夕張・小天狗(北峰1263m・南峰1272m)<芦別市>
<十八線川ルート> 7名 12、5,19
登り | 地 点 | 下り |
6:30
7:25
9:45
10:20
12:30
12:55
13:15
14:30 |
十八線ゲート
林道終点
テン場着
〃 発
分岐ピーク
北 峰
分岐ピーク
南 峰 |
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17:00
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15:45
14:45 |
[8:30] | 所要時間 | [2:15] |
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夕張山系には、地図に名前が載っていないが、通称で呼ばれる多くの山がある。そのどれもが人を寄せ付けない奥深いところにあり、しかも、切り立った岩崖を擁した峻険な尖峰ばかりで、自分一人ではとても登れそうにない山ばかりである。
夕張小天狗と呼ばれる半独立峰的な二つのピークを持つこの山もその一つで、芦別岳の北側の惣芦別川源流部に位置する山である(1)。登る人はほとんどいないようで、ネット上の情報はほとんど見当たらない
。この山を知ったのは八谷和彦氏の『ガイドブックにない北海道の山々』でである。山名は多分、その北側の中天狗との兼ね合いで付けられたものと思われる。しかし、大天狗と呼ばれる山はない。
3年前のGWに同じ山域に聳える松籟山〜御茶々岳〜槙柏山に登ったときに、ご一緒した
「地図がガイドの山歩き」のsaijyoさんから「この次は、夕張中岳と小天狗ですね」と言われていた。そして3年後、その誘いがやってきた。しかも、これまで何度も同行経験のある気心の知れた頼もしい藪山仲間・・・札幌からsaijyoさんのほかにチロロ2さん、チロロ3さん、Ko玉さん、
名寄のEIZIさん、
旭川のOgiさんの顔ぶれも一緒である。2日目の夕張中岳は、これに
北見山岳会のyoshidaさんを初めとする4名が合流するという豪華メンバーである。
この山に登るのは、アプローチに雪があって、最後の急な詰めの部分の藪が顔を出すこの時期が一番とのsaijyoさんの判断から、途中でのテント泊で、1日目は小天狗、2日目が中岳の日程が設定された。
○まずはテン場まで
前夜の内に富良野市の太陽の里キャンプ場に入り、早朝に1日目のメンバーが顔を揃えた。この顔ぶれと会うのは、
昨秋の藪山オフミ以来である。
十八線川林道の施錠ゲート前から縦走装備で出発(2)。他人の背負ったビールをご馳走になるのは申し訳ないので、珍しく自分でも4本の缶ビールを背負った。
約1時間ほどの林道歩きの終点の先には倒木を渡るしかない渡渉地点が待っていた(3)。恐る恐る渡り、その先に続く作業道跡を辿る。幸いその先の作業道跡からは雪が現れ、ツボ足でも埋まらないで歩けるのががうれしい。
c650付近で作業道も消え、その後は槙柏山と御茶々岳のコルへ突き上げる沢型を登っていく(4)。足の下からゴーゴーと流れの音が聞こえてくるのはあまり気持ちの良いものではない。踏み抜かないように留意しながら高度を上げていく。
当初の計画では、明日の夕張中岳との分岐になる主稜線上の1196コルにテントを張る予定だったが、
槙柏山と御茶々岳のコル下の平らな所(c1080)に変更して、テントを張る(5)。
○小天狗を目指して
休憩後、必要な物だけリュックに詰めて、全員未登頂の小天狗を目指す。ギョウジャニンニク畑のような御茶々岳の南尾根を越えて一度下り、主稜線の1196コルを目指す。ここから極楽平らまでは、3年前にスキーで歩いたルートで懐かしさが蘇る。
