クワウンナイ川遡行トムラウシ山(2141m)扇沼山(1625m)
同行者1名   02,09,07〜8
国内屈指の名渓・念願のクワウンナイ川を遡行し、紅葉が始まった3回目のトムラウシの頂上に立ち、昨年登山道が再開削された扇沼山経由で下山しました。天候にも恵まれ、至福の2日間でした。

94,7,31〜8,1「トムラウシ山(トムラウシ温泉コース)」へ
98,7,31〜8,1「トムラウシ山(天人峡コース)」

9/7(土)
 5:35
 6:29
 9:55
10:55
11:40
12:03
12:21
12:48
13:15
13:45
15:18
天人峡工事橋手前
函(620m)高巻き通過」
下二股(873m)
カウン沢二股(980m)
魚止めの滝下部(1090m)
滝の瀬十三丁開始
三川台からの滝合流地点(1180m)
滝の瀬十三丁終了
ハングの滝下部(1310m)
奥二股の滝下部(1380m)
源頭テン場(1650m)
[9:43]所要時間

9/8(日)
 5:50
 6:45
 7:45
 8:07
 8:50
 9:05
10:44
13:10
13:35
14:45
源頭テン場(1650m)
縦走路(1850m)
北沼(2000m)
トムラウシ山頂上(2141m)着
    〃 発
南沼(1970m)
三川台(1770m)
扇沼山(硫黄沼分岐)(1625m)着
   〃  発
登山口(1130m)
[8:55]所要時間

 15:50  天人峡で車回収(Ogiさんのお父さん)
 16:00  天人閣入浴(700円)
 17:40  旭川鷹栖IC(国縫まで高速利用)
 23:00  函館着(帰宅)  
最初の渡渉 本格的に山を始めたころからの夢の一つであったのが、「滝の瀬十三丁」に代表される国内屈指の名渓・クワウンナイ川遡行である。遭難すると救助が難しい沢ということが理由で、ずっと入山禁止の措置(法的拘束力はないので実質的には守られていない)の解除を待って来たが、それを待っていると年齢制限(歳を取ってしまって実現不可能になりそう)に引っかかってしまいそうで、ついに意を決して実行することにした。

 まず、1日で源頭まで登り、そこで一泊し、トムラウシ経由で、一昨年まで廃道になっていて、昨年、美瑛山岳会の手によって再開削された扇沼山(台地山)の登山口から三川台までの縦走路を下山コースに使う縦走の計画を立ててみた。しかし、下山後の車の回収が課題である。そこで、その縦走路の情報を昨年いち早く提供してくれた旭川のOgiさんに同行の誘いを入れてみた。クワウンナイ川遡行は未経験で同行は望むところということもあり、二つ返事のOKが来た。おまけに、そのお父さん(函館出身で大学も私の大先輩)が扇沼山登山口までの出迎えと天人峡までの車の回収に協力していただけるとのうれしい申し出をいただく。さらに、前夜の一宿一飯のお誘いもいただき、至れり尽くせりのご好意に100%甘えることにする。
最初の函を高巻きから見下ろす
 前夜のOgiさんのお父さん宅での家族ぐるみの大歓迎にすっかりうれしくなり、飲み過ぎモードの朝を迎える。Ogiさんの運転で夜明け前の天人峡へ向かう。天候は朝方の雨上がりの曇り空であるが、回復傾向で雨の心配はない。忠別川本流を渡る工事用の橋の手前のちょっとした駐車スペースに車を置いて、今年3回目のヘルメットと渓流シューズ姿で出発する。

 道路の付け替え工事現場への橋を渡ると、林道下の新しい法面の上に、入山禁止のはずが、「ここを登ってください」とばかりにロープが付けられた踏み跡が見えるので、そこへ取り付き、林道の途中へ出る。設置されているはずの入山禁止の看板が見当たらない(車の回収後、再び見に行ったら、その数10mほど下の林道入り口に立っていた)のを気にしながら、左岸に続くポンクワウンナイ川出会いまでその林道跡を辿る。

 15分ほどで入渓地点となるポンクワウンナイ川出会いに到着。心配した増水は全くない模様で、しばらくは単調な河原歩きではあるが、それでも右岸・左岸と膝上ほどの数回の渡渉を繰り返しながら進む(1)。ときどき、昨日にでも入ったと思われる足跡が付いている。45分ほどで、最初の難関である函に到着(2)。右岸に明瞭な巻き道があるが、かなりの高度感に緊張するも下りのロープに助けられて無事通過(3)。そこで、最初の小休止をする。
函の高巻き
 Ogiさんとは、交互に先頭を交代してルートファンディングを楽しむが、難しそうなところは若い彼が進んで試しに取り付いてくれるのが心強い。
水中の出っ張りを足掛かりにしてへつる
 さらに遡行を進めると、それまでに得た情報には触れられていない高巻きもない函状のところへぶち当たる。「聞いてないよう〜」とつぶやきながら水中の岩の出っ張りを足掛かりにしてへつりながら通過する(4)。650m附近の小沢の合流地点で2回目の休憩。上空にはうれしいことに晴れ間が覗いてくる。2時間歩いてもまだ標高差100mほどである。しかし、その辺りからだんだん傾斜を増し、流れも急になって来て渡渉も緊張を増してくる。また、あちこちに流木も顕著になってくる。

 これまでに歩いた日高の沢に比べて岸辺の踏み跡や巻き道が少なく、沢の中の岸を歩くことが多い。また赤いテープも全く見当たらない。二股辺りまでは、どちらかというと右岸の方に崖状の地形が多く、左岸を歩くことが多い感じである。さらにかなりの数の渡渉やへつりを繰り返し、時々、へつりが無理で戻って対岸へ渡渉するといったこともあったりの遡行である。
魚止めの滝下で(左岸に巻き道)
 5時間少々でカウン沢との二股に到着したが、その寸前でクマ騒動に出くわす。突然10mほど左側でバリバリという音がしたので、そちらを振り向くと木が揺れている。びっくりして大きな声を上がると、ものすごい勢いで大きな木を揺らし周りの灌木を折りながら、慌てて急な斜面を駆け上がって行く黒い姿を目にしたような気がする。向こうの方がかなりびっくりしたようである。そこから少し行くと明らかに沢に下りてくる獣道状のところがあったので、きっと水を飲みに来たクマなのであろう。慌て方を見て、かえってかわいそうなことをしたと申し訳ない気持ちになった。

魚止めの滝上部の滝 見つけられなかったが、テン場があるというカウン沢との二股で昼食代わりの行動食を摂りながら小休止し、いよいよ滝の瀬十三丁を中心とした滝が連続する核心部に備える。そこから30分ほどで右岸が城壁のような崖になり、青い滝壺を抱いた「魚止めの滝」に到着(5)。左岸に巻き道が見える。その下に2〜3張りほどのテン場がある。その巻き道を登るとすぐに小さな滝が続き、そのすぐ上に1段目と同じくらいの規模の滝壺のない滝がつづく(6)。そこは右岸の巻き道をが登り切ると、いよいよ待ちに待ったハイライト「滝の瀬十三丁」の始まりである。

つづく
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