積丹岳(1255m)〜余別岳(1298m)  (婦美コース〜吊り尾根ルート)
グループ(2名) 02,05,05
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この春3度目の同行登山となる体力派ganさんの同行を得て、念願の積丹半島最高峰に立つ。

登山
地点
下山
4:35
7:05
7:25
9:07
9:45
積丹岳休憩所
積丹岳
 〃
最低コル
余別岳
14:40
13:05
12:40
11:15
11:00
[5:10]所要時間[3:40]
 積丹岳に登って8年が経過していたが、そのときに頂上から積丹岳より高い余別岳を眺めて、「藪漕ぎはできても、あの途中に聳えている鋭い岩塔は高所恐怖症の自分には越えることはできないだろうな、登るとしたら易しい沢からかな?」と漠然と思っていた山である。
4合目付近からの朝日に輝く積丹岳
 ML仲間から4/27に単独で行ったという情報をもらい、5/3に伏美岳〜トムラウシ山〜妙敷山を同行したganさんと、下山後、雪の状態から、最後のチャンスとばかり5/5に余別岳に登る約束をして、積丹岳休憩所で待ち合わせすることにして、剣小屋で別れた。

 一日挟んで、積丹岳休憩所前に早朝の4時頃に着くと、休憩所の中から前日に泊まったというganさんが現れ、予定より早い4:30の出発となった。夜明け前のタケノコ採りに絶好なネマガリウダケの林の中に続く緩やかな長い夏道を淡々と歩く。4合目付近の道の真ん中にテントが二張り張ってあってびっくりする。スキーで登るらしいグループである。
日本海をバックに登るganさん
 4合目付近から最初に目指す積丹岳の頂上が朝日に輝いて迎えてくれる(1)。残雪がだんだん多くなり、760m付近で夏道が完全に分からなくなる。だだっ広い尾根を地図と上に見える稜線を頼りに最短距離を進むが、帰りが心配である。これといった目印になるものもなく、テープを持ってこなかったことを悔やむ。帰り、夏道に無事辿り着くかどうか心配になり、二人で何度も振り返りながら景色を頭に入れて登り続ける。

 8年前にこの積丹岳に登ったときは6合目半辺りから、夏道が完全に身の丈以上のネマガリダケで覆われていて、頂上直下まで展望もなく、タオルで頬被りして、腕を顔の前に2本立てながらがむしゃらに、ただその藪から抜けることだけを楽しみに休みもしないで登った以外、まったく印象がないのだが、今回は目指す稜線や隣の1120ピークが見え、どこでも歩けるのが非常にうれしい。振り返ると朝日に輝く日本海が美しい(2)。
積丹岳頂上から余別岳を望む
 スキーのシュプールが残る頂上の直下の急斜面を登り、2時間30分で積丹岳頂上へ到着。目は当然余別岳とその吊り尾根の雪の状態を確かめるべく、そちらへ向く。思ったより残雪が少なく、いずれにしても藪漕ぎは覚悟しなければと気持ちを新たにする(3)。風が強く、非情に寒いので、20分ほどの休憩の後、余別岳へ向かうことにする。出がけにganさんが頂上標識の横に戻ってきてから飲む缶ビールを石で隠してデポする。盗まれないかと心配したが、戻ってきたら予想もしなかった結末が待っていた。
 岩塔の下をよじ登るganさん
 余別岳へのルートは途中の岩塔の右側(西側)の下の方に見える雪渓へ下りてと思い、吊り尾根の右側に藪漕ぎをしながら下り始めるが、途中、急斜面の岩崖状態のところに出くわし、進退窮まる。岩塔の上に木の枝に掴まりながら戻り(4)、改めてルート探索をする。ganさんは周りに木が生えているので、岩塔をそのまま越えようと言ったが、高所恐怖症の自分にはとても無理である。

