雷電山(702.5m)<北斗市>
中山トンネル手前〜戸切地川林道 2名 山スキー 08,1,14

          長い林道を利用し、奥深いために函館近郊で唯一登り残していた700m超峰を踏破

6:00 自宅発 
6:50 中山トンネル手前駐車帯
登山
地  点
下山
 7:10
 8:10
 9:00
 9:25
10:15
11:10
中山トンネル手前P
c500設計山西尾根コル
c310戸切地川林道の橋
c350林道分岐
c410沢渡渉
頂  上
14:00
13:30
12:30
12:15
11:50
11:30
[4:00]
所要時間
[2:30]
14:50 帰宅

 ニセコ連峰にある同名の山は有名だが、この函館近郊の山はマニアックな藪山愛好者にしか知られていない山であろう。北斗市の戸切地川の源流部に聳える地味な山で、戸切地川を挟んで真北には一等三角点の設計山(もっけやま)が位置する。登ってみて確認したことであるが、、函館平野部からは、セメント原料の石灰岩を切り出している峩朗鉱山のずっと右奧に真っ白な山肌を見せているのがこの山であった(1)

 奥深いこともあり、函館近郊で唯一登り残していた700m超峰である。道内の700m超峰全山踏破を狙っているKo玉さんと二人で挑戦。ルートは、最短でも、国道227号線の中山トンネル手前の林道から、設計山の西尾根コルを乗っ越して、戸切地川沿いに続く林道へ下り、さらに、戸切地川林道から頂上の西側に続く林道を利用し、最後は、沢を越えて北西尾根を登るという8km以上もの長大なルートである。

○まずは、設計山西尾根のコルを乗っ越して、戸切地川沿いの林道へ


 今年になって、すでに5山目というハイペースではあるが、初めての晴天がうれしい。国道227号線の中山トンネル手前の駐車場に車をデポして出発。函館方面へ200mほど戻ると、南側に入る林道がある。ここは、過去2度登っている設計山へのルートと同じ林道である。積雪は80cmほどと予想よりかなり多い。トップをこまめに交代しながらラッセルを続ける。

 <ハプニング1>途中で、前を歩いていたKo玉さんが、林道上のクレバス状の割れ目に片足だけではあるが、腰までスッポリと落ちてびっくりする。どうやら、下が雨裂で川のように水が流れていたようだ。怪我もなくホッとする。

 予想より早いちょうど1時間で、設計山西尾根のコル(合併前の上磯町と大野町の境界)へ到着。前に登った尾根の先に設計山の頂上が(2)、その右奧に、これから目指す雷電山が思ったより近くに見えてファイトが湧く(3)。振り返ると、北西方向には、今年中にぜひ登りたい緩やかな長い尾根を延ばしている827峰(通称・天作沢山、点名・下俄郎)と左手奥に乙部岳などが見える(4)

 少し下って行くと、西側に木の生えていない真っ白な急崖をこちらに見せて登行意欲を湧かせる山がある。これは焼木尻岳である。これも予定に入れておこう(5)

 この先の林道は、戸切地川沿いの林道に繋ってはいるが、遠回りなので、途中から林道を無視して、川の橋の手前で合流できるように適当に尾根を下る。ときどき地図に記載されていない林道も利用する。 この付近一帯は、かなり造林事業が進んでいるらしく、あちこちに林道が見える。

 <ハプニング2>灌木の枝をかわしながら下っていると、いきなり、枝の先が鼻の中の奧まで入ってびっくりする。それほど痛くはなかったが、鼻血が出てきたので、ティッシュで栓をする。過去に、笹の幹の折れた先が目に入って角膜を痛めたことはあるが、鼻に枝が入って鼻血という話は聞いたことがない。まもなく血は止まりはしたが・・・。

 やがて、尾根の末端から下を見ると、戸切地川の左岸の林道が見える。どうやら削られた崖の上に出たようである。なんとか降りれそうな箇所を探して、林道へ下り立つ。せっかく登った設計山西尾根コルから標高差200mも下ったことになる。