主稜線に上がると南に夫婦岩と芦別岳旧道コース上のピークが見える。芦別山頂は夫婦岩の陰で見えない(6)。
さらに右側に目を転じると、この2日間の目的である見るだけでも身の毛もよだつ感じの尖った夕張中岳(7)とその右に小天狗の尖ったの二つのピークが見えてくる(8)。
主稜線上を少し御茶々岳側へ登って乗っ越し、極楽平へと進む。
極楽平の先には、やはり3年前に登った布部岳とその右に富良野西岳が見える(9)。
極楽平から小天狗へと続く西尾根を辿る。やがて、北峰と南峰の分岐ピークへ到着(10)。
○まずは簡単に登れそうな北峰へ
分岐ピークに荷物を置いて、ほとんど空身状態で、標高差がわずか60mほどの南斜面に取り付く。急な雪渓と藪を繋いで登っていく。
全員藪こぎはお手のもの・・・特に高所恐怖症の自分は、掴まることのできる藪があるだけでうれしい。頂上直下の細い岩稜とハイマツにちょっと手こずったが、15分ほどで狭い頂上に立つことができた。
頂上の南側には、芦別岳〜明日予定の端正な尖峰の中岳〜この後に登る南峰の連なりが広がる(11)。
○次に厳しい感じの南峰へ
分岐ピークまで10分ほどで戻り、次に南峰を目指す。標高差70mほど下って、標高差130mほどの細く急な尾根を登り返さなくてはならない(12)。北峰の上からじっくり眺めたが、特に右側がすっぱり切れ落ちていて、斜度もきつい。とても雪で覆われていたら怖くて登れる尾根ではない。
実は、いつも一緒に登っている函館のSHOさんが、まだ雪で覆われている4/29に単独でやってきて、中岳と北峰は登頂できたが、この南峰は2/3ほどの地点で撤退している。若い頃はヒマラヤの高峰を単独で登っている彼をしても厳しい尾根である。
しかし、幸い、今回は雪がまったくなく、藪で覆われているので、体力勝負だけでなんとか登れそうである。確かに右側は足元からすっぱり切れ落ちているところもあったが、掴まる物があれば怖くはない・・・藪様々である。
途中を遮るような岩場も何ヶ所かあったが、先頭を切ったEIZIさんとKo玉さんのリードで、根元を巻いたり、怖々直登したりしながらなんとか越えることができ、分岐ピークから1時間ほどで、ハイマツで覆われた頂上に立つことができた。
明日の予定の中岳をバックにちょっと余裕の笑顔だが、ハイマツがなければ立つことができないほどの高度感である(13)。なんとか他のメンバーの写真も撮ることができた(14)。
北東側には、先ほどその頂上に立ったことが信じられないほどすっぱり切れ落ちた北峰、その左奥には昨夏単独で登った中天狗、さらにその右奥には布部岳と富良野西岳(15)。これらの他に、眼下にはきりぎし山、遠く東側には増毛山塊、その右手に石狩湾、北側には三頭山などの道北の山々、東側には頂稜部分が雲で覆われた大雪や十勝連峰などの大展望が広がっていた。
○テン場へ戻る
1時間ほどを要して慎重に下山し、分岐ピークへ戻ることができた。全員初登頂が叶った念願の二つの厳しいピークを踏破することができた満足感に酔いながら、来たルートを辿り、テン場を目指す。
正面に御茶々岳と芦別岳を見ながら、極楽平を戻る。今日のゴールはその間の陰にある(16)。主稜線を越えてると、やはり3年前にそのピークに立った槙柏山が目に飛び込んでくる。ゴールは近い(17)。
テン場をスタートして6時間半強でyoshidaさんをリーダーとする北見山岳会の4名が待つテン場に到着(18)。朝からは11時間半にも及んだ1日目のゴールである。
テン場の近くには焚き火が用意されていた。それを囲んでの楽しい夜が更けてゆく(19)。特に驚いたのが、この焚き火で木の枝先に手羽先を刺して焼いて食べたことであった。初体験だったがとても美味しかった・・・。
満天の星空の下、明日に備えて20時にはテントへ入った。