4:00 函館(自宅)発
5:20 突符川沿道(乙部町栄浜)
5:40 滝の股沢分岐(採石場手前)
(朝食・準備)
6:25 林道終点(320m)
登山 | 地 点 | 下山 |
6:35
7:25
8:20
9:40 |
入 渓
490二股
600二股(滝下)
頂 上 |
12:35
11:50
11:15
10:25 |
[3:05] | 所要時間 | [2:10] |
(ササマクリ林道偵察)
14:10 乙部温泉いこいの湯(入浴)
16:15 帰宅
|
この突符山は、渡島半島の中央分水嶺の乙部町と八雲町の境界線上に聳える山で、道南山域では40番目の標高の山である。いつかは登りたいと考えていたが、情報は全くない。地図とにらめっこして、頂上の西側へ突き上げている乙部町の突符川とその源頭地形を詰める今回のルートを温めていた。
函館在住のスキー指導員の先輩で、偶然私と同じ日に同じピリカヌプリで『北海道の百名山』(北海道新聞社)の完登を果たし、昨夏、その全記録を『感動と出会いを求めて〜山紀行・私の歩いた北海道の百名山』(北海道新聞社出版局)として出版したSaさんをお誘いして念願の同行が叶う。スキーでは40年近いお付き合いで、山では何度かお逢いしているが、同行の機会はこれまでになかった。
Saさんは、数日前の北海道新聞の夕刊の『生きる』という特集に取り上げられ、その記事の中で、最近は「道南100山踏破」を目標として登られていることを知り、二人とも未踏のこの山を選んで、同行することとなった。
全道的な快晴予報の夜明け前に函館を発ち、乙部町栄浜に河口を持つ突符川沿いの道を走る。前日に林道の情報を収集しておいた。12km先の滝の股沢分岐の先に採石場があるので、そこまでは確実に走れるが、その先の地図上に記載されている林道の状況は不明とのこと。最悪の場合、そこから歩いても構わないと考えて向かったが、幸い、さらに2.6km先の林道終点まで入ることができた。
○美しいナメを楽しみながら
林道終点から沢に降りてびっくり・・・釜を持ったみごとな滑滝からのスタートである(1)。地図上からも予想はできたが、広く明るい沢で、ずっと白い花崗岩?の岩盤のナメが続く。あちこちにある小さな釜では、こちらの人影に驚いた20〜25cmほどのオショロコマがバシャバシャと音を立てて岩陰に隠れるので、こちらの方が驚く。
○高巻き
大きな滝もなく、快適なナメ歩きを楽しみ、徐々に高度を上げていく(2)。ところが、
600m付近で右から10mほどの急な滑滝が合流する(3)。予定のルートは、ここから東側に進路を変えるので、滝となって合流する沢が正解のようである。しかし、水流はそのまま進みたくなる左股の方が多く、沢筋もしっかりとしている。様子見を兼ねて少しそのまま進んでみるが、そちらも急な滑滝にぶつかり、GPSで確認しても、やはり向かう方向が違っている。
先ほどの滝の下まで戻るが、とても直登できる斜度ではないので、左側から高巻くことにする(4)。
途中、草付きだけのところもあって、その根もとを押さえて登る緊張場面もあったが、なんとか高巻いて沢に降りようとしたら、その上にも数段になった滝が続いている。仕方がないので、さらに高巻きを続ける。結果的に20〜30mほどの滝を高巻いて沢に降り立つ。
○藪へ突入
670mほどで水流がなくなり、沢を丈の高い草が覆い始める(5)。700m付近で沢形が二股に分かれるが、当初はその左を詰めて稜線のコルへ出るつもりでいたが、右を詰めた方が頂上に近そうなので、そちらを進む。
やがて、沢地形もはっきりしなくなり急な斜面を灌木や笹や高茎植物に掴まり、それらを掻き分けながら登っていく。幸い、一番恐れたネマガリダケがないので、どんどん高度を稼ぐことができる。
振り返ると、日本海とその水平線上に奥尻島が見える(6)。
最後は掴まる木があるから登れるほどの急斜面を登り切ると、細い稜線に出る。そこは頂上の北側のすぐ下であった。灌木で覆われた稜線上にも人が歩いた痕跡は一切ないし、頂上にもまったく見当たらない。こんな山に登るのは物好きな我々だけなのであろうか?
○藪の頂上からのみごとな展望
一番先に目に飛び込んできたのは、北側の小鉾岳の鋭い岩峰とその左後ろの砂蘭部岳、その後ろに頭だけを見せている羊蹄山、さらには噴火湾の向こうのオロフレ岳や徳舜瞥岳方面の山々である(7)。その左手に、いずれは登らねばならないこの分水嶺上で山容もルートももっとも手際そうな山として気になる沖沢山(8)。
東側に目を転じて、いずれ近いうちに登る予定の一番見たかったすぐ近くの紋内岳は、ちょうど木の陰なのが残念である。その右手には
鍋岳〜乙部岳(9)、南側には、厚沢部盆地の向こうに江差の海や大千軒の山々(10)、その右側の日本海には、小島と大島もはっきりと見えている。
灌木の繁る細い稜線上の頂上なので、腰を下ろす場所もない(11)。また腰を下ろしたらせっかくの展望が全く見えなくなる。灌木を掻き分けて、あるはずの三等三角点(点名・突符2)を探すが、とうとう見つけることができなかった。あまり好天に立ったままであったが、45分ほども休んで下山を開始する。
稜線を少し下がると、頂上からは木の陰で見えなかった今春に登ったスルカイ岳とその東側の稜線、その奥に雄鉾岳の頂上部分や昨秋登った平らな元小屋沢山、その後ろに白水岳〜冷水岳〜遊楽部岳が見えてくる(12)。
稜線から下りて、急な藪斜面に残る登りの掻き分け跡を辿り、沢地形に下りる。急な下りはやはり速い。「もうこんなところまで下りたの?」と思いながら、登りの半分以下の30分ほどで、唯一の難所である滝の上に出る。赤いテープをつけておいた地点から高巻きの尾根に入る。草付き斜面をかわすように気をつけながら、最後まで木の枝や幹を頼りに下り、滝の下に降り立ってホッとする。あとは、緊張場面はないので、沢靴のフリクションを効かせて下流へ行くほど大きくなるナメを楽しみながら下る。最後藪を漕いで川岸の斜面を登り、ゴールイン。
一人では不安だった全く情報のない沢からのルートであったが、二人連れだったのと、予想したより易しく楽しい沢だったこともあり、思ったより楽に念願の一山を落としたことに満足して、車を走らせる。 時間的余裕もあるので、途中から、ササマクリ山の計画ルートである来拝川林道からの左股川林道の状況を偵察して戻り、国道に出て、乙部温泉のいこいの湯で汗を流して帰路に就く。