クテクンベツ岳(995m) <中標津町>  
 <クテクンベツ川遡行>  3名 08,07,19
クテクンベツ川に懸かる変化に富んだ大小12個の滝を越えて、道東の岳人に人気の通称の山へ

5:00 根北峠
5:50 クテクンの滝入口
登山
地 点
下山
6:05
6:35
7:10
7:55
8:45
9:15
クテクンの滝入口
クテクンの滝下
570二股
680二股
920(沢型消滅)
頂  上   
12:35
11:50
11:20
10:50
10:15
 9:50
[3:10]所要時間[2:45]
13:50 川北温泉(露天)(入浴)
15:50 斜里岳登山口清岳荘

 地図に山名も三角点もなく、標高点のみの中標津町の標津山池の995峰である。しかし、地元の岳人には人気の山らしく、通称でクテクンベツ岳と呼ばれている。この山の魅力は、クテクンベツ川に懸かる変化に富んだ大小12個の滝を越えて、展望のピークへということらしい。

  人気の証拠に、大きな滝には、巻道やロープが設置され、頂上稜線にも踏み跡や古い鋸目も認められる。ただし、ロープはどれも古く心配な感じで、沢を純粋に楽しみたい向きには、そのロープは余計な感じがしないでもない。

 ちなみに、アイヌ語の研究に造詣の深い地元のSuさんによると、ク・テク・ン・ベツは、「弓と・手甲の・ある・川」とのこと。

 当初は、パンケニワナイ川から南斜里岳に登り、東斜里岳経由で東尾根を下りる計画で、根北峠で待ち合わせる。霧雨の中、そこに到着したら、いつもお世話になっている「地図がガイドの山歩き」チームのsaijoさん、チロロ2さん、チロロ3さん、「大好き!Mt.Onne」のmarboさん(清里町出身)、そして、初対面の地元中標津のSuさんが待っていた。天候の関係で、クテクンベツ岳に変更ということになる。同行者はsaijoさんとmarboさんの2名。チロロ2さんとチロロ3さんは、温泉と今晩の買い出し。Suさんは、3人とも初めての私たちを入山口まで案内してくれた。

 入山口は武佐岳登山口と同じ中標津町北19号道路を進む。途中で武佐岳登山口への道と分かれて、クテクンベツ川沿いの林道を道なりに進むと行き止まりとなる。そこには、今年新しく立てられたというクテクンの滝とその先の滝について書かれた立派な説明板が設置されていて、駐車スペースも用意されていた(1)

 まずは沢までの道となるが、立派な看板の割には、手入れもされてなく、背丈を越す笹やフキに覆われていて、それを掻き分けながら進む。5分ほどで、ロープの張られた急な崖を下ってクテクンベツ川へ下りる。

 30分ほど遡行して行くと、正面に垂直に切り立った柱状節理の崖が現れ、その奧にクテクンの滝が見えてくる(2)。オーバーハングになった滝の高さは25m(3)とても直登は不可能である。手前の小沢を利用した巻道が用意されている。そこを登り、濃い笹藪の中に続く踏み跡を辿って尾根を乗越し、小沢を下って、滝の落ち口の先に出る。

次は、スダレ状の滝が現れる(4)marboさんとsaijoさんは左端を直登したが、私は巻道を利用した。その後も次々といずれも深い釜を抱いた変化に富んだ滝が現れる(5)

 一番の見応えのある滝は、570二股で双方から合流する滝である。この沢の核心部といった感じがする(6)ここにも、左端にロープが設置されていて、簡単に登ることができたが、一ヶ所だけはどうしても左岸に設置されたロープがなければかなり高巻きをしなければならない滝もあった(7)

 カーブして落ちる滝もあり(8)、590二股を越えるともう滝はなくなる。帰りに数えたらクテクンの滝の上だけで説明板通りに12個もあった。

 明るく広い沢を詰めて、680二股は左に進む。その先は苔むした心地よい沢が続く。沢型は段々狭くなってくるが、ずっと続く(9)一度伏流するが、c915mほどのところまで水流が認められる。c920m付近で沢型が消え、笹藪へ突入する。

 直ぐ上に稜線が見えるので、そこを狙ってそれほど濃くない沢藪を漕いでいくが、やがてハイマツ帯にぶつかる。しかし、Suさんの教えてくれた踏み跡は見つからない。頂上方向へハイマツを踏んづけながら少し進むと、その踏み跡にぶつかる。我々は沢型の延長上より少し北側へ遠回りをしたらしい。あとは、微かに認められる踏み跡を辿ると、二つの大岩が見えてくる。その大岩をよじ登り、頂上の人となる(10)

 しかし、残念ながら展望はまったくない。地図から見ても、すばらしい展望のはずである。多分、斜里岳や武佐岳を初めとする標津山地の山々、広い根釧台地や摩周方面の山々などの展望が広がるはずである。下山後も、この山は見えず終いであった。悔しいので、昨秋の好天時に登った岳友でもある清岳荘管理人・熊ぷ〜さんの「クテクンベツ岳」のページを見ていただきたい。

 沢の斜面や岸には、チシマノキンバイソウがずっと付き合ってくれた(11)下りには、クテクンの滝の落ち口まで行って、怖々下を覗く。
  
山後は、国道244号線から5kmほど入る川北温泉の露天風呂へ寄る。ここは昔旅館があったらしいが、それが撤去した後も、温泉と男女別の浴室だけを露天風呂として残したらしい。風もなく、湯温も手頃で、いつまでも入っていられる温泉だ。運転手の私は飲めなかったが、ビールを飲んで1時間以上もお喋りして、マッタリと過ごす(12)

 さらに、斜里市街地へ出て、買い物をし、斜里岳から湧き出る来運神社の湧水を汲んで、清岳荘を目指す。清岳荘では、朝に根北峠で顔を合わせた全メンバーに、満館で忙しい熊ぷ〜さんとも顔を合わせ、楽しい夕餉のひとときを過ごす。



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