雌阿寒岳(1499m)阿寒富士(1476m)  [雌阿寒(野中温泉)コース]  2名 04,6,3


10年ぶりにコースを変えて再訪。相変わらずの変化のある登りと迫力ある活火山地形を楽しむ
 
6/2 雌阿寒(野中)温泉
   公共駐車場(車中泊) 
6/3
登山地点下山
5:10
6:25
7:20
7:50
8:05
登山口
5合目
雌阿寒岳
コ ル
阿寒富士
10:35
 9:45
 8:50
 8:15
 8:08
[2:55]所要時間[2:27]

白湯山登山口へ

 アイヌ語でマチネシリ(女山)と呼ばれていたことがこの雌阿寒岳の山名の由来であろう。ちなみに、雄阿寒岳はピンネシリ(男山)である。この山には3つのコースがあるが、今回は10年ぶりに雌阿寒岳頂上経由阿寒富士をゴールとして、最短距離の雌阿寒岳(野中)温泉コースから再訪する。

 雌阿寒(野中)温泉には3軒の温泉宿があり、入浴代200〜300円と格安である。この温泉の前に公共駐車場があり、新しいきれいな暖房入りのトイレがあるので、前日の夕方、オンネトーの湖面に写る山を見たあと(1)、そこで車中泊して、快晴の朝を迎える。

 まだ朝冷えのする中を、温泉の北側にある登山口から鬱そうとした薄暗いアカエゾマツ林の中の登山道へと入っていく(2)。いきなり岩の間縫う急登である。。周りはツツジ類の灌木や苔などに覆われて、ちょうどコヨウラクツツジがその可憐な姿で迎えてくれる(3)。

 まもなく、左側の涸れ沢を越え、左側の尾根に乗るが、林床は苔で覆われ、灌木も生えないくらい鬱そうとした一面のアカエゾマツ林とその根張りがみごとである(4)。

 2合目を越えると、大きな背丈のハイマツが出現し、アカエゾマツとの混合林となる。この辺りのハイマツは日光が当たらないせいか柔らかい青緑色をしている。3合目を越えると、ハイマツ一色になるが、このあたりのハイマツは背丈が高く、ハイマツ帯というよりハイマツのトンネルである。

 高度を上げていくと、ハイマツの背丈も低くなり、まだ蕾のイソツツジが道端に密生したハイマツ帯の中の岩混じりの道となる。振り返ると、谷間を埋める雲海の上に残雪に覆われた表大雪、東大雪の山々日高山脈がくっきりと見える。

 残雪に覆われた大きな沢地形を越えると、4合目で、表面に頂上稜線が見え(5)、神秘の湖と呼ばれるに相応しいエメラルドグリーンのオンネトーの湖面が見えるようになる(6)。振り返ると、下から、同じところで車中泊をしていた年輩の男性が登ってくる。

 だんだん、コケモモやガンコウランを混じえたハイマツ帯から活火山らしい火山岩と火山礫だけの道となり、勾配もきつくなり、ジグを切って登っていく(7)。

 7合目まで登ると、東側の展望が広がり、知床連山の最奥の知床岳までの眺望が広がる。その前に斜里岳を初めとする東側の山々がくっきりと見える。この辺りになると、まったく植生はなくなり、活火山そのものの山肌を縫うように登っていく。

 下から見える稜線が9合目で、そこで初めて荒々しい噴火口と火口壁が見える。前は名前の通り赤かった記憶のある赤沼は、水が多いせいか緑色に見える。阿寒富士の頭も覗くようになる。東側の雄阿寒岳や阿寒湖も見えるようになる(8)。それらの眺望を楽しみながら、火口壁上を頂上までの最後の登りを詰める。

 頂上には、10年前と同じコンクリート製の四角い頂上標識が設置されているが(9)、風が強くて、そこで休む気がしない。雨具を羽織り、バナナを口にしている内に、あとからの登ってきた男性が休みもしないで、阿寒富士を目指して、下りていく。

 頂上から少し下がると、火口の底に青沼が見え、噴煙の向こうに阿寒富士の端正なコニーデが見える(10)。自分たちも休み場所を探しながら、阿寒富士とのコルの方へ下っていく。

 火口壁から離れて、少し下がったところが風を避けられるので、そこで休んで待っているという連れを置いて、空身になり、カメラだけを持って一人で阿寒富士を目指す。阿寒富士の斜面に稲妻状に付いている踏み跡の取り付きのあるコル目指して下る途中にヒース状に咲いている可愛いピンクのミネズオウの塊ががあちこちに点在する。(11)

 コルから、火山礫に覆われた荒々しい斜面にジグザグに付いている踏み跡をドンドン登っていく。途中で先に登っていた男性を追い越し、わずか15分で頂上に立つ。

 頂上には、一等三角点と10年前にはなかった頂上標識が設置されている。噴煙を上げる雌阿寒岳の荒々しい噴火口が口を開けて上から見える様をカメラに収めて(12)、直ぐに下山を開始する。

 火山礫の踏み跡を滑るように駆け足状態で下る。わずか7分でコルに下り立つ。ミネズオウのピンクの群生を楽しみ、植物を踏まないように最短距離で、連れの待つところへ戻る。そこで、阿寒富士を眺めながら少し休憩し、雌阿寒岳頂上へ来た道を戻る。

  8合目附近で、単独の女性と男性に、そのあとからも数人登ってくるのと出会う。平日にもかかわらず、結構人気の山である。変化のある登りと植生、荒々しい活火山地形、360度に広がる展望・・・どれをとっても、登山の魅力をふんだんに提供してくれる山である。

 下山後、白湯山の登山口である阿寒スキー場を目指して、移動する。


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