(登山口〜トムラウシ山)から


 トムラウシ〜化雲岳〜五色岳〜五色が原〜忠別岳避難小屋キャンプ指定地
トムラウシ頂上から北沼と化雲岳方面への道を見下ろす。
 トムラウシの岩礫を伝う踏み跡を下ると大きな北沼が広がり、その向こうに続く道が目に入る(1)。その稜線を越えるとゆったりと広がる化雲、小化雲、五色、忠別など、これから向かう山々がくっきりと見えるが、旭岳方面は最後まで姿を見せなかった。 そこからヒサゴのコル付近までは、ナキウサギのピチッーといった鳴き声が響くロックガーデンと呼ばれる岩礫を伝いながら歩く道、巨大な岩を伝い歩く巨岩帯(2)、沼と岩と花畑の織り成す日本庭園とか呼ばれる道の登り下りが続く。ペンキの標と踏み跡が目印である。天沼付近は、様々な花々が咲き乱れる庭園である。

 稜線から見下ろすヒサゴ沼は大きな雪渓を抱いた大きな沼である。カラフルなテントが美しい。その向こうには、2日後に予定している石狩連峰やニペソツの鋭峰がくっきりとその姿を見せている。いつかはあの峰々も上にも立ちたいものである。挑戦意欲が沸いてくる。
巨岩帯の道を行く
 化雲のへそと呼ばれるの大岩を目指して緩やかな花畑の広がる斜面を登る。天人峡コースの小化雲岳の鋭く切れ落ちる忠別川に面した急崖が迫力ある。化雲岳頂上で休憩し、 その後は、高低差のほとんど無い、点在する沼と花畑と雪渓の織り成すまさに花の散歩道といった感じの化雲平の道を五色岳へ向かう。その頃から、トムラウシが全貌を見せ始める。五色岳へ着いたら縦走装備の重い荷物から解放されることだけを楽しみに最後の歩を進める。

 五色岳で大きなリュックを置き、デイザックを背負い、まず五色が原へ向かう。下り始めて10分もしないうちに、見渡す限り黄色と白のコントラストが広がる広大なお花畑・五色が原(3、4)に出る。その「広さとスケールは日本一」という人もいるほど美事なものである。黄色はチシマノキンバイソウで白はエゾノハクサンイチゲとシラネニンジン?である。その他、エゾコザクラ、アズマギク、メアカンキンバイ、タカネトウチソウ、コウメバチソウ、ウスユキトウヒレン、リンネソウ、ヨツバシオガマ、エゾノツガザクラ、チシマツガザクラ、エゾツツジ、イワギキョウ、エゾヒメクワガタ、ミヤマリンドウ、チシマフウロ、ダイセツトリカブト、アオノツガザクラ・・・が咲き乱れている。
五色が原のチシマノキンバイソウ
  最初は、そこから沼の原までと考えていたが、時間的に無理なので、沼の原が見渡せるところまでと下る。1時間ほどしたところに、大きな雪渓があり、そこの水場で水を飲み、戻ることにする。再び五色が原の花々をじっくり眺めながら五色岳に戻る。
五色が原トトムラウシ
 後は、忠別岳キャンプ指定地まで下るだけである。また重いリュックを背負い、五色岳の深いハイマツの掘れた急斜面を下る。目の上に忠別川の源頭部へ向けて急崖となって切れ落ちている忠別岳の姿が迫力満点に迫ってくる(5)。コルから避難小屋を目掛けて下ると大きな雪渓と避難小屋とカラフルなテントが目に飛び込んでくる。テントサイトが狭く、一番下まで降りると、草地の良い場所があった。 早速テントを張り、ウイスキーの雪渓の水割りで早い夕食にありつく。17時30分ごろには疲れと酔いでぐっすり・・・。

◎キャンプ指定地〜忠別岳〜トムラウシ温泉
 忠別岳を見上げる朝3時30分ごろ、強い風の音で目が覚める。夜中の星空が嘘のように強い風にガスが流されている。しかし、行動開始。4時すぎ出発、次々同じように出発するグループあり。ガスと濡れた草木対策に雨具をつけ、分岐まで出る。そこに大きなリュックを置き、小さなディザックを背負い、何も見えない忠別岳を目指す。単なるピークハンターに過ぎない行動だと思いながら・・・それでも途中にコマクサの群生を見つけ嬉しくなる。

 途中、戻ろうかと迷ったところで、まさに、「俺はこっちだ、戻るな!」と突然怒ったように、一瞬だけガスの中から、予想したよりはるか高い方に忠別岳の頂上が姿を見せる。思い直して登り続け、ガスの中の標識の根元で簡単な朝食をとる。

 後は、もう戻るだけである。7時間後の荷物と登山靴から解放され、温泉に入ることだけを楽しみに、昨日来たガスの中の道をひたすら進む。それでも、化雲の頂上を通らなくてすむルートをみつけたり、天沼辺りの景観や巨岩帯のルートを楽しんだりしながら北沼まで来る。

 昨日、今日に期待したトムラウシは姿も見せず。頂上は諦めて、南沼へのルートを進むと同じことを考えていたらしい男性が戻ってくる。「行ってみたが、良く分からなかったので戻ってきた。」とのことである。しかし、ルートはこの一本だけである。「一緒に行きましょう。」と誘って、真っ直ぐ進む。確かに周りが見えないこともあって、思ったより遠い感じがする。しかし、無事、南沼キャンプ指定地へ到着。その人はそこにビバークし、明日のトムラウシに期待するとのことで、感謝され別れる。

 トムラウシ公園でようやくガスと強い風から解放され、昼食をとる。前トム平で休んでいる男女2人連れと一人の男性に出会う。トムラウシ公園まで行くことを勧め、一人の男性は行ったが、2人連れの方は女性がかなり参っていたのでどうなったか。

 コマドリ沢の雪渓を滑るように下り、その取り付きで、神奈川からきたという男性2人連れと出会う。昨日、五色岳で五色が原へ行くことを勧めた人達である。とても良かったと感謝される。この人達とこの後、前後して下山する。駐車場の分岐の直ぐ上でまた一緒になったので、キャンプ場経由で東大雪荘まで車に乗せて上げる。

 東大雪荘の温泉で汗を流し、次の石狩連峰の山のために糠平キャンプ場へ向かう。いい具合に温泉街の直ぐ下にある。早速テントを張り、管理人の勧めで、6時半から開くという赤ちょうちんで夕食をとるべく、もちろん生ビールが一番の目当てであるが・・・時間潰しにホテルの温泉に入る。 ジョッキー3杯の生ビールと野菜炒め、ホッケの開き、豚丼を食し、満足し7時半頃からばったり、ぐっすり・・・。
トムラウシ(トムラウシ温泉コース)戻る


化雲岳〜トムラウシ山(天人峡コース)へ 

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