塩谷丸山(629m) 冬山コース  単独  01,01,06

165山目の21世紀の初ピークに選び、単独ラッセルのスキー登山と豪快な深雪滑降を楽しむ。
 
登山  地点下山
7:00
7:12
8:00
8:32
9:05
車デポ地点
送電線下
320m尾根下
500m台地
600m付近(頂上下)
9:35



9:15
[2:05]所要時間[0:20]

<参考にしたルート紹介及び図>
北海道のクロカン事情紹介
          「塩谷丸山」
Siさんのカシミール2D画像

最終人家付近から頂上を望む 夏山はそれほど面白味もなく、まだ登り残していたこの山は、標高の割りに豪快な深雪スキーを楽しむことができる山であるという情報をもとに、この山に初めて登るときは山スキーで、それも、できれば単独行で・・・と決めていた山である。
 2冬前から始めた山スキー登山であるが、日帰り限定とはいえ、初めての山の真冬の単独行は自信がなく、一昨冬はGWに単独で夏に訪れたことのある山をいくつか、昨冬の1・2月は北海道の山MLの仲間の誘いに乗って経験し、その後天候に恵まれたGWに初登頂の山をいくつか単独で登ってみた。
 この冬からステップアップを目指すためにも、天候に恵まれた日帰りの単独行のスキー登山に挑戦するには、手頃の山であるとの思いからである。
林道上続くツボ足のトレース跡
 札幌の妻の実家を根城に、当初は前日に計画していたが、天候に恵まれず、一日遅れの決行となる。この日は、札幌の愛称・一休さんと滝野すずらん丘陵公園でクロカンスキーの練習をすることになっていたので、できるだけ早く登ろうと5時に妻の実家を出て、小樽へ向かう。

 「北海道の山ML」仲間の長谷川@栗山さんの『北海道のクロカン事情紹介』この山の冬山ルートの紹介文と数日前に登ったというSiさん(昨冬4回も同行した山スキーの師匠)のGPSによるカシミール2D画像を印刷して持参し、それを頼りの初ピーク狙いの真冬の単独行初挑戦である。しかし、前夜の大雪でトレースもないはずで、ガスや雪で頂上が見えなくなったら止めようというかなり軟弱な挑戦である。
林の中へ
 塩谷の駅前の手前を右折し、真っ直ぐ上に続く道を車で登って行く。いわゆる登山口とされる送電線下までは、車で入って行くのも無理なほどの積雪に、かなり下の住宅街の道の向かいに手頃な駐車スペースを車を止めさせてもらう。そこからスキーにシールを付け、まだ薄暗い空の下に見える頂上(1)を目指して7時ちょうど出発する。
320m付近から500m大地への疎林地帯
 数台の駐車スペースのあるらしい送電線の下を潜り、最終人家の除雪の山の先から完全な冬道となるらしい。運よくそこからは昨日にでも登ったのであろうか、どう見てもツボ足状(かなり埋まるはずであろうが?)の微かなトレースが続いている(2)。時々雪が激しく降って来て不安になるが、頂上ははっきり見えていて心強い。その微かなトレースを辿って林道を進んで行くがやがて分岐が現れる。そこを右側へ進み、林へと入って行く。

 スタートから30分ほどで暑くなり、林に入った地点で休憩し(3)、上もも下も一枚ずつ脱ぎ、手袋も軍手に替える。林道を少し登ると、その林道は小さな沢地形から離れ右側へ大きくカーブしている。そこで林道を離れ、左側の沢地形の左岸沿いに登って行く。やがて、スキー場のように細く刈り払われたような尾根地形の下に出る。初めはそこを登るのかと思ったが、かなり急でもあるし、上の方は雪崩跡のような雪の大きな山がいくつも見える。微かなトレースも見えない。持参した資料によると、どうもその沢を乗越してもっと左側へ入るらしい。キョロキョロすると赤いテープが木の枝に結び付いていて、その方向に先程から頼りにしていた微かなトレースが見える。それらを頼りに進んで行くと、今度は滑り降りるにはお誂え向きな疎林の急な尾根下に出る(4)。ここが長谷川@栗山さんの書いている320m付近の尾根取付き部分であろう。ここまでちょうど1時間である。少し休憩して、そこから500m台地までの急登に備える。

