八内岳(やちないだけ)(943.6m)
<辰五郎林道コース、登り〜859ピーク尾根、下り〜頂上直登尾根>  単独 ツボ足 06,5,09

             ニセコ連峰や積丹半島、札幌近郊の山々の展望台ともいえる一等三角点の山へ

4:30 共和町役場駐車場
4:50 辰五郎沢林道・車デポ地点
   (国道から5.4km地点、標高146m)
登山
859尾根
地 点
下山
中尾根
5:10
5:50
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7:05
7:50
8:20
車デポ地点
尾根取付地点
林道終点
716ピーク
859ピーク
頂 上
10:30
9:50
9:10
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8:40
[3:10]所要時間[1:50]
西昆布岳登山口へ

GPSトラックログ
 積丹半島の1000m超峰5山を登ってしまって、次の目標となったのは、その次に標高の高い一等三角点のこの八内岳である。位置的にも5山と離れた半島の根元の古平町と共和町の境界線上にあるというのも興味があった。

 周りに林道や国道が走っているので、この残雪期はいろいろなアプローチが可能である。地図を見て考えたのは、共和町の辰五郎沢林道からのルートである。最短ルートは、その林道を終点まで詰めて、そこから頂上まで突き上げる標高差550mほどの急な尾根である。しかし、単調な長い林道歩きときつい急登が続くのは心身共に辛い。

 そこで、目に飛び込んできたのが、その林道の途中の辰五郎川に右から合流する地点(標高210m付近)を先端として頂上の東側の859ピークに延びる緩やかな尾根である。そこを登って、下りは最短ルートか、車のデポ場所によっては木無山経由の尾根でもいいと考えた。ちなみに、「地図がガイドの山歩き」によると、辰五郎川という名は「辰五郎という人が熊に襲われて死んだ」ことがその由来となっているとのことである。

 共和町役場の駐車場で夜を明かし、辰五郎沢林道の入り口を目指す。夜明け前の国道から八内岳が見える。予想以上に融雪が進んでいるようで、登る予定の右尾根の859ピーク付近は藪が出ている。トラバースか藪漕ぎを覚悟しなくてはならない。最短ルートの頂上直登尾根も途中の東斜面に全層雪崩の跡が見えるが、尾根の上は大丈夫のようである(1)どちらにしてもスキーは邪魔なようなので、この時期埋まらないこともあり、ツボ足で通そうと考え予備にカンジキを持参することにした。

 林道は、国道から5.4km地点の送電線の少し上の標高点146まで入ることができた。そこに車をデポして、途中、エゾノリュウキンカの群落を楽しんだりしながら(2)林道を40分歩くと橋を渡った先に林道分岐がある。その先を少し進んでから859ピーク尾根の末端に取り付く。南斜面のせいか雪解けが進んでいるが、なんとか雪を繋いで登る(3)

 斜度が緩み、尾根の上に出ると雪がびっしりと付いている。振り返ると羊蹄やニセコ連峰が全部見えている。急登もなく快適な疎林の尾根歩きである。

 716ピークまで登ると、目の前に859ピークが見えてくる。下から見てトラバースしようと思っていた左斜面は急な上に雪付きが不十分で怖い。そこで、右斜面の全層雪崩跡の上の藪漕ぎの方が安心と考える(4)

 藪漕ぎ覚悟で登っていくと、ハイマツ尾根の右側は、幸い雪崩れた跡が露出していて薄い笹だけである。足元に小振りなカタクリとギョウジャニンニクが混生している(5)覚悟した藪漕ぎの苦労もなくなったので、リュックを下ろしてギョウジャニンニク採りに没頭する。

 859ピークを越えると、あとは頂上まで広い尾根だけである。頂上の右側に余別岳と積丹岳が覗いている(6)。30分で、まったく木も生えていないペロンとした頂上に到着する。

 まさに、一等三角点の山である。360度遮るもののない展望が広がる。積丹半島の先の方には、これまでに登った1000m超峰5山(左から通称赤石山、珊内岳、ポンネアンチシ、余別岳、積丹岳)が連なって見える(7)

 南側には、羊蹄山とやはり全部登っているアンヌプリから西に連なるニセコ連峰の山々、その右奥に狩場山塊が見えている(8)

 北側から東側にかけては、小樽の町や札幌近郊、支笏・洞爺付近の山々が見えている。見える範囲で自分の登ったピークを数えてみたら50を越えたので、数えるのを止めた。あとこの山域で気になるのが、頂上から北に延びる尾根の上にある「日本の山岳標高1003山」に選ばれている天狗岳(872.3m)である。

 

 そんな眺望を楽しみながら朝食のおにぎりを食べて、いよいよ下山開始である。車のデポ地点に下りることが可能な木無山経由の長い尾根に向かって下り始めて下を見たら、尾根の両側が全層雪崩で雪がなくなり、背丈以上の笹が密生している箇所が見える。尾根のずっと下の方の433ピークの130mもの急な登り返しもきつそうでその尾根を下るのは諦めて、標高差550mの林道終点まで下りる急な中尾根を下ることにする(9)

 ツボ足でも埋まらない上に、急斜面で下りは速い。わずか30分で谷底の林道終点まで下りてしまう。多分、登ったら2時間は掛かるのではないであろうか?その後の林道は、急斜面の途中を切り崩して作っている林道である。雪が斜面と同じ傾斜で積もっていて、ずっとトラバース状態で歩かなければならず、いつも上にある左足が異常に疲れてしまう。尾根を巻くようにしてトラバース歩きから開放されたら、登りで取り付いた尾根の末端であった。そこまででちょうど40分であった。その先から車デポ地点までも40分でなので、ちょうど中間地点だったようである。

 車デポ地点に近付いた橋の先に強引に入ってきた大きなRV車が停まっている。そばに立っていたのは熊撃ちのハンターであった。「八内に登って、もう下りて来たのかい?信じられない健脚だな〜。俺だったら5時に出ても昼過ぎになってしまうな〜」と5回も話していた。ずっと営林署に勤めていて、退職後熊撃ちをして10年になるという。この一帯の山にはかなり詳しそうなとてもその年齢には見えない元気な70歳であった。

 まだ、10:30である。今日中に帰宅することに決めて、帰路の途中に、雪がまだあれば西昆布岳に寄ろうと考えて、国道5号線を南下する。


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