 700mほど下流に進むと、立派な橋が架かり、道は右岸へと続く(6)すぐに、右手の沢沿いに、稜線へ延びる林道はあるが、それは遠回りなので、1kmちょっと下ると、二つ目の沢沿いの林道分岐がある。

○頂上の西側に延びる林道を辿り、途中から沢を越えて頂上へ

 その林道は、553ポコの下まで延びているが、最後まで詰めてしまうと、源頭を巻くように稜線へ上がってからでないと頂上へは向かえないので遠回りである、途中から林道を外れて沢へ下り、頂上へ繋がる北西尾根に取り付くことにする(7)

 ここからが、この山の最後のガンバリどころである。急な尾根のジグを切りながら登っていき、c600ピークを南から巻くようにして、頂上下のコルまで登り詰めると、沢地形の向こうに真っ白な駒ヶ岳とその左手に二股岳が見える(8)。久しぶりの青空の下の展望がうれしい。

 いよいよ頂上まで、最後のブナ斜面の登りである(9)しかし、昨日のクロカン練習会の疲れが出てきて、50歩と続かない。私を先に登頂させようとするKo玉さんの心遣いに応えることができない。頂上の直ぐ手前で、再び私を前に出してくれる。最後の60歩で東面に雪庇を発達させてスッパリと落ちている頂上へ到着。

 一番先に目に飛び込んできたのは、函館平野である(10)横津岳〜恵山〜函館山までも見える。

 南側の雪庇の発達した稜線の先には、雪崩れ斜面をこちらに見せる袴腰岳の向こうに津軽海峡が覗き、当別丸山や微かに桂岳も見える(11)設計山も焼木尻岳も見えるが、木の枝が邪魔ですっきりと望めない。

 一通りの展望を楽しみ、駒ヶ岳をバックに記念写真を撮って(12)腹ごしらえをする。

<ハプニング3>休憩中に、設計山の写真を撮りたくて、稜線を少し北の方へ滑り下りて行くと、「ズシッ!」という不気味な音がする。すぐに雪庇の割れた音だと気づき、とっさに下へ滑り下りる。振り返ると、すっぱりと雪庇が崩れ落ちていた(13)後ろから続いてきたKo玉さんは、とっさに反対側へ体を倒して転んでいた。崩れ落ちた雪庇はすぐ下で止まってはいたが、私の残したシュプールの内側にもさらに割れ目もできていた。気を付けてはいたが、夏の稜線より外側の雪庇の上を歩いたようだ。やばいやばい!また、その余波でかなり南側の稜線の雪庇までもずっと落ちていた。

 <ハプニング4>頂上斜面を登っているときから聞こえていたスノーモービルの音がだんだん大きくなり、ついに、1台が我々の休んでいる頂上へ到着。落ちた雪庇のすぐ手前まで乗り上げて止まったので、「やばい!」と思ったが無事だった。スノモから降りて挨拶をしてきた男性、「どこから来たの?」「中山トンネルの手前からです」と答えてもぴんと来ないようだ。彼は、茂辺地から林道を辿り、尾根を登って来たらしい。反対側からなので、方向感覚と距離感が掴めないらしい。おまけに、「この山は何という山なの?」と聞いてくる。山名も分からず登ってきたらしい。地図を見せて説明したが、彼は地図も持っていないらしい。照れくさかったのか自分から「ガスったら、全然分からなくなるんだよね」と言う。8台で来たらしいが、馬力のあるスノモの彼だけがここまで来て、あとは下(コル)にいるとのこと。

 その彼が下っていって、まもなく、我々も下山を開始。頂上斜面は滑りを楽しめそうだったが、登り返しがあるので、シールを付けたまま滑り降りた。コルには数台のスノモが休んでいた。その後は、ずっと来たときのトレースを辿って、戸切地川沿いの林道へ下り、さらに設計山西尾根コルまで登り返してようやくシールを外す。残りを登りの半分の30分でゴールイン。予想より早い14:00ちょうどではあったが、時間の割には残った疲れに距離の長さと奥深さを実感した山であった。


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