500m台地から頂上(中央左奧)を望む そこからは、ジグを切りながらの膝下ほどの辛いラッセルである。交代要員はいない。ときどき手こずりながらも、30分ほどで平坦な500m台地に出てほっと一息をつく。突然物凄い雪が降ってきて、周りも頂上も見えなくなる・・・「途中撤退か?いやこの位の雪なら自分のトレースは消えないであろう。行けるところまで・・・」と思い直して歩き始めるとすぐに止んで、目指す頂上も林の奧にくっきりと見えるようになる(5)。あとはその標高差130m程の頂上を目指すだけである。頂上のすぐ下まで、「この標高でどうして?」と思うほどおいしい斜面が広がっている。しかも、帰りの滑りが楽しみな非常に軽い雪である(6)。滑り降りる斜面にトレースを付けないように左端の方を大きくジグを切って休み休み進む。振り返ると塩谷の港や小樽の町並みが眼下に広がってくる。
600m付近から頂上への大斜面
 もうすぐ頂上の林に入るという地点で、右スキーがずるっと後ろに滑る。見るとシールの後ろの金具を踏んづけて外してしまったらしい。シールが後ろ半分が剥がれてしまっている。(その日の夜の新年会で一緒になった山スキーの師匠・Siさんに話したら、山スキー用の板には後ろにその金具が食い込むような溝が付いているとのこと。グラインダーで削ったら?との助言をいただく) 片方だけでも、また、ツボ足ででもと試みるが、全く無理である。「ピークは夏にでも残して置こう。夏に再訪する口実もできたし、滑降を楽しむにはここからで十分である。」と気持ちをあっさり切り替えて、眼下に広がる塩谷の港や小樽の町並みを眺めながら(7)簡単な腹拵えをして、滝野でクロカンスキーの練習をする約束をしていた一休さんと同じ 「北海道の山ML」のKaさんに携帯電話を入れる。
引き返し地点から塩谷港方面を見下ろす
 15分ほど休んで、いよいよ楽しみに登ってきた深雪滑降の開始である。広い大斜面に大きなパラレルでターンを刻み段々小さくして小回りに移る。アッという間に500m台地まで降りてしまう。真っ白な大斜面に自分だけのシュプールが残っているのが非常にうれしい(8)。降雪後の冬山の一番乗り単独行の辛いところは誰もラッセル交替要員がいないことであるが、その代わり、自分だけのトレースとシュプールの残ることがその辛さを忘れさせてくれる。さらに、500m台地までの緩斜面にも気持良いシュプールを刻む。そこから320m付近までの尾根は狭いのでどうしても自分のジグを切って登ってきたトレースを崩しながらの滑りになるのがちょっと残念である。
おいしい斜面に残したマイシュプール
 320m付近まで降りて、沢を横切ってちょっとした広い斜面に小回りターンを刻みながら降りて行くと、若い4人パーティが休んでいるところに出会う。彼等のためにラッセルをしたようなものである。少しお喋りをして、あとは林道のトレースを下ってゆく。登りで最初に休んだ辺りで、下から結構な年配の女性が一人でワカンを付けて、リュックもなしの軽装で登ってくるのと出会う。「頂上はどうでしたか?」と聞いたので上まで登るつもりなのであろうか? 最終人家の所には、強引に車を突っ込んできた車が1台、その側で登る用意をしているやはり若い4人パーティと出会う。

 彼等と話しながら頂上を見上げるとくっきりとその頂上が見え、自分だけのシュプールを刻んできた500m台地までの一番おいしい斜面が見えている。頂上まで辿り着けなかった悔しさは微塵もなく、一人でこの真冬に初めて登る山を制した満足感に浸りながら車のデポ地点までの車道を滑り降りる。頂上から3回ほど止まって写真を撮ったり、出会ったパーティとお喋りしながらの下山であったが、2時間の登りに対してわずか20分の下りである。

 早速、靴をクロカン用に履き替えて、10時、札幌の滝野へ向かう。高速を抜けるより札幌の市街地を抜ける方が遥かに時間を要し、11時50分に到着する。まず待ち合わせた一休さんと昼食を摂り、午後から15kmコースを二人で1時間25分のペースで、彼にアドバイスをしながら軽く流す。彼には「鬼軍曹」の名誉ある称号を頂く。自分でも信じられないほど塩谷丸山の登山の疲れがまったく感じられない快調な滑りであった。夜は夜で「北海道の山ML」の45人もの大新年会に参加、夕方5時から12時までしっかり付き合ってしまう。朝の5時から、妻の実家に帰宅した午前1時まで、延々20時間、実に有意義な長い1日であった。                          


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