 今度は岩塔の左側(東側)に見える雪渓をめがけて岩塔から周りの木の枝に掴まって下りることにする。ここまでで30分のロスであるが、探検ごっこをしているような楽しさがある。そこから岩塔の東側に切れ切れに残る雪渓を何度か藪漕ぎをしながらトラバースして岩塔を巻き、再び吊り尾根に乗り、藪漕ぎで下ることにする。振り返って岩塔を眺めたら積丹岳側から見るのとは大違いの鋭い岩峰である(5)。あそこを下りようと言ったganさんまでびっくりしている。
岩塔を振り返る
 しばらく吊り尾根の上の藪漕ぎをして、東側の崖をかわして再び東側から余別岳の頂上まで続く雪の斜面に下りてホッとし(6)、まもなくして最低コルへ立つ。あとは頂上までの急斜面を登るだけである。頂上直下の急斜面には古いスキーのシュプールが残っている。雪が多いとここまでスキーで繋いでこれるのであろう。「あと1週間早かったら、藪漕ぎはしなくてもすんだのではないか?」と話しながら、頂上へのステップを刻む。
最低コルへの下り
 最後は、スッキリ頂上へ立たせてもらえると思ったが、ハイマツの藪漕ぎが待っている。そこを突破して、積丹岳から迷走した30分ほどを入れても2時間20分で、広い頂上に二人とも初めての念願の一等三角点の設置されている余別岳の頂上に立つことができた(6)。頂上には測量のために設置されたと思われる櫓の残骸が置かれていた。

 目の前には稜線続きのポンネアンチシや珊内岳、屏風山などが近くに見える。その珊内岳と屏風山の間にまさに三角錐のような鋭く天をく突く山が見える。地図で確かめたら鉞山(まさかりやま)で、まさに鉞の刃が天に向かって立っている感じである(7)。それらの山々や吊り尾根の東側に広がる複雑な地形を眺めながら、ビールで乾杯し、藪漕ぎの途中で採ったギョウジャニンニク入りラーメンの昼食となる。残りの汁でギョウジャニンニクのスープを作って食べる。
余別岳山頂で
 1時間15分ほどもくつろぎ、帰りは藪漕ぎをしないで雪渓を繋げるルートを頂上から眺めて決定して、スタートする。まずは、頂上からの下りも東側の雪の斜面を下り、吊り尾根の手前は東側のずっと下の雪の斜面を進み、岩塔の下はちょっと登ってトラバースして、一気に岩塔の積丹岳寄りのコルに突き上げる急な沢をまっすぐ登ることにする(8)。

 一度だけ岩塔の下のトラバース地点で藪漕ぎをして、雪の詰まった沢地形に入る。滑落したら谷底までまっしぐらの45度ほどのもの凄く長い急斜面で、ganさんにステップを切ってもらわなければ、私のスパイク付き長靴では恐ろしい直登である。頭上に覗く青空を目指して、一歩一歩慎重にストックと彼のステップを頼りの登りが続く。
鉞山
 ようやく岩塔の積丹岳寄りのコルに突き上げ一息つく。あとは積丹岳までの稜線のちょっとした藪漕ぎだけである。余別岳から行きで2時間20分掛かった道のりを1時間40分で誰も歓迎してくれる人のいない積丹岳に戻ることができ、苦労しながら歩いた吊り尾根を眺めながら休憩する。

 楽しみにしてデポしておいた缶ビールが栓が閉まったままなのに、何と空っぽになっている。愕然とするganさんであるが、誰かが頂上標識の横のビールを隠した石の上に立ったのであろう。そのときに石が動いて缶の横に穴が開いたのであろう。山の神に飲ませたと思えば腹も立つまい。
余別岳頂上から積丹岳までの帰りのルート
 気温が下がってきたので。25分ほどで下山を開始する。我々が余別岳を往復している間にかなりの人が訪れたようで、たくさんの足跡やスキーのシュプールや登りでは目に付かなかった赤やピンクのテープがぶら下がっている。これでは、登りで気にした夏道への合流地点の心配がなくなる。

 頂上から下りてまもなく、若い男女の二人連れがやってくる。この日初めて出会う人である。顔を見たら、なんと3月の「横津越え」に参加したYa君とTaさんである。「登山口で坂口さんの車を見たので、会えると思って楽しみに登ってきました。」とのことである。

 彼等と別れて、足跡を頼りに6合目辺りで夏道へ合流したあとは、二人で清掃下山をすることにし、道の両側をキョロキョロしながら歩いていると、なんと、幅40cmものダブルカセットが落ちているのをganさんが発見。多分タケノコ採りの人が置いていったものであろう。そのほかには空き缶を30個ほど拾ってゴールインする。

 約10時間の行動時間に終止符を打ち、休憩所に泊まるというganさんに付き合い、こちらも泊まることにし、車で婦美まで出て、飲み物を調達して戻る。お互いに疲れから早く酔いが回り、二人とも明るい内に眠ってしまった。


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