鬼刺山(728.2m)<音威子府村>
知良志内川ルート  9名  13,9、22
頼もしい藪山仲間のお陰で念願が叶った道北随一の鋭鋒へ

登り
地 点
下り
 6:40
 8:00
11:20
林道終点
入渓地点
頂 上
15:40
14:55
11:40
[4:40]所要時間[4:00]
16:30 天塩川温泉(入浴)
20:00  当麻道の駅(泊)
    
GPSトラックログ
 「鬼をも刺す」と言われる山名といい、鋭く天を突く端正な姿といい、道北の天塩山地の中では非常にインパクトの強い山である。道北随一の鋭鋒と言っても過言ではない。しかし、奥深い山で山麓からはほとんど見えないし、登山道もない。自分がこの山を目にしたのは2004年に登った敏音知岳(ぴんねしりだけ)からだった(1)(saijhoさん提供)。そのとき以来、機会があったらあのてっぺんに立ちたいものだ・・・と思っていた。

 期せずして、今回の全道から集まるお馴染みの藪山仲間の年1回の例会?がこの山だった。当初は、まだ記録のない東面の惣満内川を詰める計画だった。しかし、このメンバーのEIZI@名寄さんとOgi@旭川さんの道北コンビが踏破済みで、確実に頂上を踏める可能性の強い西面の知良志内川を詰めることに変更した。

 なお、山名の由来は、HYML仲間で鬼刺辺川から踏破しているあまいものこさんによると、地元では鬼をも刺すほど鋭い山だから鬼刺山と名づけられたという説もあるが、和人が入る前から麓を流れるオニサシベという川や地名があり、このアイヌ語にこの山の姿から鬼刺という漢字を当てはめた山名であろうとされている。なお、オニサシベの意味は音威子府村史でも不詳とのこと。

 林道途中に施錠されたゲートがあるが、そこの番号を前日の内に佐久の森林事務所で調べて来て、中へ入ることができた。

 国道40号線から知良志内川沿いの林道を5kmほど進むと、完全に道が流失している地点へぶつかる。その手前の駐車スペースが実質的な登山口となった。集合写真を撮ってスタート(2)

 林道を寸断している支流を渡渉して、荒れ放題の林道跡を進む(3)途中、2ヶ所ほどやはり支流に寸断されているところがあった。

 林道跡を3kmほど進んだ地点で入渓した。地図上ではその先まで林道が記載されているが、ほとんど崩壊していて、とても歩ける状態ではなかった。


 入渓後しばらくは穏やかな流れの中を進む(4)顕著な240二股を左へ進み、広い地形の260二股は左へ。ここから方向を北へ向けて進む。300二股は右へ。一気に沢幅が狭くなり、斜度も急になりF1の連瀑が現れる(5)東へ方向を変え樋状の小滝が連続する。


370付近で、階段状のF2が現れるが、楽しみながら登ることができた(6)。しかし、410付近で現れた5mほどのペロンとしたF3には手こずった。一番若いmocoさんが左側に取り付いたが、途中で進退窮まる。岩壁の得意なメンバーも真ん中の部分へトライしたが、岩のすべてが下向きで手がかりや足がかりがない。結局、直登は諦めて左から高巻いて、mocoさんをロープで引き上げた(7)


 やがて、源頭部へと登っていくが、山容や地図からも覚悟はしていたが、もの凄い斜度だ。見上げるとザレ場が露出している部分も見える。ここは、斜度の緩い右へ登り、ザレ場を左へトラバースして、再び沢型の中を登る(8)沢型が切れると、密度の濃いネマガリダケと灌木帯だ。それを掻き分けるもは大変だが、それを掴まないととても登ることができない急斜面だ。

 ようやく、なんとか頂上から南へ延びる尾根の上に乗ることができた。南側は晴れていて、奥にのっぺりとした函岳も見えているが、上空は雨雲に覆われ、雨が降ってきた(9)カッパの上だけを着て、頂上を目指す。


 目の前のピークを頂上と勘違いしたが、それは中川町と音威子府村の境界ピークで、肩の部分だった。頂上はさらにその奥だった。そこからは踏み跡状の道が続いていた(10)どうやら、一等三角点の測量の刈り払いの跡らしい。それは、当初我々が計画した惣満内川から上がってきているようだった。スタートして4時間40分、一等三角点に迎えられて、念願の鋭鋒の上に立つことができた(11)


 生憎の雨で、展望のない中、大満足の記念撮影(12)。しかし、ときおり切れる雲間から日本海が覗く(13)暫く待てば晴れそうな気配はあるが、展望は諦めて下山の途に就く。


 下りは、肩の部分まで戻って、ほぼ真西に延びる中川町と音威子府村の境界尾根を下って、滝をかわしてから登ってきた沢に合流するつもりだった。しかし、強烈なネマガリダケで見通しも利かない上に、もの凄い急斜面で、尾根が良く分からない。右へそれたのをGPSで修正して、650付近で尾根に乗ることができた。そこからは、雨も上がり、日本海の上に浮かぶ利尻山と(14)、頂上斜面の左側にペンケ山とパンケ山が見えた(15)この山を眺めることができた敏音知山は頂上ピークの陰で見えないのが残念。
 
 尾根をそのまま下るのは藪がきつすぎて大変・・・とうことで、尾根を越えて、登ってきた沢へ繋がる斜面から沢型へと下った。なんと合流した地点は、手こずったF3のすぐ上だった。登りで高巻いたところを逆に通って突破した。9人も往復すると、立派な高巻き道となった。その後は、ひたすらゴールを楽しみに惰性で下った。往復9時間にも及ぶハードな山だったが、まさに頼もしい仲間たちのお陰で念願が叶って大満足だった。

前夜の焚き火を囲んでの楽しいひととき


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