴に履き替え、上のウエアも帽子も手袋もゲレンデモードに切り替え、1時間半ほど山の斜面では味わうことの出来ない心地よいレールターン主体のカービングターンを楽しんで帰路に就く。帰宅したら、どっとラッセルの疲れが出て、XCでは50kmや85kmでも出なかった筋肉痛がふくらはぎから腿の後ろにかけてビンと表れている。