町村合併で八雲町になった
旧熊石町市街地の直ぐ後ろに崖状に切れ落ちた斜面を見せてをそそり立ち、登行意欲を掻き立てられる山である(1)。山名の由来は、アイヌ語でそのものズバリの「海からそそり立つ所」の意である。
この山に登ったのは、調べてみたら、一人歩きの山を始めた14年前の3山目の山であった。しかも、それまでに登ったことのない最初の山であった。まさに、記念すべき一人歩きの原点のなのである。
朝からのすっきりとした秋晴れに、珍しく妻から「どこか2時間くらいで登れる山へ連れて行って!」と言われ、懐かしいこの山への再訪となった。
14年前の記憶を頼りに、旧熊石町役場の左側の道を入って行くと、墓地から先は林道となり、登山口へ到着できた。登山道を進むと、まもなく右の尾根に上がる東側コースと西側コースの分岐である。東側コースを上がって西側コースを下る予定である。
いきなり、ロープが設置された緩むことのない急登が続く(2)。やがて、前ヤンカまで続く細い尾根の上に乗る。特に左側は崖状に切れ落ちている痩せ尾根である。振り返ると、葉の落ちた樹間から光る日本海が見える。
前ヤンカの手前から鋭く聳える頂上部が覗く。どこを登るのかと不安になる形である。
前ヤンカへ登り詰めると、目の前に冷水岳がど〜んと聳え(3)、その左奥から左手前にかけての白水連峰・・・熊石山歩会の命名した「道南アルプス」が続く。
南側には荒々しい岩峰を巡らせた雄鉾岳が見える(4)。前ヤンカからコルまで下り、
頂上への登りは、虎ロープが頼りのものすごい急登である(5)。
頂上は、痩せた稜線上の登山道の途中といった感じの所で、木に鐘がぶら下がっている(6)。葉が落ちた樹間から、前回はほとんど無かった展望が広がるのがうれしい。後ろには白水岳〜冷水岳が、
前には日本海が広がり、眼下に熊石市街地が見える(7)。
ポカポカ陽気の中で昼食を摂り、20分ほど休んで、西側コースを下る。こちらも、ロープが頼りの痩せ尾根の急な下りである。おまけに、落ち葉が積もっていて、ステップや出ている木の根が見えないので非常に怖く、恐る恐る足探りで下る。
コルまでそのような下りが続き、西6合目となっている505コブに登り返して一息つく。
振り返ると急崖を巡らせた頂上が見える(8)。
やがて、人工林の中を下り、尾根からロープを頼りに沢へ下り立つと、
苔むした岩を流れる涼しげな滑滝が現れる。帰宅後判明したことだが、「若狭の滝」というらしい(9)。もしかしたらこの登山道を整備した熊石山歩会メンバーで、学生時代同期の若狭君の名前から命名されたのではないだろうか?
沢を越えると、林道跡の道となり、登山口へと続く。低山ながら、変化に富んだ登りを楽しむことができるいい山であることを再認識した再訪でもあった。