知床岳(1254m)  ウナキベツコース  同行者1名   02.8.3〜4
念願の最果ての秘境の山に強烈なハイマツ漕ぎと何度も迷いながらも1泊2日で登ってきました。雲海の上は快晴、見渡す限りどこにも林道が見えない感動の山でした。

海岸線をウナキベツ川口まで歩く。
8/2(金)
 14:20 函館空港発
 15:35 女満別空港着
 19:00 羅臼町相泊(テント泊)
8/3(土)〜4(日)
登山
地点
下山
 4:40
 6:30
 6:50
 7:50
 9:50
10:35
11:30
12:30
14:35
15:10
相泊
ウナキベツ川口
   〃    
青い沼
ポロモイ台地入口
知床沼
  〃 (テント泊)
1132ピーク
1243ピーク
頂  上  
10:05
 8:10
 7:50
 6:45
 5:45
 4:55
18:10
17:30
16:05
15:30
[10:30]所要時間(休憩も含む)[7:47] 

ルート図(160KB)
ただし、相泊〜ウナキベツ川口は除く
「知床岳」・・・私にとっては技術的にも環境的にも、数年前までは登れる山ではないと思っていた秘境の山である。それを自分の登山対象に加えたのは北海道新聞社発行の『北海道の百名山』に掲載され、北海道撮影社発行の『北海道の山と谷』にも夏道の紹介が掲載されてからである。そして、自分にも行けると実感したのが、2年前、実際に歩いてきた当時某観光会社の山岳ガイドをしていたYoさんから詳しいルートの情報をもらってからである。

 残雪期のお誘いを2回ほど断り、変化に富んだ夏山にターゲットを絞って、機会を狙っていたのである。この度、土日に3日の夏季休暇を付けて、この山を中心に久しぶりに道東の未踏の山々を巡る計画を立てる。それも、時間を買うつもりで、初の飛行機利用である。好天に恵まれ、ときおり踏み跡を見失い迷いはしたが、登頂までに10時間30分、およそ計画通り行動ができ、航空料金が惜しくない1839峰に次ぐロングルートの思い出に残る遠い大きな山となる。
 観音崎の越えなければならない岩場
 前日までは、単独行の計画であったが、たまたま私の計画を知った名寄のOさん(6月下旬の野塚岳〜オムシャヌプリ〜十勝岳縦走の同行者)から、急遽同行志願をいただく。不安感のあるこの山に私より体力に優る彼の同行は大歓迎であるので、二つ返事で応じる。実際、迷った時には彼の体力と偵察能力に助けられることの多い山行であった。 
途中の青い沼
8/2、14:20、函館空港から女満別空港行きの飛行機に乗る。上空4000mからこれまで登った山々を感激しながら眺め、1時間ちょっとで女満別に到着。Oさんの迎えを受け、知床峠を越え、羅臼町の最果ての集落である相泊まで走る。駐車場にテントを張り、海岸にある無料の露天風呂・相泊温泉にヘッドランプをつけて入る。簡単な上屋と男女別の壁はあるが、海岸側の方は壁がないので、大きな波が来たときは流れ昆布が湯船まで流れ込むすばらしいまさに天然温泉である。

8/3 4:40、相泊の築港に車を置き、上空はガスに覆われた海岸線歩きをスタートする。
大崩壊地形の景観
○相泊〜ウナキベツ川口(約2時間)
 スタートするときに、知床岬まで3泊4日で往復するという30代の男性と出会う。道路はないが、ずっと番屋が続き、昆布作業で賑わうその前を通り、まずはウナキベツ川口を目指す(1)。1時間ちょっとで番屋が無くなっても、海岸線の上の方に踏み跡が続いている。観音崎手前で休んでいると、知床岬まで行くという男性が追いつく。やがて、観音崎を巻くととんでもない急な壁のような岩場が待っているが、情報通り、根元のルンゼ状のところにロープが固定されている。下りも固定ロープが設置されている(2)。そこを突破するとウナキベツ川口である。2本の川が流れ込み、その奥の方の川の橋を渡ると、すぐに尾根に取り付く踏み跡が見つかる。 そこで、朝食を摂り、20分ほど休憩する。
雲海に浮かぶ国後島の山々
○ウナキベツ川口〜ポロモイ台地(約3時間)
 川口の踏み跡から川沿いのルートもあるようだが、そちらは情報がないので、固定ロープと木の根っこが頼りの急登尾根に取り付く。一気に75m近くも登り、川が遙か眼下に見える。その後は緩やかな林の中に続く踏み跡を辿る。赤いテープもあちこちにぶら下がっている。30分ほどで小沢を渡り、やがて、苔むし、蛇行して勢いよく流れる川と同じ高さとなる。心配していた熊の痕跡は、この間に2カ所ほどの古い糞が落ちていたが、それ以降は掘り返しも目にすることはなかった。
ポロモイ台地に出る
 やがて、川から離れ、1時間ほどで水の流れの音がして、左手に小規模な崩壊地形が覗き、右側に青い色の沼が見えてくる(3)。その沼から流れ出る小沢を渡り、沼を見ながら休憩する。さらに1時間ほど進むと地図上でもはっきり分かる大崩壊地形の尾根に乗る。このころから上空に青空が覗き、目の前に火口壁かカール壁のように聳える大岩壁が姿を現す。あまりの迫力に思わず鳥肌が立つ(4)。
途中の湿原と花畑
 標高700mくらいで、完全にガスから抜け、快晴の下の雲海上に国後島の爺々岳やルルイ岳などが浮いて見えている(5)。いよいよ、足下から崩れ落ちている大崩壊地形の急な崖尾根を登る。危険なところや急なところにはロープが固定されているが、途中何ヶ所か踏み跡そのものが崩れ落ちているところや崩れそうなところもあり、高所恐怖症の私には結構怖い登りである。そこを1時間ほどで登り切ると、崩壊地形の上に広がるポロモイ台地に出る(6)。
最高のテントサイとの知床岳
○ポロモイ台地入り口〜知床沼(45分)
 情報通りのハイマツ中心の藪漕ぎが待っている。しかし、枝切りされていたりして踏み跡ははっきりしているが、ほとんど小沢やぬかるみ状態で、ハイマツの幹渡りも多い。一カ所、湿原のお花畑を通過する(7)。計画ではここにテントを張る予定だったが、テン場に適するようなところもなく、一夜を明かすにはあまりいい環境ではないので、知床沼まで進むことにする。岩の上にその湿原の主のようなキタキツネが、声を掛けても動かないで、我々に睨みを利かせている。

 その湿原から知床沼までは背の高いハイマツのトンネル潜り状態である。やがて、広々とした知床沼を中心とした湿原に出る。最高のテントサイトである。このときは、1132mピークの右奧の1243ピークを頂上と勘違いして眺めていた(8)。まずはテントを張り、昼食を摂り、1時間ほど休憩する。11:30、頂上まで往復6時間の計画で、日帰り装備で出発する。

つづく
  

inserted by FC2 system