[49]   遊楽部岳  (1277m)    1994、9、15  (左股コース)  

誰にも出会わず、まさに一人ぽっちの静かな初秋の稜線歩きを楽しむ。
国道5号線からの遊楽部岳
7:30 自宅発(八雲)
登山地点下山
8:35
10:00
10:55
11:35
登山口
5合目
臼別頭
遊楽部岳  
14:15
13:25
12:35
12:00
[3:00]所要時間 [2:15]








15:00 おぼこ荘(入浴)
16:00 帰宅

 天気予報が良くなかったので、山の予定も立てず、ゆっ くり起床したら晴れている。急遽、まだ、一人歩きで挑戦していない地元の遊楽部岳登山に決めて出発。4年前に登山会に参加したことがあるが、写真も記録文もなく、はっきり した印象もなく、敢えて一人歩きに拘 って挑戦することにした。国道5号線の花浦付近からは、目指す山が見えている(1)。町で買物をし、登山口のある北桧山町へ向かう。 今金町への分岐を過ぎ、峠を越えて平らな道に出てまもなく登山口である。

 多分誰も入っていないだろうと予想はしていたが、やはり登山口には車が1台もなかった。この山は熊の出没が多いので、笛を忘れててきたことがちょっと気になり、やや不安もあるが、滅多なこともないだろうと腹を決めて登山開始。
5号目から見上げる臼別頭
 午後4時までには帰宅したいので、ハイペースで歩き続ける。1合目までは暗いトドマツの植林地の中の道をジグを切って進む。2合目から7合目までは道南特有の美しいブナ林にダケカンバの混じった柔らかな尾根道を黙々と進む。色とりどりの茸と道を覆い始めた枯れ葉に秋の気配を感じる。2週間程前に登山会があったせいか、道の両側がきれいに刈り払われて気持ちのよい道が続く。しかし、クモの巣が顔に煩い。

 単調な登りが5合目まで続く。5合目からは正面に臼別頭が望まれる(2)。羊蹄山からニセコ連峰、黄金色に実る北桧山や今金の平野の向こうに聳える狩場山塊などがくっきりと見渡せる。その後、大きな上り下りを2つ越え、7合目からはハイマツが出現し、臼別頭を目指す急登となる。最後の詰めにロープが張られ、登り切ったところが臼別頭と思って休憩したら、目指す頂上が見えない。変だなと思ったら、臼別頭はもう一つ先のコブであった。直ぐ後ろに、昨年の地震で崩れた奥尻島の港表面の傷跡が生々しく見えるも、大島、小島のぽっかり浮かぶ様がなんとも言えずいい。 
頂上標識と臼別頭
 臼別頭から頂上までの稜線の中にくっきりと道が続いている。ここからが熊の出没地帯である。リュックから鈴を外して手に持ち、力いっぱい鳴らしながら、コル目指して急な尾根を下る。小さな紅葉が始まり、赤い実をつけた花畑が道の両側に続くも、熊の掘り返しの跡があちこちにある。気のせいか、時折、熊牧場と同じようなけものの匂いがし緊張する。しかし、密生している真っ赤な1cmぐらいのイワツツジの実がそれと似た匂いなので、その匂いなのかもしれない。通称・熊の踊り場といわれるコルを過ぎて、最後の急な登りを詰めると肩の上に出る。ここがこの山の最高地点らしいが、頂上はもっと奥の方である。ちょっと行くと、車の手配が着いたら7時間以内で歩いてみたいと思っている白水岳からの縦走路の分岐があり、その先に白水岳が見える。標高差のないハイマツ林の道をまだかまだかと思いながら進むと心なしか高いと思われるところに頂上標識があり、広くなっていた(3)。予定より30分も早い到着であった。   

 風もなく、暑いので半身裸になって簡単な昼食をとりながら休憩する。座ると周りのハイマツで展望が全然利かなくなるのが残念である。帰りに確かめたら、むしろ登り切った最高地点の方の展望が、臼別頭の迫力ある岩壁も眺められ、はるかに勝っている(4)奥尻島までもくっきりと望まれる(5)。しかし、一等三角点が設置されている関係上、こちらを頂上としているのであろう。
 頂上から見える奥尻島
 最後までとうとう誰にも会うことのないまさに一人ぽっちの登山であった。下山後、時間に余裕があったので、おぼこ荘に回り、温泉につかって帰宅する。                    


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