袴腰岳
(1108m)
この山は、函館の町を挟んで、函館山の向かい側に連なる横津連峰の峰の一つで、函館市の最高峰でもある。この山への登山道は、函館市の中野ダムの奥からの
「新中野ダムコース」
と、1997年11月に「努(ゆめ)の会」が昔の縦走路を整備した七飯町からの
「巴スカイラインコース」
の二つがある。 函館の町や函館山が見下ろせ、遠く岩木山や羊蹄山などが見通せる一等三角点の山である。
2004年情報
8月25日、最近横津岳からの巴スカイラインコースから登る人が増えて、廃道化寸前となっていたこの「新中野ダムコース」が、有志の手によって、笹刈りがなされ、整備されました
[新中野ダムコース]
96,10,20
紅葉の中を潜り、いつも窓から見ている函館の最高峰へ
7:30 自宅発
登山
地点
下山
8:05
8:35
9:35
10:05
登山口
第2登山口
三角山
頂 上
12:30
12:05
11:30
11:00
[2:00]
所要時間
[1:30]
13:15 帰宅
いつも部屋の窓から見えている
横津連峰の稜線上の山
(1)
であり、当日、登ろうと思って見たガイドブックで初めて、函館市の最高峰であることを知る。30年近く前に職場の仲間と一緒に登り、帰りの道に迷って、暗くなってから登山ロに到着したという思い出の山であるが、それ以外の記憶はほとんどない。
昔の登山口は中野ダムの下で、ダムから流れ出る川を徒渉して林道に入った筈であるが、現在は函館市役所山岳会が新しく整備した道で、中野ダムのずっと上流の
アメダス設置地点が登山口
となっている。その登山口まで紅葉真っ最中の中野ダムや上流の道を走る。
登山口にはまだ1台の車もない。恐らく誰とも出会わない一人ぽっちの静かな登山だろうと思ってスタートしようとしているところへ、50代後半と見られる夫婦が到着する。結局、下りで6人に出会うことになる。
初め、トドマツの植林地と自然林の中の道を辿るが、ガイドブックに記述のない作業道を2回横切る。その度に、そこから続く登山道の続きを探す。3度目で、ようやく下から続いていると思われる立派な林道に出る。三叉路にぶつかるが、どちらへ進むのかはっきりせずちょっとうろうろし、沢ぞいに踏み跡を見付け、そこへ入ろうと思ったが、どうも違うようである。勘を頼りに林道を奥に進み、ようやく
第2登山口
の標識を見付け、ほっとする。
トドマツの混じる紅葉の自然林の中の道を登って一汗かいたころ、
一面平坦に広がる明るい林に入って行く。登山道の途中という感じを忘れさせる、平らな紅葉真っ最中のまさに遊歩道感覚の快適な道である(2)
。そこを抜けて、笹とダケカンバの急斜面に取り付く。振り返ると、函館の町並みと津軽梅峡が広がる。きれいに刈り払われた笹の中の道を登り着くと
三角山
のピークに到着する。
そのピークから、紅葉の上に緑一色の笹に覆われた頂上斜面が覗く。コルを下り始めると、朝露に濡れた丈の高い笹が道を覆っているので、雨具の下を着けてその中を掻き分けながら進む。コル付近はブナの木が点在するが、その上はずっと笹薮の中に葉の落ちた白いダケカンバの点在する急斜面の道である。谷の上をトラパースする急な滑る道を笹に掴まりながら稜線上に出る。そこからは噴煙を上げる恵山や南茅部の懐かしい泣面山と万畳敷の展望が広がる。そこで一息入れ、
笹薮の稜線に電光型に続く最後の頂上への尾根道を登る(3)。
ちょうど2時間で
頂上
に到着。
まさに函館市街地や函館平野とその後ろに広がる山地全体の展望台というべき眺めである(4)
。その山地はまさに紅葉真っ最中で赤茶色一色である。その先には津軽海峡と青森、手前の恵山から矢越岬までの海岸線、後ろには南茅部町側の太平洋が広がる。上空には横津岳の方から黒っぽい雲が広がっているが、時折、晴れ間も覗く。
一等三角点の標石で風を遮り、ガスでお湯を沸かし、定番になっポタージュスープと味噌ラーメンの朝食をとる。だんだん上空が晴れて暖かくなって来たので、横津岳方面を眺めるために笹で覆われた旧い縦走路を辿ってみる。昔、七飯駅からスタートし、きつい七曲がりを詰め、何
度も登った横津岳は、頂上がレーダー基地に独占され、立派な舗装道路ができ、登山の対象でなくなってしまったのは残念である。
1時間近く寛ぎ、
下山
の支度をしていると、コルからの斜面を物凄いスピードで登ってくる男性が見える。下って行くと、ちょ
うど稜線に出たところで休んでいるその男性と出会う。下から1時間半で登ってきたというから、自分より速いペースである。「年配の夫婦連れを追い越してきませんでしたか。」と聞くと、似た年配の男女4人連れは追い越した来ましたけど・・。」とのこと。彼等の乗ってきたRV車は第2登山口にあったと言う。変だなと思いながら下りて行くと、その4人達れに出会う。その中の一人が「先程は、どうも」と挨拶する。登山口であった人らしい。「この方たちと待ち合わせをしていたので遅くなった。」とのこと。胸のつかえが降りる。
風が当たらずポカポカと暖かい三角山のピークで、りんごを噛りながら、函館の町を見下ろして一休みする。さらに、平坦な紅葉の林の中で、若い男性と擦れ違う。その後、のんびりと紅葉を楽しみながら、登山口を目指す。
帰路、林道でみごとな紅葉のカエデを見つけ、カメラに収める(5)。
※1997(平成9)年11月に横津岳からの縦走路が再開削され、「巴スカイライン」の名称が付く。その後、そのコースから2度(2度目は妻を同行)この山を訪れている。
巴スカイライン
(横津岳ー烏帽子岳ー袴腰岳)へ
「山行記目次」へ
HOME